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そうしてそれは、北部に来てから半月ほど経ってからのことだった。
ルチアはデリックから「ベルを捕らえた」という伝言を受け取ることになる。少し前に隣国に渡ってから色々と悪さをしていたベルだったが、いろいろと良いチャンスも重なってベルを上手く策に嵌めることができたのだ。
そうして今日、ルチアの前には1台の馬車がやってきた。中にいるのは縛られて口を聞くことも、身動きすることも出来ずにいるベルであり、そんな彼女を荷物のように扱う1人の大柄な男が馬車を降りる。
「お疲れ様、準備は整っているから地下に運んでくれる?牢の中に投げ入れてくれれば、後は私の方で対処するから」
ルチアの言葉に従って黙々と作業を終えた男。全てを終えた後に疲れ切ったようにして座り込んだ彼は、すぐさまかけていた眼鏡を外した。
「あぁーやっと…やっと俺も解放された…」
そう大きなため息と共に酒を飲み干した後、騎士の男はルチアに向き直って何かを差し出す。それは彼が付けていた眼鏡であり、ガラスの面にはシリルの瞳にもある六芒星と同じ紋様が書かれていた。
「これが魔道具よね?」
「はい。ただ使っている間は目の奥に物凄い激痛が襲ってくることからも、使用はおすすめできません。正直、これが任務じゃなきゃ逃げ出したくなるほどに最悪でした」
そんな彼の言葉を聞き、ルチアは手にした眼鏡に視線を落とす。
それはデリックが色々と探し回り、この地にかつて住んでいたという魔術師を見つけて作ってもらったという魔道具だった。ベルの魅了が効かない魔法がかかっており、ベルを捕らえる今回の作戦において重要な役目を果たしたものである。
ただ、1つ作り出すのに膨大な時間と労力がかかることから、作戦決行までに1つしか用意できなかったと聞いている。




