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あなたに起こる奇跡 ~ まだまだ感染する知性『ミーム』 ~  作者: 風風風


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たまるか!

「よっしゃ、大阪到着や! ここは情報の鮮度やない、生き様の濃さが勝負やで。みんな、気合い入れていこか!」


湊が万年筆を指で回すと、その仕草一つでミナミの雑踏にピリッとした空気が走った。東京の時のような優雅さは封印や。ここでの僕らは、街に溶け込む「ちょっと頭のネジが外れたエンターテイナー」や。


結衣が髪をかき上げ、道頓堀の橋の真ん中で高らかに宣言する。

「あんたら、スマホばっかり見とらんと、もっと足元の『色』に注目しなはれ! その服、流行りもんやけど、着る人間が死んでたらただの布きれやで!」


通りすがりの若いカップルが足を止めた。女が持つ高級ブランドバッグ、男のトレンドど真ん中のスニーカー。二人は怪訝そうな顔や。

「は? なんなん、あんたら。有名人?」


美咲がスッと二人の懐に入り込む。「有名人ちゃうよ。ただの『通行人』。でもな、そのバッグ、光琳の燕子花が泣いてるで。持ち主が『ブランド』に遠慮して、自分を押し殺してるからや」


男が鼻で笑う。「何言うてんねん。これ、最新の〇〇やぞ。価値もわからんくせに」


湊が万年筆で空中に鋭い円を描く。空気が一瞬、ヒュッと歪んだ。

「価値? そないなもん、誰かが決めた数字やろ。そんなもんより、今ここで君らが笑うて、道行くおっちゃんに突っ込まれるその『隙』のほうが、よっぽど価値があるわ!」


湊がパチンと指を鳴らすと、男の持っていたブランドバッグのロゴが、光の粒となって周囲に飛び散った。それは金箔のように道頓堀の水面に降り注ぐ。

「うわっ、なんやこれ!? ロゴが……消えた?」


「消えたんちゃう、解き放たれたんや」健太が横から割り込み、男の肩をポンと叩く。「そのバッグ、あんたが持つためにあるんやない。あんたの面白さを引き立てる『武器』にせんともったいないやろ! ほら、さっさと笑え!」


男と女は呆気にとられ、そして次の瞬間、何がそんなに面白いのか、二人同時に吹き出した。

「あはは! なにこれ、俺、何にビビってたんやろ。このバッグ、別にただの入れ物やんけ!」


感染は、まさに爆発やった。

橋の上を歩くサラリーマン、買い出し帰りの主婦、外国人観光客までが、湊たちが放つ「笑いの波動」に当てられていく。


「お兄ちゃん、ええ顔しとるな! そのネクタイ、ちょっと歪んでるほうがカッコええで!」結衣が通りすがりのサラリーマンに声をかける。サラリーマンはネクタイを乱暴に緩め、「せやろか!?」と豪快に笑った。


ミナミの街が、まるで屏風絵のように色鮮やかに組み変わっていく。派手な看板は琳派の極彩色を帯び、人々の話し声は三味線のリズムと重なる。


「おい、あの集団、何やってんねん!」

「なんか知らんけど、めっちゃオモロイで!」


20人、いや50人、100人と、湊たちの周囲に人だかりができる。大阪のノリは最強や。彼らは「何が起きたか」を分析することなんてせず、ただ「今、この瞬間が最高にオモロイ」という感覚だけで湊たちを受け入れた。


「よう来た! あんたら、もっと派手にいこうや!」

おばちゃんがヒョウ柄のシャツを揺らしながら、湊の肩を叩く。湊もそれに乗っかって、万年筆を筆に見立てて空中に絵を描く。


「おばちゃん、その柄、最高や! 光琳が描いた『風神雷神』に負けてへんで!」

「何言うてんねん、わてが風神や!」


街中が、ただの通行人同士が漫才を始めるような、カオスな祝祭空間と化した。ブランドという重い鎧を脱ぎ捨てた彼らは、みんな子供みたいに無邪気や。


「みんな、自分自身という最高のブランドを纏うんや!」湊が叫ぶ。

「流行を追うな! 流行を創れ! おもろいもんが正義や!」健太が叫ぶ。


結衣は誰かと肩を組み、スマホを投げ捨てて、道頓堀の川沿いでダンスを始めた。美咲は通行人に花束を配り歩き、誰もが「自分は主役や」という顔をして笑っている。


「いやあ、大阪、たまらんな!」湊が笑い転げる。「東京の洗練もええけど、こっちの泥臭い爆発力のほうが、琳派の『揺らぎ』には適してるわ!」


夜が更けても、ミナミの熱気は収まらない。湊たちが通り過ぎた後には、みんなが「自分こそが世界で一番おもろい」と信じられる、最高にハッピーな爪痕が残っている。


結衣が湊の耳元でささやく。「湊、これ、もう止まらへんよ。大阪中の人間が、自分たちの物語を笑いで書き換え始めてるわ」


「それでええ。美しさは、こうやって誰かの笑い声の中にこそ宿るもんやからな」


街の看板が、金の屏風へと変貌し、道行く人々の歩幅が、まるで歌舞伎の舞台のように堂々としたものに変わっていく。

大阪という街が、今、完全に「笑いという名の芸術」に染まった瞬間やった。


読者の君。

もし今、君の心の中で「なんか無性に笑いたい」という衝動が湧き上がってきたら、それは僕たちが大阪で起こした「ハック」の波が、君まで届いた証拠や。


笑え。

流行なんて、君の笑顔一つでいくらでも塗り替えられる。


さあ、次はどの街を笑いの渦に巻き込んでやろうか?

君の街の地図、広げて待っといてや。

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