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※この作品には性別転換・ダークファンタジー要素があります。
※誤字脱字があれば申し訳ないです。
葬式後公爵と侯爵が話し合い骨は侯爵家が持っていることになった。
ラヴはその結果に大分不服だったし、アゼリアのことは祖父に訊けないしで不満が募っていた。
だが我儘を言える立場ではないので仕方なく我慢した。
次の日……
ナタールとラヴ達は日の出と同時に起き、昨夜荷造りした鞄を侍女たちに持たせると馬車に乗り学園に戻っていた。
「ラヴ」
「何ですか?」
馬車に揺られながら器用に本を読みながらラヴは返事をした。
「あの星とやらは本当にお前と契約しているのか」
「えぇ、あれは例外の出来事なだけです。今だって呼ぼうと思えば厭々応えてくれると思いますよ」
ペラりと音をたてながら一ページ捲る。
「なら尚更あの利益というのはどういう意味なんだ?」
少しの間その疑問を頭の中で反復させると、ラヴは本をしおりも挟まずに閉じナタールの顔を見て訊き返した。
「……はい?」
「だってよ、もし利益とかいうそれが契約の条件ならその利益というのを言い訳に星はお前の言う事を無視できるだろ?」
しばらくラヴは呆気にとられると盛大なため息とともに、低い声で続いて言う。
「ナタ……私だって馬鹿じゃないんです。そんなデメリット位考慮してますよ」
例えば?とナタールは首を傾げた。
そもそもですね、とラヴは本を膝の上に置きナタールの顔を見つめ言った。
「星と契約するにはちゃんと契約書を用意してお互いそこに名を書くんですよ」
「契約書?」
「はい、かの有名な星たちの王である太陽と月でさえ破ることは不可能な程の強力な契約書です」
窓の外には雨がパラパラと雨が降っている。
「私はそこに条件を出し、彼らはそれを読んだ上で不満や条件の付け足しなどを彼らは要求してきます。私はそれらの内容を裏付けの確認など、時間をかけて契約書に署名します。それは星も同じです」
「じゃあその契約書にその考慮とやらをしているのか?」
「まあそんなとこです」
説明が面倒くさくなったラヴはそう適当に返事をした。
「でもよ、お前がその星とやらとそんな会合のようなことをしている場面を見たことねぇぞ?」
なんだ、ナタは星に興味でも湧いたのか?そう不審に思いながらもラヴはこたえる。
「当たり前です。彼らと契約している間私は別の空間に意識が飛んでいるのですから」
あの日、月と太陽に預言してもらった後現実に戻って来ると服が戻ったのもそういう訳だ。
飽くまであそこはラヴにとって仮想空間に過ぎない。
彼処に実体ごと行けるのは星と例の占星術を作った人だけだろう。
——というかその人死んでるのか。ラヴは自身にツッコミを入れ思った。
「私も気になるのですが」
「ああ何だ?」
「どうして急にそんなこと訊くんですか?」
いや、別に特別ことはねえよ?とナタは目で追えないほど早く流れていく外を見て続いて言う。
「ただな、あの伯母さんが……何だっけなあの虎」
「火星です」
「そうそう。あんなに火星に怯えてたけどさ、あれは星そのものの怖さであって、ラヴまで怖がる理由にはならなくない? ……まあ、お前が火星を使って脅してたのもあるんだろうけど」
ナタールはラヴの顔を見て付け足した。
「で、俺改めてお前のマナを魔眼で見たんだよ」
――マナとは生まれ付き持つ魔力とはまた別に、奇跡として現れる由緒正しい血筋しか持たない物。
ナタールのマナによる奇跡はその魔眼で、相手の魔力やマナの状態、弱点を見抜くことが確認出来る。
ラヴの奇跡は星など超自然的存在などに対する親和力が常人離れしていることだ。奇跡のお陰でラヴは月と太陽から何かと気に掛けてもらっていると言っても過言ではない。
「そしたらさ、何か変な物が見えて」
「変な物?」
あぁ……とナタールは真剣に頷く。
「こうなんて言ったら良いか。お前の何かと、何かがぶつかり合ってるんだよ」
「抽象的な言葉ですね」
そうラヴは言うが、少しこの言葉に既視感を抱いた。
「いや本当に、言いようが無いんだって。今も何だがそれがお前の何かを吸っているような感じなんだよ」
何か気味の悪い物でも見ているようにナタールは言った。
「あっ」
既視感の正体が分かりラヴは思わずそう声に出した。
「何か心当たりがあるのか?」
「心当たり……ではないですね。少し前に知り合いから同じことを言われたので既視感があったんです」
ほうと感心するような声をナタールは出した。
