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トラヴィスが案内する教会へと到着してまもなく、ディーナたちは医療知識を持つ神父に治療を受けることになった。まず一番に…と声を掛けられて、ジュールはディーナのお腹にある傷を見てほしいと提案する。
その際、ジュールはディーナが抱いている赤子を受け取ろうとしたものの…ディーナは少し悩んだ後、その子をラジェイア公爵へと渡した。
酷く取り乱した後ということもあり、今はすっかり静かになっていたラジェイア公爵だったが、赤子を預けられるとは思っていなかったらしく突然のことに慌てた表情へと変わる。
「この子がまるであなたの側を離れたくないかのように泣いていたの。だからきっと、貴方があやしてあげるのがいいと思うわ」
「…っ、なんで…」
「はい、両手で優しく抱いてあげてね」
そう強引にラジェイア公爵へと赤子を渡したディーナだったが、ジュールはこのままラジェイア公爵が逃げるんじゃないかと心配して、ディーナに小さく「大丈夫なのか?」と耳打ちする。しかし、そんな状況にディーナはくすくすと笑いながら「どうかしら」と返事をした。
「あんなにも壊れ物を扱うかのように抱くんだもの。きっと、立ち上がることすらも躊躇するほどじゃないかしら?」
「…そんなこと」
「あなただって、最初はそうだったじゃない」
そうしてディーナは先に治療を受けることになり、その場に3人を残して別室へと移動する。
ディーナのお腹にある傷に関しては医療知識がある神父ということもあり、すぐに体外から子供を取り出すために出来た傷だと気付いたようだった。驚いたようにしていくつもの質問を受ける中、丁寧に回答していくディーナ。
ただ、出産して間もないうちから安静にせずにあちこちと動き回ったことに関しては、厳しく叱りつけられることになった。
その後、治療を終えてディーナが3人の元へと戻った頃には、何人かのシスターたちが慌てた様子でこの場へと集まっていた。
赤子を可愛がる者から、ラジェイア公爵の傷に驚いて急いで治療道具を持って集まる者まで。トラヴィスは知り合いがいるのか楽しく会話している様子もあった。
「ディーナっ!」
そんな中、いち早くディーナの姿に気付いたジュールが駆け寄ってくる。
シスターたちの視線の中には、離れていくジュールを見て名残惜しそうにしている者がいることも分かって、ディーナは久しぶりに味わう感覚のように思えた。
「貴方が女性に囲まれているのを見るのも久々ね」
そうどこか嫌味のような言葉が出てしまったのを感じながらも、ディーナは治療してくれる神父のいる別室までジュールと共に移動する。本当ならばラジェイア公爵も連れてくるべきだろうが、あれだけのシスターに囲まれているのだから、誰かが治療してくれるだろう。
少しなにか言いたげにしているジュールの姿には気付いていたものの、別室にはすぐに到着して、ジュールの治療が始まるのだった。




