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それから間もなく、ルチアは勢い良く目の前の扉を開けた。
驚いたようにして乱れた着衣を整えながら、部屋に入ってきたルチアを見る2人。ベルは体を隠すようにしてシリルの背中に隠れ、シリルもまたそんな彼女を庇っていた。
「何の用だ?」
シリルの問いかけに何も答えないまま、彼を睨みつけるルチア。
そんなルチアはコツコツとヒールと音を鳴らしながら、乱れたベッドの上にいる2人の元へ近づく。ベルの香水だろうか。ルチアは甘く、頭痛がするような花の匂いにハンカチを出すと口元へと当てた。
「出ていけ。今はお前の来る場所じゃない」
ここ最近、ずっと向けられている彼からの冷たい視線と言葉。ルチアは溢れそうになる涙をグッと堪えた。
(今更、嫌われるのを怖がる必要なんてないはずなのに)
爪が食い込んだ掌が痛い。彼をこの場で罵りたい言葉はいくつも出てくるのに、それを口に出すのを躊躇している自分の気持ちに気付いてしまう。
それでも、自分たちの関係はもう二度と元には戻らないのだと分かっていた。
もう…きっと幸せだったあのころには戻れないのだろう。