「その人も魔眼を持っているのか?」
「いえ、あの人たちは何というか……占星術を使えるんです。占星術に興味があると言ったら占ってくれて」
全てが嘘ではない。そうラヴは自分に言い聞かせる。
けれど、昔の時のように嘘を付くことに抵抗がないことにラヴは一瞬違和感を覚えた。
だが、大人になったからかな?と納得した。
「それで?言いたいことはそれだけ?」
「あっ、あぁ。すまないな。何も分からなくて」
ナタールにしては意外に落ち込んでいるようだ。
ナタなら笑って誤魔化すと思っていたラヴは少し調子が狂い、良いよと座り直した瞬間。
ガタンと馬車が都合悪く揺れた。
ラヴはナタールに凭れ掛かるように躓く。
そして、ナタールは紳士としての条件反射でラヴを軽やかにお姫様抱っこしてしまった。
二人の間に少しの間気まずい空気が流れる……
ラヴはやっとの事で口を開いた。
「えっと……降ろしてくれて良いよ?受け止めてくれありがとう」
「あっそうだな。すまんすまん……」
とナタールは言葉に詰まりながら、ラヴを優しく向かいに降ろした。
その後はお互い何故か気まずく馬車の中は沈黙に包まれた。
そんなこんなで、間もなくして馬車の扉が開いた。
ナタールが先に出るとラヴ手を差し出した。
ラヴはその手を取りドレスを踏まないように細心の気を遣いながら馬車から降りた。
相変わらずの大きな校舎に二人は少し日常が戻って来たような気がし顔を見合わせ、謎の笑みをお互い向け合うと校舎の中に入って行った。
何時も通り二人を見る視線は多い。だが何か違和感のある見方に二人は首を傾げた。
まず寮に戻り荷物を片付け、制服に着替えると部屋から出た。
この後の通常授業にラヴは疲れを感じながら教室に向かった。
……矢張り視線が少し変だった。
今まで沢山の人の目に晒されてきたラヴはそう察した。
「ラヴ!」
この声はナタールだ。
声の方を見ると、制服を着たナタールが走りながらラヴに向かって来ていた。
何ですか?とラヴが訊く前にナタールはラヴの手首を掴み走り出した。
今から向かうはずの教室に来ると、ナタールは彼処!と叫びながらラヴの机を指差した。
指の先には、インクか何かで真っ黒になったラヴの机があった。
はぁ……と、ラヴはため息を付きながら己の真っ黒な泥のような物が被っている机に歩み寄ると『地球』と名を読んだ。
『どうしたんだよ』
あくびを噛み締めながら水を纏った星はラヴの肩に坐る。
そしてラヴの視線の先に目をやり、青い水をカッと赤くさせ机の周りを飛び回った。
『何だよこれ?!誰がやったんだ?!今直ぐ探し出してやっつけてやる』
「地球、少し黙りなさい」
冷徹な声でそう火のように燃える地球にラヴは言った。
その声色に流石の地球も口を閉ざす。
「貴方はその泥を消してくれたら良いの。その他の事は任せて」
『む……分かったよ』
と何か不服そうな顔をしながら地球は水で机を洗った。
教室の外にはそれらを嫌な視線で傍観する生徒が大勢。
まだ朝なので恐らく教師たちは朝の職員会議をしているのだろう。
「ほんっとうにくだらない」
そうラヴは綺麗になった机を睨みつけながら吐き捨てるように言った。
こんなことが預言にあった、藻掻き苦しむ程の出来事な訳ない。
こんなことに比べれば母が死んだ時の方がよっぽど苦しかった。
「ラっラヴ……」
顔色を伺うようにナタールが声を掛けた。
すう……と呼吸を整えると、ラヴは不思議なほどに可愛らしい満面の笑みを浮かべてナタールに言った。
「何ですか?お兄様」
予想外な笑みにナタールはえっ、と後退りしたあと言った。
「いや、大丈夫か?」
「何がです?」
「だってあんな嫌がらせ、傷付くだろ?」
アハハと自然な微笑みを零してラヴは続いて言う。
「あんなので傷付くなんて嫌ですわお兄様ったら」
更に笑みを増してラヴは言う。
「あんな低俗な嫌がらせ。考えた方はきっと病んでいらっしゃるのよ、ねぇ地球」
『えっ我か?』
なんの前触れもなく話しを振られ地球は思わず戸惑った。
だが直ぐ様ラヴの考えを察し言った。
『あっあぁ、そのとおりだ。実行した奴もきっと自信を無くしてしまった可哀想な奴なんだろう。本当に哀れな奴だ』
——名乗り来させるのよ煽って。
『きっと今も』
ラヴは横目に教室の外にいる人たちを見た。
『すっごくそれそれは後悔してるに違いない』
地球は態と外にまで聞こえる程のボリュームで言った。
その時、透き通るような水を纏ったイルカの姿をした海王星がラヴの影に潜んでいた。
