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「ディーナ待ってくれ、俺は…俺がしてしまった過ちをきちんと周囲に明かすつもりだ。だってそうだろう、俺がディーナを裏切ったのにも関わらず、理想の夫だなんて呼ばれるのはおかしいはずだ」
ディーナの提案にラジェイア公爵が考え込むようにしてシガーの煙を吸い込む中、慌てたように割入ってきたのはそう話すジュールだった。
「俺はディーナを裏切ったんだ。なのに、周囲にちやほやされたままだなんておかしいだろう。ディーナと離婚するつもりはない。そんなつもりはないが…どうか事実を話させてほしい」
切実そうにそう訴えてくるジュール。彼の考えも理解できるディーナだが、今は彼に困ったようにして笑ってみせた。
「貴方がベルに夢中になって家を出ていったって素直に話したとしたら、私はきっと隣国の王家の特徴を持った子の父親のことで周囲から疑われることになるでしょうね。私は夫に裏切られた後、簡単に他の男に股を開いた軽い女ですか?」
ディーナの言葉に慌てたような表情に変わるジュールだったが、まだ納得はしきっていないようだった。
「ディーナ。でも、こんなことって」
「旦那様、あなたに良く聞いてほしいことがあります。…実は、私にとってはこれが一番の貴方への復讐方法なんです。だって貴方は私に負い目があればあるほど、きっとこれから先は他の女に見向きしないでしょう?」
そんなディーナの言葉に、堪えきれない様子で笑いを漏らすラジェイア公爵の笑い声が聖堂へと響いた。
ジュールはまだ困惑したような表情のままだったが、そんな中では、聖堂には急いで駆け付けた様子のハワードと…そうして、ディーナの3人の子供たちも一緒にやってきた。
不安そうにする上の子のエルドと今にも泣きそうなフィン。そして、ハワードに抱かれたジュールにそっくりの小さな子。
ディーナは駆け寄ってきたエルドとフィンのことを抱きしめると、出産前からバタバタとして屋敷を離れていたことを謝罪して、これからはちゃんと家族全員で一緒に暮らせると話しをすることにした。
「ほら、この子たちにもう1人の弟のことを紹介しましょう?」
それから…ディーナはジュールへとそう声を掛ける。
「…はは、やっぱりディーナには敵わない」
「あぁ、恐ろしい女だな」
ジュールとラジェイア公爵がどこか諦めに近い形で感情を分かち合っている中、ディーナは久々の子供たちとの再会を喜ぶこととする。
イエリア侯爵家の運命の愛で結ばれた夫婦に関しては…その後もまた、社交界で様々な噂が広がるのだった。




