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何度も何度も悪夢なら早く覚めてほしいと願い、時には体を刃物で傷つけてみたものの…感じる痛みがこの世界は現実だと知らせてきた。苦しいのは自分が全てを失ったことではない。
…ルチアを…愛する彼女を酷く傷つけてしまったことだった。
いっそのこと、時間を戻せるのならルチアと出会う前の時間まで戻してほしかった。ルチアが傷つくことがない未来…きっと、彼女が隣国で元婚約者のミリウスと結婚したほうがずっと幸せだったはずだ。
今頃彼女は可愛い赤子を抱いていただろうし、きっと幸せな家庭を築けていただろう。それを全部奪ってしまったのは自分だった。
ふらふらと立ち上がったシリルは、机の引き出しの中に入ったとある書類を取り出す。
ここ最近、耐え切れない自己嫌悪に悩んでいたシリルは、ウォルターにお願いしてルチアとの離縁に必要な書類をまとめてもらっていた。
(ここにサインを貰えば…彼女はもう自由だ)
何の力も持たない自分がルチアのために出来るのはただこれだけだった。シリルはもう何度も繰り返したシュミレーションを、またもう一度頭の中で繰り返す。
彼女にどれだけ罵倒されてもいい。ただ、こんなお荷物が傍に居てはいけないと納得してもらうためにも、シリルはまた目を瞑って彼女に納得してもらうだけの言い訳を考えるのだった。




