-2
「ロニー来てたのか。体調は平気か?」
「平気だよ、目がずっとじりじりと痛いだけ。父様も大丈夫?」
「あぁ、俺も酷く目が痛い。せめてぐっすりと寝られればいいんだが」
何かおかしな力を使っているのか、傍に近づく多くの男たちを夢中にさせるベル。しかし、原因は不明であるもののロニーとウォルターだけは男でありながらベルに夢中になることはなかった。ベルが側にいることで目がじりじりと痛んで瞳の紋様が赤く光ることからも、自分たちが王家に伝わるこの瞳の力によって守られているだろうことがわかる。
瞳の秘密に関してはこの国でもあまり詳しくは知られていない内容であり、いつしか語り手が途絶えたこともあって今では”紋様が浮かんで色が赤に近いものが王の座に近い”としか知られていなかった。
それに同じ紋様を持つはずのシリルがベルに夢中になっている以上、全ては瞳の力が原因だとも思えない。それでも、ベルの魅了に効かずにいられるこの瞳のおかげで父がおかしくならず、こうして国が守られている事実はロニーも安心できる部分だった。
「シリル様は…このままおかしくなってしまうのでしょうか?」
いつだって明るくて真っすぐで、ロニーにとっては憧れだったシリル。彼が隣国で出会ったというルチアとの大恋愛は、今では観劇になって国民たちにも多く知られていた。
観劇は面白おかしく脚色されている部分はあるものの、2人の大恋愛は憧れるものたちも多かったはずだ。
先王妃の支配から抜け出したロニーにとっても、一緒にいて本当に素敵に思えた夫婦だったのに…。
「分からない。ただ、あのことはまだ口にしていないようだ」
そうして父が告げた台詞に、ロニーの気分も重くなる。




