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そうして、食事を終えたときのことである。お茶が運ばれてきたタイミングで、シリルは離婚に関する書類を渡そうと書類に手を掛ける。
「ルチア、少し話が…」
しかし、ルチアはシリルが絞りだした小さな声には気付かなかったようで、どこかそわそわした様子でメイドを呼ぶ。すると、メイドは少し不格好なケーキの乗った皿を手にして部屋へと入ってくるのだった。
「もうすぐシリルの誕生日でしょう?本当はもう少し大きくて豪勢なものを作りたかったんだけど、お菓子作りなんてもう暫くしていないから」
そうどこか恥ずかしそうにしながら、メイドから受け取った不格好なケーキをシリルの前まで運んできたルチア。
「味は…ロニーやウォルターが保証してくれたから問題ないはずよ。…その、ほらここであなたのお誕生日をお祝いできるのも最後だから」
シリルはそんなケーキを前にして、書類から手を放した。
こんなにも愛おしい彼女と、どうして別れられるだろう。
シリルの目から次々に涙が流れだすと、ルチアは驚いたような表情に変わる。ルチアはハンカチを取り出すと、シリルの涙を優しく拭ってくれた。
「ルチア…俺は本当に…すまない。俺がどんなに償っても、君には一生…」
自分の中で言葉が定まらないまま、ぼろぼろとそう口から洩れていくシリル。自分の中の感情はもうぐちゃぐちゃで、彼女を自由にしてあげたいのに手放せないという思いでいっぱいだった。




