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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第一章 起
12/222

2-1

 花の名前から、アイリス――と名付けられた。

 ほっそりとした体躯と可憐な姿は、まさに花のようである――などと、はやし立てられたこともあった。

 とはいえ、けして良いことばかりでもない。この姿だと男に良くめられる。甘く見られないように鋭く睨むようにしたら、今度は第一印象が怖いと言われるようになってしまった。綺麗だ可愛いと女友達からは誉めそやされることもあったが、アイリス自身は嬉しいと思ったことはあまりない。

 まず体質的に筋肉がつきにくい。騎士という職業に就いているのに、これは致命的だ。

 何よりアイリスはスミレの名だ。同じ品種のパンジーなどは毒性が強い。菫という字にはトリカブトの意味もあるのだ。

 可憐な花には棘がある、とよく言われたものだが、毒があるのはいかがなものか。

 

 かといって、今自分が食事をしているのと、この話は何の関係もない。

 

 

 物語は爆弾魔の悪事を止める3ヶ月前に遡る……。

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