第11話 魔法は、誰のためにある?
数日が過ぎた。
朝、起きる。
軽く身体を動かす。
外に出て、依頼をこなす。
淡々とこなしていたら、Eランクに上がった。
採集系の依頼に加え、小型魔物の対応が増える。
薬草。
小型魔物の素材回収。
危険度は低い。
派手さもない。
でも、確実に数字は積み上がっていく。
――悪くない。
ギルドカードの記録が増えるたび、
この世界はちゃんと「仕事」を評価していると分かる。
信用は、感情じゃない。
積み上げだ。
それでいい。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
依頼と依頼の合間、
街の外れで身体を動かす時間を作るようになった。
走る。
跳ぶ。
しゃがむ。
捻る。
魔法は使わない。
――まず、自分の身体だ。
動かして分かることがある。
腰は、まだ大丈夫。
股関節も、許容範囲。
腹圧も、意識すれば保てる。
だが――
「……やっぱ、手首だな」
拳を握り、開く。
回旋させる。
ファイアーボールの反動は、確実にここに来る。
守りたい。
壊したくない。
一度壊れた手首は、元には戻らない。
――バンテージ、欲しいな。
だが、売っていない。
武具屋には剣と盾。
防具は金属か革。
”固定して、動かす”
そんな発想が、この世界にはない。
つまり――
この世界は、
“壊れない前提”で身体を扱っている。
というより……
“故障”を気にしていない。
故障より、怪我。
怪我より、命。
――ま、あたりまえか。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ふと、別の考えが浮かぶ。
――魔法使い相手なら、問題ない。
距離がある。
詠唱中に距離を詰めれば問題ない。
だが。
――相手が、戦士だったら?
鎧を着て、剣を持ち、距離を詰めてくる。
一歩。
二歩。
三歩。
刃が、視界を横切る。
近距離。
――素手で、いけるか?
殴る前に、切られる。
殴っても、弾かれる。
魔法使い、と思わせれば……可能性はある。
でも、
今の俺の身体は、正面からやる設計じゃない。
数日が過ぎた。
朝、起きる。
軽く身体を動かす。
外に出て、依頼をこなす。
淡々とこなしていたら、Eランクに上がった。
採集系の依頼に加え、小型魔物の対応が増える。
薬草。
小型魔物の素材回収。
危険度は低い。
派手さもない。
でも、確実に数字は積み上がっていく。
――悪くない。
ギルドカードの記録が増えるたび、
この世界はちゃんと「仕事」を評価していると分かる。
信用は、感情じゃない。
積み上げだ。
それでいい。
---
依頼と依頼の合間、
街の外れで身体を動かす時間を作るようになった。
走る。
跳ぶ。
しゃがむ。
捻る。
魔法は使わない。
――まず、自分の身体だ。
動かして分かることがある。
腰は、まだ大丈夫。
股関節も、許容範囲。
腹圧も、意識すれば保てる。
だが――
「……やっぱ、手首だな」
拳を握り、開く。
回旋させる。
ファイアーボールの反動は、確実にここに来る。
守りたい。
壊したくない。
一度壊れた手首は、元には戻らない。
――バンテージ、欲しいな。
だが、売っていない。
武具屋には剣と盾。
防具は金属か革。
「固定して、動かす」
そんな発想が、この世界にはない。
――つまり。
この世界は、
“壊れない前提”で身体を扱っている。
というより……
“故障”を気にしていない。
故障より、怪我。
怪我より、命。
――ま、あたりまえか。
---
ふと、別の考えが浮かぶ。
――魔法使い相手なら、問題ない。
距離がある。
詠唱中に距離を詰めれば問題ない。
だが。
――相手が、戦士だったら?
鎧を着て、剣を持ち、距離を詰めてくる。
一歩。
二歩。
三歩。
刃が、視界を横切る。
近距離。
――素手で、いけるか?
殴る前に、切られる。
殴っても、弾かれる。
魔法使い、と思わせれば……可能性はある。
でも、
今の俺の身体は、正面からやる設計じゃない。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
考えが、さらに深く潜る。
そもそも。
――魔法って、何用だ?
対魔物か?
対人か?
魔物は、基本的に単純だ。
動きも、狙いも、読みやすい。
数は多いが、意思は少ない。
対して、人は違う。
狙う。
詰める。
壊しに来る。
同じ魔法でも、
求められる“使い方”が、まるで違う。
なのに――
この世界は、
魔法を「一つ」として教える。
用途の説明はない。
身体設計の話もない。
威力と属性だけ。
――撃てるようになれば一人前ってことか。
「……雑だな。」
軽く息を吐く。
魔法は、便利だ。
間違いなく、強い。
でも――
俺の身体は、
魔法用に作られていない。
少なくとも、
今の身体を前提にするなら。
なら、やることは一つだ。
魔法に身体を合わせるんじゃない。
身体に合う魔法の使い方を、作る。
そのためには――
守る。
固める。
逃がさない。
道具がないなら、工夫する。
知識がないなら、考える。
数字は、勝手に増える。
だから今は――
壊れない準備をする。
空を見上げる。
今日も、雲一つない。
異世界生活は、
静かに、設計フェーズへ入っていた。




