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ハンナと先生 草原の国へ行く  作者: マツノポンティ さくら


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3/13

第3話 草原からの使い

その日、私はクリニックの中庭でメティスの語学特訓を受けていました。このところ天気の良い日が続いていたので、私たちは庭に出て、陽気の中で勉強をしていたのです。

ただこの日は少し暑く、じっとしていても汗ばむほどでした。私たちは庭に一本だけ生えているオリーブの木の下で、多少は直射日光を避けながら勉強を続けました。


「ジョン先生のお宅はこちらですか?」

私は顔を上げました。というのもそれが人間の言葉だったからです。

(庭に直接人が来るなんて珍(めずら)しいな)

とそのときは思いました。

けれどもそこには人は誰もいませんでした。そこにいたのは黒くつやつやと光る身体(からだ)を持つウマだったのです。


私はまだウマの言葉を覚えていませんでした。なので私は少し混乱(こんらん)しました。

(あれ? なんで私、ウマの言っている言葉が分かったんだろう?)

私が何も言わずにただぽかんと眺めているのを見て、そのウマは口を開きました。

「失礼しました。まだ名乗っていませんでしたね。私はハルと申します。ここから遠く、海の向こう、砂漠の手前、草原の国から参りました。ジョン先生にお目にかかりたく、お取り次ぎをお願いします」


私はすぐには返事ができませんでした。たしかに私はウマの言葉が理解できています。

そこで、少し言葉に詰まりながら、このように返事をしました。

「いえ、違うんです。私が言いたいのは、あの、、、どうしてあなたは人間の言葉が喋(しゃべ)れるの?」

そのウマは急にヒヒヒ~~~ンといななき、何かモゴモゴと唸(うな)ったり、首をしきりと振ったりし始めました。私は今度は本当に何も分かりませんでした。私が戸惑っていることに気付いたのか、そのウマは再び人間の言葉を話し始めました。

「忘れておりました。この国では動物たちは人間の言葉が喋れないのですね。そして私は自分の言葉が喋れる。嬉しいなあ」


私はまだ何のことか分かりませんでしたが、

「ごめんなさい。私はまだウマの言葉が喋れないの。ハルさんって言うの? 私はハンナです。ジョン先生の生徒、一番弟子かな?」

「それならハンナ、あなたは私の二番弟子ですね。私の一番弟子はジョン先生ですから」

と、メティスが話に入ってきました。

「ジョン先生にご用なら私が取り次いで参りましょう」

メティスはそう言うと、建物の方へ飛んでいきました。

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