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今更、愛を誓うのですか?  作者: 黒塔
第5章 痛みを堪えて
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「さて、じゃぁ本題だ」



医者によってディーナの体の治療がされた後、ラジェイア公爵の声によって話し合いが再開する。ディーナは乳を飲む間に眠ってしまった我が子を抱きしめながらも、ジュールの横に座ってラジェイア公爵へと向き合った。



「俺の望みを端的にいうなら、お前たちが保護したその赤子をこちらに渡してもらいたい」


その後、ラジェイア公爵が語ったのは、ベルが残した子に関する秘密だった。




ラジェイア公爵には絶世の美女だと話題だった姉がいたが、そんな彼女は隣国の王子の元へと嫁ぎ、現在は王子妃として国を支えていた。そんな中、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだという。


すぐさま事態に気付いたラジェイア公爵の姉が処罰を下そうとしたものの、王子が手を貸す形で檻にいたはずの女が逃亡。怒り狂った姉から事情を聞かされていたラジェイア公爵が、今回その女…()()の捜査に加わっていたのだという。



「調べるところによると、ベルは魔女の血を継いでいる女だという。本人はその事実を知らないし魔術の類も使えないが、男の前では自覚なしに魅了魔法を使っているようだな。よっぽど、あの女自身は自分が美しすぎるゆえに、男たちが自分に夢中になるとでも思っているのだろう」



そんなラジェイア公爵の話を聞き、ディーナはジュールがベルに夢中になったのも全てはジュールの意思ではなかったのだと少しだけ安心することができた。ただ、それをジュール本人に確認する勇気はなくて、別の話題で話を流すことにする。




「ベルはまだ、別の男たちを誘惑して逃げ続けているのですか?」

「いや?そっちの件は上手く処理してある。ほら、あの別荘で顔を合わせているだろう。体格が良くて、普通の女が惚れそうにない毛むくじゃらの男」

「…えっと、…あの猟師のことですか?」



突然話を振られて驚いた様子のジュールが、少し考えた後にそう口にする。



「あぁ、恋愛方面にはまったく下手なやつだがな、うまくやってくれたよ」



最初は話を理解できなかったディーナも、猟師という言葉に納得することになる。ベルとジュールが2人で過ごしていたあの別荘に、偶然に迷い込んできたという猟師。バタバタとしておりきちんと調査していなかったが、確かにほとんど人の出入りがないはずの別荘にあの猟師は突如として迷い込んできたのだ。



「あの女の行方を追ってお前たちの元にいると突き止めたものの、まさか使用人1人すらもいない別荘に置き去りにされているなんてな。お陰でうちの自慢の諜報員たちを送り込めずに苦労した。代わりにあの別荘に送り込まれたのが、演技が下手な俺の護衛騎士ってわけだ」



その後、ラジェイア公爵はどこか楽しそうに語りだす。


ラジェイア公爵の護衛騎士だった男。そんな男はあの森にある別荘に訪れても違和感がないよう、猟師のふりをして任務に当たっていたのだという。魅了魔法が掛からない魔防具を持ち、()()()()()()()()()()()をしてあの屋敷から連れ出した…までは良かったのだが、ベルが赤子を置き去りにしたことに関しては完全な想定外だったそうだ。



「俺の目的はあの女を姉さんに引き渡すこと。姉さんは赤子の存在は知らないし、これから先も知らなくていいと思っている」



ラジェイア公爵の言葉にすべてが繋がる。



突然に別荘に現れた猟師の男。そうして、ベルが出ていった後にジュールの元に現れ、赤子と共に馬車に乗せたラジェイア公爵の行動。きっと彼は密かに赤子を奪うチャンスを狙っていたのだろう。





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