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「昨日、あの女の水差しに毒を混ぜようと部屋に忍び込んだときにね、聞いちゃったの。私にはずっと先王妃から避妊薬を飲まされていて、医者の診断じゃもう子供を宿すことは出来ないだろうって。…シリルがそうベルに話していたのよ」
「は?」
「どうしてあの人は、ずっと私に本当のことを教えてはくれなかったのかしら」
そう告げたルチアは、胸元から隠していた小瓶を取り出す。それは昨日、水差しの中に入れようとして、結局入れずに持ち帰ってきたものだった。
そのまま瓶の蓋を明け、口につけようとしたルチア。しかし、焦ったようなデリックが立ち上がって、咄嗟に剣を抜いてルチアの持つ瓶を弾く。
瓶の中身は床に落ち、床に跳ねて毒が飛び散ったドレスはじわじわと溶かすように穴を開けていた。ルチアがデリックに求めていた通り、それは人を苦しませながら殺す最も恐ろしい毒だったのだ。
「姉さん!姉さんの望むことはなんだって叶える。けど、こんなのは絶対におかしい!この毒を手に入れたのは、姉さんが死ぬのを手助けするためじゃない」
デリックはルチアが瓶に残った毒に近づかないように、剣でけん制しながら落ちた瓶を足で遠くまで飛ばす。しかし、ルチアは構わずデリックが向けた剣に手で触れた。
「だったらデリック、あなたが私を殺してくれてもいいの。私は許せないの!私を裏切ったあの人を苦しませてやりたいのよ!!」
「っ、姉さん落ち着いてくれ!!!」
研ぎ澄まされた剣は、触れただけですぐにルチアの柔い肌を血で濡らしていく。ルチアは手が痛むのを気にせずに、そのまま剣先を自分の胸元にまで引き寄せた。




