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第十六話

 台所に続くリビングへ大登が入ると緑香以外の全員が揃ってお茶を楽しんでいた。

「さっきの話、考えたか?」

 祖父が大登へ投げ掛けるが、大登はなんの話か、思い出せないでいた。

 いつの間にか、大登の真横に立っていた橙子がそっと耳打ちする。

「あの、誰かに家事を任せるというお話ですよ」

「あぁ、あの話、今、決めなきゃいけないの」

 大登は少し呆れているが、祖父は「早いほうが良いだろう。また玄関で倒れられても困るし、早めに答えを出してくれよ」と言われ、大登は「……はい……」としか答えられない。

「今日、明日で無くてもいいわ。早い内に決めてくれたら、助かるわ」

 祖母も言う。

「誰に行って貰うか、考えなきゃいけないし、それに今の部屋だと狭いでしょうから、引っ越しも考えないといけないでしょ」

 祖母に言われて大登も「確かに」と思うが、今から新しい部屋を探すとか、急には想像も出来なかった。

 大登はひとまず淹れて貰った紅茶を味わうことにした。そして大皿に盛られている大量のクッキー、「橙子ちゃんと黄華ちゃんが焼いてくれたのよ」と祖母が言うと「生地を用意したのはフローラなんですけどね」と黄華が付け足す。

 勧められるがままに大登はクッキーへ手を伸ばし、一枚口へ入れてみる。

「おいしい」

 素直な感想だった。姉妹六人が嬉しそうな表情を見せる。

 十時のお茶が終わると大登は時間も有るのでスマホで新しい住まいでも探そうと思ったが、祖母が「小さな画面で探すと、目が悪くなるわよ」と祖父のパソコンを使うことを勧めてくる。

 しかし、そのパソコン、何年前に買ったのか、尋ねたくなる代物だが、通信速度は妙に安定しており、大登は祖父がメモリを増設したのだろうか、その様に推測していた。

 大登がパソコンの前へぽつりぽつりと不動産情報を検索していると橙子、黄華、茜に菫がいつの間にか集まっていて一緒にモニタを眺めていた。

 時間が経つのは早い。

 気が付いたら正午、青良と藍良が「お昼ですよ」と声を掛けにきたのは良いが、妹四人が同じ部屋に集まっていることに「あらあら、静かだと思ったら、皆、ここに居たの」と少々呆れていた。

昼食は昨夜の残りである唐揚げ、温め直して大登の前にドンッと置かれている。

「さすがに、無理!」

 一つ二つは食べれたが、それ以上は入らなかったし、ご飯を軽く一膳とお味噌汁しか入らなかった。

 昼食後、大登は午前に続けて祖父のパソコンで不動産情報を検索していたが、睡魔に襲われてパソコンのモニタに顔を当てそうになる。

「大登君、部屋で休まれたら良いですよ」

 いつの間にか斜め後ろに橙子が立っている。しかし、今の大登にはその事に驚くような反応も出来ず、「うん」と軽く頷いてパソコンの前から離れて二階の部屋を目指していた。

 大登にしてみれば軽い昼寝のつもりだったが、気が付いたら夕方だった。

「寝過ぎだよ」

 思わず独り言も出てしまう。

 廊下へ出るとこちらも目が覚めたばかりなのだろう、緑香が「おはよう」と少し眠そうな表情で大登に声を掛けてきた。

「寝ちゃったよ」

 大登は苦笑いしつつ、緑香に答えた。二人で仲良くダイニングへ行く。

 夕食は今朝収穫した大根を中心としたおでんだった。十時のお茶が済んだ直後からコトコトと煮た大根は味が染みて美味しかったのだが、何故か大登の前にはまだ唐揚げが置かれていた。

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