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ラジェイア公爵の射貫くような視線に、どこか息苦しさを覚えるディーナ。彼はどこか楽し気に笑みを浮かべたまま、もう1度言葉を紡いだ。
「俺との結婚を受け入れるなら、お前に真実を話してやってもいい」
公爵からの提案に動揺してしまうディーナ。突然彼から求婚された理由も分からないまま、頭は混乱していた。そんな中、ディーナは目の端で、心配そうにこちらに駆け寄ってくるジュールの姿を見る。
「すみません、今日は頭が混乱していて…。また、後日お話させてください」
咄嗟に公爵との会話を彼に知られたくないと思って話を切り上げ、その場を離れようとしたディーナ。しかし、焦ったあまりにその場で足をもつれさせてしまった。
「ちっ、危ねぇなぁ」
転びそうになった瞬間、ディーナを支えてくれたのは馬車から降りてきたラジェイア公爵である。
「…すみません」
ラジェイア公爵の腕に抱きかかえられる形となったディーナだったが、それと同時にどこか傷ついた様子でこちらを見るジュールと目が合うことになる。より一層気まずさを覚えて、体勢を整えようとしたディーナ。しかし、その瞬間にディーナの体では異変が起きる。
ドレスの中でぱしゅんと音がし、ディーナの足の間に温かなものが伝った。
「っぁ…」
「どうした?」
ディーナの困惑したような姿に、傍にいたラジェイア公爵が異変に気付く。公爵は「緊急事態だからな」なんて告げてディーナのドレスを捲り上げ、すぐに何が起きているのかを理解するのだった。
「おいおい、ここで産むなよ」
そう告げたラジェイア公爵はディーナを抱き上げ、馬車へと乗せる。そうして、一歩遅れて駆け寄ってきたジュールにディーナを自分の屋敷に連れていく話をするのだった。
「公爵様…っ!」
「お前の方はその赤子を殺すんじゃねぇぞ!」
「…っ、待ってください、ディーナ!!!!」
ラジェイア公爵は引き留めるようなジュールの言葉を無視し、御者に命令してすぐに馬車を発車させた。その後、酷く揺れる車内で、彼はナイフを片手に慣れた様子でディーナのスカートを切り裂いていく。
「まったく、面倒なことになったな」
万が一出産が起きても対処できるようにディーナの足を広げさせ、座席に横たわらせるラジェイア公爵。一方で、ディーナは上2人の子の出産で味わったことがない事態ということもあり、困惑を隠せないでいた。不安で身体が震え、目の前にいる彼に縋ってしまう。
「お、お願い…この子を」
「お願いされなくとも、お前がここで死んだら腹を切り裂いて子供を出してやれる。手元が狂って子供ごと死なされたくないなら、ここで死ぬんじゃねえぞ」
ディーナはそうして揺れる馬車の中で、不安でいっぱいな時間を過ごすことになるのだった。




