【第6部】第12話 爆縮
「なぁなぁ……カイムさんや」
「さっきの魔石の件……か?」
「あぁ。あれは何のために?」
「知らん。
知らんが……多分、思いつきだ」
「戦闘には関係ない、のか?」
「多分……関係ない」
「あいつ……ドラゴン、相手にしてるんだよな?」
「あぁ」
「……つまり」
「検証、だろうな」
「……バカだな」
「いや、阿呆だ」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
――もう1回、撃ってこい。
足裏魔法ダッシュで接近。
魔法を放つ、
もしくは、爪、尾の攻撃を回避。
そして離脱。
俺はただ繰り返した。
――威力は凄そうだが……
――動きがデカい。
――フェイントもない。
――所詮、爬虫類。
「……作業だな」
俺は少し、ドラゴンの怒りを買うことにした。
足裏魔法ダッシュで顔面へ急接近。
右目に狙いを定める。
「ウィンドカッター」
右目を切り裂く。
『グギャアーーーー!!』
即、離脱。
「そろそろ、撃ってこい」
その時――
ドラゴンが頭を振る。
左目が俺を捉え、
睨見つけているのが分かる。
再び息を吸う。
胸郭が膨らむ。
ドラゴンが口を開き、
炎が、放たれる。
その瞬間――
――足裏魔法ダッシュ!!
俺はドラゴンの口の目の前に一瞬で移動。
右手を口の中に突っ込む。
「アイスミスト」
霧が広がり、
喉元に流れ込む。
次の瞬間――
喉から、音がした。
違う――
炎の音じゃない。
ボンッ――!!!
鈍い破裂音。
炎は、出なかった。
代わりに、
血が、噴き出す。
巨体が揺れ、
崩れる。
地面が震える。
沈黙。
風が止まった。
俺は返り血を浴びたが、
損傷はない。
ゆっくりと息を吐き、呟く
「……内圧、か」
「イロハー!!」
カイム達が駆け寄って来た。
カイムは俺の手を見る。
「……怪我はない、な?」
カイムは詠唱し、
水魔法で浴びた返り血を洗い流す。
「……冷たい」
「我慢しろ」
カイムは一通り俺の体を観察していた。
そして、
ザッツが口を開けたまま固まっている。
「……おい」
俺を見る。
「何したんだ、今」
俺は少しだけ考えた。
「喉を壊した」
「どうやってだよ!?」
一拍。
「構造だ」
「分かるか!!」
「シャルルの法則だ」
「知らん!!
てか最後アイスミストだろ!?
何でハズレ魔法で首ボンなんだよ!!」
俺はドラゴンを見下ろした。
「ブレスは強い」
一拍。
「気体の体積を急激に縮めた」
「あ?」
「大気が逆流し、内側から破裂した」
「あぁ!?」
「分かったか?」
「全然分からん!!」
「今度、シャルルさんに聞け」
「だから、誰だよ!?」
俺は視線を上げた。
空を見る。
「現象は、壊せる。
そういうことだ」
風が吹いた。
焦げた匂いが流れていく。
俺はカイムを向いた。
「回収するぞ」
「すまん。俺もよく分からん」
カイムが苦笑した。
「爆縮だ」
俺は一言で答え、
ドラゴンをマジックバッグに回収する。
背後で、
2人は顔を見合わせ、
急ぐ様に、マジックバッグを広げた。




