第7話 競馬場へ
私は家に帰ると、早速お父さんとお母さんに、ジョン先生と草原に行く相談をしました。このようなことは一度あったので(私はジョン先生と一緒に南の方にある鳥たちだけの国に行ったことがあります)、説得は比較的簡単だと思っていました。けれどお父さんもお母さんもすぐには首を縦に振りませんでした。
「ジョン先生と一緒だから何の問題もないよ」
と私は説得したのですが、
「前は飛行機で一日もかからず行けただろ? 今回は行くまでに何日もかかるところじゃないか。やはりお父さんは心配だ」
ただまったく駄目というわけではなく、お父さんとお母さんはジョン先生と相談した上でどうするか考えてみるということになりました。
翌日はお休みだったので、私は朝からジョン先生の病院に行きました。土曜日は先生のクリニックもお休みです。
「ハル、おはよう」
ハルは昨日のことがあったので、やや控えめにヒヒーンといななきました。庭の芝生に転がって、ウマ用のごはんをもぐもぐ食べています。
「ハンナさんでしたね。おはようございます」
「ハンナでいいよ」
「ではハンナ、今日はあなたも行くのですか?」
「え? どこに?」
「競馬場ですよ」
実は昨晩ハルが競馬が見たいというので、ジョン先生が色々と問い合わせて、私が着く直前にみんなで競馬場に行くことが決まったそうです。
「草原にもレースはありますが、この国ではどんな風にウマたちが競い合っているのか興味がありましてね。なんでもとても狭いところでせめぎ合っているそうじゃないですか」
(う~ん、競馬場がそんなに狭いと感じたことはないけど。けどよく考えると、私、競馬場に行ったことないや)
丁度そこにクラクションがプップーと鳴る音が聞こえました。
外に出て確かめてみると、ジョン先生がトラックの運転席から降りてくるところでした。
「おはようございます。これはどうしたんですか?」
「ハルを競馬場に連れていくのにどうしたらいいかと考えてね。結局トラックで運ぶのが一番かなと思って一台借りてきたんだ。そうだ。ハンナくんも競馬場に来るかい? 賭け事なしならお父さんたちも反対しないだろう」
私は、草原に行くことについて、まだお父さんお母さんの了解が得られていないことを話しました。
「そうか。ハンナくんに来てもらえると私も助かるし、動物たちも喜ぶんだが。何か手を考えないといけないね」
一旦その話は終わりにして、ジョン先生はトラックの後ろに周り、荷台の扉を開けました。
「まあこれならいいだろう。ハル、ちょっと暗いが安全運転でいくので少しの間我慢してくれたまえ」
「大丈夫ですよ、先生。私はあの暗い海の上を何十時間もかけて泳いできたくらいですから」




