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あなたに起こる奇跡 ~ まだまだ感染する知性『ミーム』 ~  作者: 風風風


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西へ西へ

あの独特のキレ味と、元大工という「職人の気質」が混ざったようなカッコよさは、まさにあの尼崎の街がルーツにあるんやね。


せやったら、次は「尼崎アマ」へ乗り込もうか。


「ミナミや岸和田とはまた一味違う、このディープでエネルギッシュな街をハックせなあかん」


湊がそんなふうに呟いて、尼崎の商店街を歩く姿が目に浮かぶわ。湊や結衣たちが、あの独特の空気感の中で、渚さんのような「飾らない強さ」と出会ったら、どんな化学反応が起きるんやろう。


「よう来たな、アマの街へ!」なんて、湊が誰かに肩を組まれて、そのまま一杯飲みに行く……そんな光景が似合いそうや。


どうする?次は尼崎へ飛んで、魂も揺さぶるような、最高にエッジの効いた物語の続きを書いてみようか?「アマの魂」を琳派の極彩色で塗り替えたら、とんでもない景色が見られそうやで!


尼崎アマか。ここはまた、ミナミや岸和田とは一味違う、濃厚な『毒』と『薬』が混ざり合ったような街やな」


湊は、阪神尼崎駅のホームに降り立つと、吹き抜ける風の匂いを嗅ぎとった。鉄の匂い、油の匂い、そして古き良き商店街の惣菜の匂い。そこには、東京の洗練とも、京都の雅とも違う、地に足の着いた「生きるための熱量」が渦巻いている。


結衣が隣で、スマホをポケットに深くしまい込む。「湊、ここではオシャレなハックは通用せえへんで。ここは、もっと……『根っこ』の部分に触らなきゃならん場所や」


「分かってるよ」湊は万年筆を軽く空中で鳴らした。「ここは、元大工の渚さんが育った街や。中途半端なもんを見せたら、アマの連中に鼻で笑われるだけや」


一行は、迷路のように入り組んだ商店街へと足を踏み入れた。昼間っから酒場が開き、おっちゃんたちが赤ら顔で談笑している。その光景を見つめる湊の目が、さっきまでの「枝雀さん憑依モード」とは違う、鋭くも温かいものに変わる。


湊がふと、立ち飲み屋の前で足を止めた。そこには、誰よりも男前に、誰よりも尼崎の風を背負ったような一人の女性がいた……という幻影を見た気がした。


「さあ、いくで」湊は店に入り、常連のおっちゃんたちの輪にスッと溶け込んだ。

「おっちゃん、ここらで一番『おもろい話』持ってるんは誰や? 金より値打ちのある、泥臭い話が聞きたいんや」


「なんや兄ちゃん、変わったこと言うな。面白い話か……それなら、この街の『錆び』の話でもしたろか」


おっちゃんが語り始めたのは、かつて工業地帯として栄え、今は新しい形を探し続けるこの街の、苦くも愛おしい歴史だった。湊は黙って聞き、その言葉の一つひとつを、万年筆で空中に描き留めていく。


「なるほど、錆びか。錆びるということは、生きてきた証や。この街の壁に刻まれた傷跡は、みんな誇り高い勲章やないか」


湊が万年筆を振ると、立ち飲み屋の壁が、琳派の筆致で描かれた「鉄と金の融合」のような美しい装飾に変わった。壁の錆びた箇所が金箔に変わり、荒れた塗装が極彩色の花々に変貌する。


「お、おい……なんやこれ!?」


店内の空気が一変した。ただの立ち飲み屋が、まるで黄金の茶室のように様変わりしたのだ。おっちゃんたちの驚きをよそに、湊はさらに踏み込む。


「あんたら、この街を『住みにくい』とか『ガラが悪い』とか言うんか? ちゃうやろ。この街は、自分を守るための殻が分厚いだけや。その中には、誰よりも熱い『愛』が詰まってる。それを、もっと表に出していこうやないか!」


湊の言葉に、店中の空気が震えた。結衣がそれに合わせるように、空中に光のラインを引く。それは、尼崎の工場群が夜空に描く複雑な配管の美しさを、そのままアートとして再構築したような光の造形だった。


「せや、俺らが持ってる『美意識』なんて、この街の泥臭い誇りに比べたら、砂粒みたいなもんや。みんな、もっと自分の街を自慢してええ!」


健太がリズムを刻む。商店街のシャッターが、ガシャンガシャンと音を立てて開き、そこから琳派の躍動感あふれる色彩が溢れ出した。尼崎という街が、まるで一つの巨大な舞台装置のように、極彩色の光を放ち始めたのだ。


そこに、どこからか聞こえてくるような、歯に衣着せぬ力強いツッコミの声。「なんやあんたら、派手なことしとるな! 尼崎の景色を勝手に書き換えて、家賃値上げしたら承知せえへんで!」


湊は、その声のしたほうを見て、満面の笑みを浮かべた。

「おっ、さすがアマの女! 鋭い突っ込みや。安心しなはれ、俺らは街の価値を上げるんやない。この街が持ってる『本来のカッコよさ』を、みんなが思い出せるようにするだけや」


尼崎の街の人々は、最初は戸惑っていた。でも、自分たちの住む街の「錆び」が金に変わり、いつも通っている商店街が「黄金の廊下」に変わっていく光景を見て、誰もが笑い出した。


「なんやこれ、おもろいやんけ!」

「俺らの街が、こんなに輝いてたんか!」


感染は、今度こそ爆発的な速さで広がった。工場で働く人たちも、商店街のおばちゃんたちも、路地裏で遊ぶ子供たちも、みんなが湊たちが仕掛けた「ハック」の波に乗った。


それは、尼崎という街が「自分自身」を誇りに思う瞬間だった。ブランド服を捨てて、作業着のままで最高に輝く。流行を追うのではなく、自分たちの生き様が流行そのものになる。


「渚さん、見てますか」湊は心の中で呟く。「あんたが背負ってきたこの街の強さは、やっぱり本物や」


尼崎の夜が深まる。工場地帯の明かりは、いつもよりずっと力強く、そして温かく街を照らしている。湊たちは、その光の中で、ただ笑い合っていた。


読者の君。

尼崎という街が、なぜこんなに強くて、おもろいのか。

それは、彼らが自分の「錆び」を隠さないからや。

傷ついても、汚れても、それさえも自分の美学に変えてしまう。


君も、自分の日常で「隠したい」と思っている部分はないか?

それこそが、君という人間を最高に面白くする「錆び」なんやで。


尼崎の街で教わったのは、ただ美しくあることやない。

泥臭くても、胸を張って生きることが、何よりも一番美しいってことや。


さあ、僕らの旅はまだまだ続く。

次は、君が住んでいる、その「錆びついた街」を、最高に輝かせてみようか。

地図を広げろ。僕たちは、どこへだって行く準備ができている。


湊の万年筆が、次の一手を待っている。

君の街の、一番面白い場所を教えてくれ。そこから、また物語を始めよう。

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