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その後、ルチアはシリルと共に北部領主としての新しい生活を送っていた。
一年中雪が降り続く過酷な環境と貧しい財政状況の北部での暮らしは苦労も多いものの、ルチアもシリルもお互いの存在がいればなんだって苦ではなかった。
領民たちも、最初は魔女に唆されて国を傾かせたというシリルの噂を聞いて歓迎をしていなかったが、自分の生活を削ってまで領地に還元するシリルに少しずつ心を開き始めていた。ルチアがやって来てからは彼女の政治的なサポートもあって、少しずつ領地の経営状況も良い方向へと進んでいる。
そうしていつしか、シリルもルチアもこの北部で領主として受け入れられるようになったのだった。
そんなある日のこと、ルチアたちは北部に住む長老とも呼ばれる老婆から、北部を騒がせていた魔女についての話を聞くことになった。
なんでもこの地はかつて財源的にも豊かだったが、当時の領主が魔女によって狂わされて一気に領地を傾かせることになったという。それはまるでシリルのような入れ込みようで、結果的には領主の妻が魔女と領主を巻き込んだ心中事件を起こしたのだと教えてくれた。
「魔女は小さな子を連れていたが、その後の行方は知らぬ。まだ周囲の状況も理解できる状況じゃないから、母親が殺された理由も自分が魔女の力を持っている理由も知らんだろう。哀れな子だよ」
そう告げた老婆は皺だらけの指をシリルに向け、特殊な光彩を持った瞳についても話をする。
「…そうそう、あんたのその目は昔、この地にいた魔術師様が授けてくれたもんだ。魔女によって国のトップになるものが揺らいではいけんとな。魔術師様は…はて今どこにいるんだったかな」
全ての謎が繋がるような老婆の言葉は、その後、シリルを通して王宮にいるウォルターやロニーにも伝えた。老婆の言う残された魔女の子がベルなのだとしたら、やっぱりこの瞳はベルの魅了が効かない特殊なものだったのだ。
瞳の色はその力を濃く受け継いでいるのかを示すものであり、色が薄いシリルがベルの魅了に飲まれてしまった事情に関しても理解できる。
(やっぱり、あの女を放置できないわ)
顔が良く、家柄も良い男たちを狙い、まるで飽きたら次に映るようにして、高価な品を盗みながら各地を転々として過ごしているベル。
デリックのサポートもあってベルの居場所を常に追い続けているルチアだが、彼女に油断が見えたらすぐにでも始末するつもりだった。
なにより、彼女が同じ力を持つ子を残すことがないように。
同じ苦しみが決して自分たちの子孫に降りかかることがないよう、ルチアはずっとベルの動きに目を光らせているのだった。




