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第十四話

 コーヒーを飲んでいる間に畑仕事から祖父が戻ってくると大登は思っていたが、手間取っているのだろうか、コーヒーを飲み終えても祖父が戻ってこなかったから大登は畑へ行くことにした。

 一旦部屋へと戻って着替えてから畑へと向かった。部屋着で畑へ行くのは良いが、万が一にも手伝うことになって部屋着を汚すのが大登は嫌だった。

 仮に汚したとしても祖母か姉妹七人の誰かが洗ってくれるだろうが、大登にしてみれば仕事を増やすようで申し訳ない感じがあった。

 昨夜の雪がうっすらと残っていたが、大して降らなかったようだ。

 祖父と橙子の畑仕事は既に終わっていたようで座り込んで話している。橙子の横には大根と白菜が置かれている。おそらく今夜の御菜となるのだろう。

「じいちゃん、おはよう」

 大登は祖父に挨拶しつつ、橙子には会釈する。橙子も立ち上がって「おはようございます、大登君」と会釈する。

「お嬢さん、そんな堅苦しい挨拶せんでもええって」

 祖父は橙子に言い、続けてまだ眠そうな表情の大登に「昼まで寝てると思ってたよ」と声を掛ける。大登も「そのつもりだったんだけど、目が覚めて……」と素直に答え、「後で寝るかも」と言葉を繋げる。

「寝たらいいよ」

 祖父はそう言ってから「今、お嬢ちゃんと話してたんだが、一人か二人、連れて帰ったらどうだ」と話を繋げてくる。

 大登は祖父が何を言いたいのか、全くわからない。

「部屋が片付いてないって聞いたから、それなら家事が出来る人が居た方が良くないか?」

「さすがにそれは……」

 申し訳ないという思いもあるが、「一人暮らしをする」と言ってここまで来たわけだから誰かに家事を手伝って貰うのは間違っているように大登は感じた。

「俺なんか、下宿だったし、色々下宿先のおばさんに任せてたからな。大登も家事とか、誰かに任せていいんじゃないか」

「言われたら、確かに……」

 憧れの一人暮らしだったが、祖父に言われて無理が重なっていると大登は感じた。

「また体調崩しても、勿体なかろう。誰かに家事任せたら、アルバイトも一杯出来るぞ」

 橙子が横から「旦那様、大登君は大学生ですよ。まずは勉強を頑張って貰わないと」と言えば「お嬢ちゃん、真面目に答えんでもええって」と祖父は苦笑いしながら返す。

「兎に角、考えた方がいいぞ」

 祖父に言われて大登は一人暮らしにこだわるのは止めようと考えが傾き始めていた。

「そう言えば兄貴、どうしているのだろう。気にしたことなかったな」

 今になって兄も一人暮らしであったことを思い出した大登だった。

 兄は「上手い具合に一人暮らしを満喫しているのだろう」と大登は思う。

 祖父と橙子は収穫した大根と白菜を持って家へと戻っていったが、大登は二人が使った農具を片付けつつ、少し散歩することにした。

 散歩と言っても畑の周りを軽く歩くぐらいで数分したら家の中へ戻るつもりだった。

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