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今更、愛を誓うのですか?  作者: 黒塔
閑話  赤い瞳の秘密
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30/62

-1 ジュール視点





ディーナを連れた公爵家の馬車が去って行く様子を、ジュールはただ見つめていることしかできなかった。そんな状況で後ろから声が掛かる。



「厄介な人物と関わってしまいましたね」


話しかけてきたのはジュールの側近をしていたハワードであり、彼もジュールと同じく去っていた馬車の方角を見つめていた。


「旦那様、とりあえずはこの子を屋敷に連れ帰りましょう。医者の手配は出来ているはずです。あぁ、そうだ。旦那様は奥様の判断で、病気のために別荘で療養していたということになっていますから、うまく話しを合わせてくださいね。」



小声で、刃話0度からはそう告げられたジュール。ハワードが懐中時計を持って時間を確認している姿はあんなにもうんざりとしたはずなのに、今は…物凄く懐かしくて、胸が苦しくなる。


そんなハワードによって馬車に乗るよう促されたジュールだが、足取りは重たかった。





「俺のことはもう旦那様じゃなくていい。その…彼女にはもう新しい夫がいるんだろう?」



ついさっき、ジュールは久しぶりに会ったディーナのお腹が膨らんでいる姿を見て、驚くと同時にショックを受けた。彼女が自分を待っていてくれるだなんて…馬鹿な空想だと分かっていた。


ずっとずっとあの屋敷を離れることが出来なかったのは、いつしか彼女が迎えにきてくれるかもしれないと、そんな妄想を捨てることができなかったからだった。




だからこそジュールは彼女と出会った時、すぐに彼女の手を確認してしまった。彼女の左手の薬指に自分と同じ指輪があれば…。ただ、そんな淡い期待はすぐに壊されることになる。




(指輪はあったが…俺との指輪じゃない)


きっと、既に他の男と結ばれているのだろう。そんな事実にジュールは胸が締め付けられるような思いをするのだった。





「…彼女に捨てられた俺が今更、屋敷になんて戻れるはずがないだろう」


もしかしたら屋敷には、既に彼女と愛し合っている他の男がいるのかもしれなくて、ジュールは苦しそうにそう思いを吐き出す。しかし、隣で話を聞くハワードは酷く呆れたような様子に変わった。



「いいから早く乗ってください」

「っ、…ハワード!!」

「あなたの考えなんてどうでもいいですから。まずは赤子を救うことを考えてください!!」


結果的にはジュールの言い分なんか聞いてもらえないまま、馬車は進んでいくのだった。






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