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第17話 連携という名の型

山賊の痕跡を追い、森を進む。

道中は、思っていたよりも静かだった。


「なぁ、そういえば聞いてなかったけどさ」


前を歩く剣士が、振り返りもせずに言う。


「お前、冒険者……だよな?

 ランクはいくつだ?」


「……Eだ」


一瞬、空気が止まった。

次の瞬間、斥候が吹き出す。


「ははっ!正直でいいな!」


斥候の男が肩をすくめる。


「気にすんな。

 俺たちはCだ。こういう合同行動も慣れてる」


――なるほど。


内心で頷く。

だから、動きに無駄がないのか。


隊列は、自然と決まっていた。


前方を斥候が広く取り、気配を探る。

その後ろを剣士がどっしりと構える。

少し距離を空けて、ローブ姿の女性が歩く。


「彼女はヒーラーだ」


剣士が短く説明する。


「回復専門。前には出さない」


ヒーラーは、軽く手を振った。


「私が前に出る時は、

 だいたい誰かがやらかした時ね」


冗談めかした言葉。

だが、声は落ち着いている。


――役割が、はっきりしている。


斥候が続ける。


「基本は俺がかき乱す。

 注意を引いて、位置をずらす」


「そこで俺が留める」


剣士が言葉を継ぐ。


「派手さはないが、確実だ」


――なるほど。


連携。

型。

役割分担。


――さて。


俺の役割は、どうする?


前衛……とは言ったが。


今は初同行だ。

型を崩す理由はない。


なら、魔法で撹乱。

前衛が機能しているなら、それが一番無難だ。


「無理はしなくていいからね」


ヒーラーが、ちらりとこちらを見る。


「次に魔物に出会ったら、魔法見せて」


「その時は、な」


少し歩いた、その直後だった。

斥候が手を上げる。


「前方。さっきの熊の魔物だな」


さっき倒した魔物。

動きは、理解している。


剣士が前に出る。

斥候が横に回り込む。


俺と魔物との直線上に、空間が空いた。


――よし。


俺は狙いを定める。


そして。


ワインドアップ――

コッキング――

アクセラレーション――


このタイミングで。


「ファイアボール」


フォロースルー――


魔力の塊が、一直線に飛ぶ。

熊の肩口に着弾し、爆ぜた。


倒れる魔物。

一瞬の静寂。


「……」


「……」


誰も、すぐには口を開かなかった。


やがて、斥候がぽつりと言う。


「……何だ、その……変な出し方は……」


剣士が腕を組む。


「だが、正確だな」


ヒーラーは、少しだけ目を輝かせていた。


「面白いわね!」


俺は、何でもないふうを装って答える。


「これが一番、慣れてるだけだ」


――再現性が無いものは、使わん。


俺は辺りを見渡し、次に備えた。



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