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こつこつとした足音が響いた後、扉の外にいるルチアの元にも2人の会話が微かに聞こえた。
「シリル!私を助けに来てくれたのね!!私、あの男に騙されていたみたいなの!本当は私、あなたのことを一番愛していたのよ!」
キンキンと苛立つような女の声が聞こえて、ルチアは自分の拳を強く握った。…もし、魅了の力がシリルに作用していれば、この場ではもうシリルはベルの言いなりになるはずだからだ。
「あぁ、…俺は馬鹿だ。なんでこんなルチアの足元にも及ばない女に夢中になったんだろうな」
ただ、そこで聞こえてきたのは正気そうなシリルの声だった。
「シリル…?」
「本当はもっと苦しませてやりたいけど、お前は存在自体が危険だからな」
「きゃぁ!!ね、ねぇまって!!わ、私ね…あなたの子を産んだの!!」
それはルチアもシリルだって予想していなかった言葉だった。
「お腹を痛めて産んだあなたの子がいて、手放すしかなかったけど後悔しているのよ!だから…だから、私をここから逃がして!あなたと…あなたとあの子で一緒に暮らしましょう」
ベルの言葉に、ルチアは自分の指先から一気に冷たくなっていくのを感じるのだった。




