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それは、とある日の午後のこと。ロニーは廊下からぼんやりとシリルがいる部屋を見つめていた。
相変わらずベルに夢中になったシリルや男たちは、ベルと共に部屋に閉じこもって過ごしている。一体何が行われているのかなんて想像したくないものの、父が色々と動いてくれていることもあってベルによって操られる男たちは徐々に数を減らしていた。
ロニーは一歩部屋に近づく度に、目の中の痛みが強くなるのを感じていた。部屋まではまだもう少し距離があるというのに、ロニーには冷や汗をかくほどの痛みが広がっている。
(でも、痛みがあったほうがずっといい。この忌々しい花の匂いで狂ってしまうよりもずっと…)
そう考えていたロニーだったが、ふと目の前の扉から見知った人物が出てくるのを見つける。
「ルチア様?」
「…あら、久しぶりね」
そう告げる彼女は以前よりもずっとやつれていた。ベルが現れた当時、ベルのおかしな力に気付かなかったこともあって、ルチアは本当にシリルが心変わりしたのだと傷つくことになった。今はベルがおかしな力を持っていると気づいて納得できる部分もあったようだが、それでも食事の量が減って、体はすっかり痩せてしまっている。
「ルチア様、ここへは…」
続く言葉を口にしようとしたロニーは、彼女が何か小瓶を持っていることに気付く。小瓶について触れていいのか分からなくて、ついつい目を泳がせてしまうロニー。すると、ルチアはロニーの反応に気付いて困ったように笑った。
「駄目よ、見なかったことにしてね」
そう言って小瓶を胸元に隠すルチア。
ベルが現れて暫くしてから…ルチアは、ベルを殺すことに酷く執着するようになった。
生家でもある公爵家の力を使い、様々にベルに対して暗殺者を仕向けたり、毒を仕込んだりと…以前までの優しかったルチアはすっかり変わってしまったのだ。




