第24話 小さな峰(2)
「でも、結構いけるもんだな。最初に誘われたときは、正直ちょっと嫌だったけど」
「たまに来るといいだろ。俺もずいぶん久しぶりだ」
二人は岩の端に腰を下ろし、山を吹き上がってくる風で汗を冷ました。ジフンは、次にいつ来られるかわからない景色を、できるだけ目に焼きつけておきたかった。ふと思いついてカメラの巻き上げダイヤルをくるくる回し、風景を一枚撮った。
「最近のお前の顔見てると、クソでも飲み込んだのかと思うんだよ。こうやって体動かしてりゃ、余計なことも考えねえだろ」
ジフンは考え込んだ。忘れていたことが浮かんできたが、前ほど複雑には感じられなかった。むしろ、一つずつ順番に整理されたようだった。ちょうど今、デヒョンと二人きりだった。
「その……まあ、いろいろあってさ。お前に聞きたいこともあるし」
デヒョンは「俺に?」と、不思議そうな顔をした。ジフンはひとまず、別の話題から切り出した。
「ええと……まず、大学とかさ。お前が一番勉強できるじゃん。何か考えてる?」
デヒョンは意外な質問に驚いた。急に大学の話とは。
「何だよ、大学って。大学入試まで、まだ一年以上あるぞ」
あっさりした答えに、ジフンは次の言葉をゆっくり選んだ。沈黙を破って、デヒョンが続けた。
「お前も、そういうこと考えるときがあるんだな」
二人は景色を眺めた。頂上に着いて喜んでいた人たちも、いつの間にか入れ替わっていたようだった。
「お前だけにしとけよ。そうやって聞いてくれたから話すけど、俺、実は……」
デヒョンはゆっくりと言葉を続けた。
「神父になろうと思ってるんだ。それで、そっちに進もうかなって」
ジフンには、すぐには意味がわからなかった。
「お前は新郎だろ」
「面白いか?」
二人はくすくす笑った。
「いや、あんまり思いがけなかったからさ。これ、本当に知らなくて聞くんだけど、勉強できないとなれねえの?」
「そこまでじゃないけど……勉強はただ、できるようになりたいからやってるだけで。考え始めてからは、結構経つよ」
「神父って結婚しないよな?」
デヒョンはうなずいて答えた。
「そうだよ。神学校に入るまでに誰とも付き合わなかったら、一生彼女なしだな。はは」
「でも、お前、彼女いたじゃん」
「あんなの付き合ったうちに入るかよ。学校に入る前なら、付き合うこともできるだろ。入ったら一生童貞ってことだよ。これでいいか?」
ジフンは、笑うところで笑えなかった。デヒョンはまた黙り込んだ友達に、神父になるまでの道のりを簡単に説明した。
「……そうやって、叙階を受ければ神父になるんだ」
長い道のりを駆け足で聞いたジフンが尋ねた。
「他には誰が知ってる? 親は? 何て言ってんの?」
「うちの教会の神父さんたちが少し知ってるだけ。今は学校生活をしっかりやれって言われてる。ヒジェは中学からの付き合いだから、何となく気づいてるみたいだけど、話したことはないな。あえて聞かないんだと思う」
「そうか……」
教会に通っているのは知っていたが、そこまで信心深いとは知らなかった。
「でも、そんなやつが何で酒飲んだり煙草吸ったりしてんだよ」
「わかんねえ。それも悪あがきなのか、俺がもともとそういう人間なのか」
ジフンは頭をがしがしとかき、街を見下ろした。あの下のどこかに学校があり、友達がいて、ヒソルもいた。デヒョンが本当にあのすべてを置いてその道へ進めるのだと思うと、嫉妬も疑いも、何もかも恥ずかしくなった。
「本当に神学校に行くと思う?」
「わかんねえよ」
デヒョンは笑って答えたが、すぐに笑みを消した。
「行かないかもしれねえし」
ジフンは、本当にそうなってほしかった。
「行かないわけにはいかねえの?」
デヒョンには、友達の心からの言葉がありがたかった。行かずに済む方法はいくらでもあった。口実もあり余っていた。それでも、行かなければならない、行きたい、その一つの理由で、今日もその道の上に立っていた。
「あんまり気にすんな。神学校に行ったからって、一生会えなくなるわけじゃねえし」
太陽が高く昇る頃に登り始めたのに、もう日は山の向こうへ傾きかけていた。これ以上遅くなると、下り道が暗くなって危ないかもしれないと、デヒョンは思った。
「とりあえず下りようぜ。歩きながら話そう。日が落ちたら下りられなくなるぞ」
ジフンは山の中にでも友達を縛りつけておきたいかのように、その場を動かなかった。デヒョンは立ち上がって尻を払っていた手を止め、また同じ場所に座った。将来の話だけで、ここまで真剣になるはずがなかった。
「山はすぐ暗くなるからさ。まあ、いいよ。その顔じゃ、まだ言いたいことの半分も言えてねえんだろ」
「うん。日が落ちるまで、まだ少しありそうだし」
ジフンはすぐに続けた。もうためらいはなかった。
「お前、好きな人いるじゃん。それも何か関係あんの?」
デヒョンには、何を言っているのかわからなかった。
「何の話? 俺が誰を好きだって?」
ジフンは景色を眺めながら煙草を取り出したが、周りの風景が目に入ると「あっ」と小さく声を漏らし、鞄に戻した。
「好きなのかどうか、はっきりはわかんねえけど。何か特別な気持ちはあるんだろうなって」
デヒョンは顔がこわばるのを隠せなかった。気軽に連絡を取り合う女の子は一人か二人いたが、今ジフンが話しているのはそちらではなかった。
「この前、友達からそういう話を聞いたんだ。好きな人がいると、何でもないことまで覚えてたり、何かと気にかけて、世話を焼きたくなったりするんだって」
ジフンは一度言葉を切り、表情をうかがったが、デヒョンは何も反応しなかった。
――参ったな……。
ジフンの口から出てくる名前が怖かった。どう説明すればいいか、それとも、とぼけるべきかと迷った。だが、ジフンはいつになく確信に満ちていた。自分のことだけ気にしていればいいのに、人のことまでよく見ていたものだと思った。
「それで、たまたまお前を見てさ。誰を気にかけてんのか、わかったんだよ。それからは、そこばっかり目について、できるだけ気づかないふりしてた」
ジフンはデヒョンの表情を慎重にうかがった。その顔だけで十分だった。
「その顔……やっぱり、俺が思ったとおりなんだな」
山の上の風は涼しかったが、もう冷ます汗は残っていなかった。




