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「まったく、だから私が選んだ女と結婚しておけば良かったのに」
先王妃の言葉が酷く心に突き刺さるものの、ルチアは自分がシリルの子を…後継者となる子を孕めば済むはずだと考えていた。
だからこそルチアは今日もシリルを引き留め、何度だって種を注いでもらう。
シリルもルチアの不安をわかっているからこそ、気遣うようにしてルチアの願いをなんでも叶えてくれた。
その日の夜、情事の後にシリルは不安そうにルチアの顔を覗いてきた。
「ルチア、俺は君がいてくれればそれでいい。辛いならいっそ逃げよう。2人だけ、どこかで幸せに暮らそう」
シリルはそう告げて、ルチアを安心させるようにして手を握ってきた。
「大丈夫よ。あなたがウォルター様の元を離れる方が問題じゃない。あの人、いつか過労で死んでしまうわ」
「いや、でも…」
こうしたやりとりはもう何回も行っていた。
それに、彼が言うように簡単にこの国を出ていけるはずもない。
きっと一緒に逃げだしたとして、連れ戻されるのはシリルだけだろう。あの先王妃のことだから、ルチアだけをどさくさに紛れて葬り去ることなんて簡単なはずだ。
「私はあなたを選んだことを後悔していないわ」
シリルを安心させるようにそう告げるルチア。
実際、シリルの兄であり現国王のウォルターも、色々とルチアに気遣ってくれていた。だからこそ、先王妃も大きな行動を映せず、ルチアにこうして何度も小言を告げるだけなのだ。
「ルチア、絶対に俺は君の味方だから」
そう告げるシリルに抱きしめられ、とくとくと彼の鼓動が聞こえてくる。ルチアはシリルの暖かさに包まれながら、ゆっくりと瞼を閉じるのだった。




