第4話 謎の病気
患者さんが途切れたタイミングで、ジョン先生が外に出てきました。
「中はあなたが入るには狭そうだったのでね。こちらで失礼するよ」
ジョン先生は持ってきた小さな木の椅子を芝生の上に置きました。
「私の方こそわざわざ外に出てきていただいて申し訳ありません」
「構わないよ。この季節は外の方が気持ちいいくらいだから」
私は芝生の上に直接座り、メティスは私の肩の上にとまりました。
イヌのサクラやタヌキのモモ、それにほかの動物たちも、ウマが来たというので庭に集まってきました。
ハルは私にも聞き取れるように、人間の言葉で話し始めました。
「早速私がここに来た理由からお話ししたいところですが、けど皆さん、私がなぜ人間の言葉を話すのか知りたいですよね? それはごく簡単なことで、私の国では動物の力が強く、誰でも自由に人間の言葉が話せるからなのです」
みんなはキョトンとしています。それがちゃんとした理由になるのか計りかねているようでした。そしてそれは私も同じです。
「よく分からないですよね? とりあえずそういうものだと理解してください。私も長く自分の国を離れると人間の言葉が話せなくなります。けど今はまだ大丈夫」
ハルは話を続けました。
「実は私たちは自分たちの言葉で話すことを禁じられているのです。つい最近まで私もウマの言葉を自由に話すことができました。けれど今の皇帝が即位してから動物の言葉を話すことが禁じられてしまいました」
みんな不思議そうな顔をしています。私も同じ気持ちでした。動物の言葉を禁止して一体何になるというんだろう?
ジョン先生が言いました。
「それはつまり皇帝は反乱か何かを恐れているということかい?」
ハルは黙ってしまいました。
「答えたくなければいいんだよ」
と先生が言うと、ハルはゆっくりと言葉を選びながら答えました。
「そういうふうに考える動物もいますが、私たちがそれを口に出すことはありません」
ハルが再び話し始めました。
「私はウマの長老からの使いでこの地に参りました。といいますのも、私たちの国でおかしな病気がはやり始めたからです。その病気は、初めは単に無気力になったり、急に不安になって汗びっしょりになったりというものですが、段々身体が弱って病気になり、遂には死んでしまうものもおります。先生! どうか草原にお越しいただき、私たちの仲間を救っていただけないでしょうか?」




