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魔法塔開所式典及び入所式典
塔の主リーリエ・スヴァルトハイム 挨拶
「皆様、本日は――おめでとうございます。
魔法塔を預かります、リーリエ・スヴァルトハイムです。
本日は皆様の入所式であるとともに、この塔の開所の日でもあります。
皆様どうか、この日を忘れないでください。
今日という日は、ただの入所式ではありません。
歴史の頁をめくる日です。
一年前の、戦争が終わったあの日。私たちは頁をめくりました。
エルディフィア王国という新しい頁です。
荒れ果てた大地には再び命が戻り、焼け落ちた街には灯りがともり、絶望に沈んでいた人々は、ようやく未来という言葉を口にできるようになりました。
自分の力で立ち上がり、希望を胸に歩き出す。その度私たちは新しい頁へと進みました。
そして本日――魔法塔という新たな頁を皆さんと一緒に目の当たりにしているのです。
この国に、新しい象徴が生まれます。
それが、この魔法塔です。
これは建物ではありません。
これは権威でもありません。
これは――誓いです。
知を恐れないという誓い。
可能性を閉ざさないという誓い。
そして何より――
才能が、拒まれることがないという誓いです。
魔法使いになる前の私は、ただの伯爵令嬢でした。
かつての祖国では、令嬢が魔法を使うことは嘲笑の対象でした。戦場に立つなど、論外だったでしょう。
ですが私は、魔法が好きだった。
ただ、それだけです。
才能があったからではありません。
許されたからでもありません。
好きだったから、手放せなかった。
その心を、陛下は見出してくださいました。
『ならば、その力を世界のために使え』
そう言って、戦場へ連れ出してくださった。
――私は、その日初めて知りました。
私の力は、閉じ込めておかなくていいという事。
だから私はここにいます。
塔の主としてではなく、
皆様と同じ――学び続ける者として。
私はまだ十五歳の若輩者です。
魔法以外のことは、何も知りません。
ですが、ひとつだけ断言できます。
この塔に入った皆様は、必ず世界を変えます。
大きく変える必要はありません。
国を動かさなくてもいい。歴史に名を残さなくてもいい。
たった一人、あなたの人生を救えたなら、それはもう奇跡です。
そして――
奇跡を起こせるのが、魔法です。
どうか誇ってください。
ここに立っている自分を。
選ばれた才能ではなく、選んだ意志を。
この塔は、その意志を裏切りません。
魔法塔は、貴方たちが進む為の道標となり、とまり木となり、杖となるでしょう。
本日ここに、宣言します。
この塔は――
未来に開かれているのです。
皆様を迎えられたことを、心から誇りに思います。
共に歩みましょう。
共に証明しましょう。
知と意志が、世界を救えると。
――ようこそ、魔法塔へ。」




