-4
「…私を殺したらあの子は親を知らずにたった1人で生きていくことになるの。そんなの絶対に可哀想だわ!私も…私も親を知らずに生きてきたから苦労したの。そんな思い、あの子にさせたくないの」
早口でそう必死に命乞いをするベル。シリルは混乱しているのか、暫く返事を返さずにいて少しの間静寂が続いていた。
どうするべきかと悩んで、隠していた剣に手を伸ばすルチア。
このまま中に入ってしまえばいいのだ。そうして、あの女の喉を掻っ切ってしまえば…。
(そう、そして私も一緒に…)
そんなことを考えて、剣を強く握りしめたときだった。ルチアは中から聞こえた悲鳴に驚く。
「いやぁぁああ、痛い。痛いわ。シリル!!…うぅ…な、なんでなの!!!」
そんなベルの悲鳴と同時に、ルチアはあの場に1人でいるシリルを思って胸を痛める。今の彼は…一体、どんな心境であの場にいるのだろう。
「なぁ、お前の話が本当だとして、お前の子供には魔女の力は継がれるのか?」
「うぅ…そんなの知らない!!魔女ってなによ!私は、私が美しいからみんなが私に夢中になるだけよ。お願い!!シリル!!私は間違っていたの!私はあなたを、いやあああ!!!」
耳をつんざくような悲鳴が聞こえた後、中が静かになる。
その後、こつこつと足音がドアに近づいてきたのを感じて、ルチアは一歩後ろに下がった。中からは、血と埃にまみれ、げっそりとした顔つきの彼が出てくるのだった。