海王星は普通の人間には聞き取れない音波でここにいる人間の脳を刺激していたのだ。
そうすることで、人間は知らぬうちに感情的になり歯止めが効かなくなる。
『我ら星人夜。魚待ってるから』
海王星がそうラヴに囁いた。
「分かってるから続けてちょうだい」
ラヴの眼差しは真剣だった。
これをしでかした奴を仕留めなければ、預言の思い通りになると確信していたからだ。
そうすると、案の定誰かが人を掻き分けてラヴ達に向かって歩いて来た。
オレンジ掛かっている赤毛に灰色の目、ラヴはその容姿に心当たりが無く誰だったが思い出そうとした。
「黙って聞いていれば、勝手なことを言って。誰が後悔したって言ったの?そんな訳ないでしょ?!」
顔を真っ赤にさせながらその人は言う。
「あの失礼ですが……」
話しを遮りラヴは芝居がかっている動作をした。
「何方でしょうか?」
「は?」
「ご機嫌を害されたのであればお詫び申し上げます。が、それよりも私は失礼ながら貴女の名前を知らないので。ナタは何方がご存知で?」
ナタールは急に話しを振られたのに戸惑いながらも首を横に振る。
その人はえ?と声を震わせながら言うと続いてナタールに向かって訊ねる。
「ナタール様、御冗談を。私が転んだとき華麗に受け止めてくださいましたじゃありませんか」
頭を捻らせるがナタールは女子を受け止めたことがあり過ぎて誰だったか良く思いだせないようだ。
「そんな、貴女が……」
ラヴの方を見てその人は更に言う。
「貴女が、何か仕組んだでしょう!そうよそうに決まってる」
覚えのない言い掛かりにナタールとラヴは顔を見合わせ首を傾げる。
ラヴはため息を付きながらこの事態もやっぱり預言の一環なのだろうかと確信を持つ。
そしてその預言に加担しているかもしれない赤毛に訊ねる。
「どうしてそんな風に思うのですか?」
「どうしてって本気で言ってるの?」
嘲笑を浮かべながら続いて赤毛は言う。
「貴女、ナタール様のことを怒鳴っていたじゃない」
二人はしばらくの間沈黙したあと、吐き捨てるように言った。
「………はあ?」
「なによ!証拠だってあるのよ?!」
「証拠?」
ラヴが言った。
そうよ!と赤毛は強く言いながらポケットから何かを取り出した。
それは小さな丸い水晶でそれを使えばあらゆる物を録画できることが出来る物だった。
赤毛は水晶に魔力を流し込み映像を二人に見せつけるようにして持った。
最初はぎこちなく動いていた水晶だが段々滑らかに動き出し映像が流れた。
何処かの廊下だろうか。微かに話し声が聞こえてくる。
――……帰るわよつってんのよ!
この声は!と二人は水晶を良く見ようと乗り出した。
地球も勘づいてラヴの頭の上に乗り同じように乗り出した覗いた。
長い金髪を降ろしたラヴらしき人物が続いて短い金髪のナタールらしき人物に怒鳴る。
――……ほら、呆けてないで今すぐ部屋に荷物取りに行きなさいよ!早く行ってきて!私を待たせないでよ!?
あれ?ラヴはその会話を見ながら思った。
「ねえ、これ本当に私達の会話?」
赤毛は更に怒鳴りラヴに言う。
「なに言ってんのよ!こんな、こんな……こっこんな金髪してるの。貴女しかいないじゃない!馬鹿にしてるの?!」
つまりこれ程見事に美しく艷やかな金髪はラヴしかいないという意味だろう。
とはいえ本当にその通りで、少し画像が荒いこの映像からでも分かるほどラヴの髪の毛はキラキラと輝く金鉱石のように光を反射して、思わず見惚れるほど美しい。
「けど、これ捏造されてる」
だよな!とナタールはラヴに強く同意見した。
「俺、ラヴに背中を叩かれた覚えなんかないし。何よりこんな強い言い方されたことないぞ……」
「うん、私も同じこと思った」
ふむと地球は可愛いらしい青い足を組み続いて言う。
『ということは貴様はかの有名な公爵家の令嬢と跡取りの会話を盗撮した上に捏造し、更には令嬢の机を汚し――』
小さな指で数えていく。
『乱暴な言葉遣いで侮辱し、名誉毀損したと?』
「ちがっ――」
そこまで赤毛の少女が何かを言いかけたところで、視界に白い指が現れたと思えば清々しい音を立てながらその手は少女の頬を叩いた。
突然の出来事にナタールと赤毛は困惑した。
「貴女改めて訊くけどお名前は?」
「え?」
床に倒れた赤毛は頬に手をやる。
「お名前は?」
ラヴは構わず名前を訊く。
名前を言えばきっと家門に影響が及ぶと考えた赤毛は何とか釈明しようと謝った。
「ごっごめんなさい。本当に、本当に……」
はぁ全く……とラヴは心底呆れたようなため息を付くと、魔法で扇子を取り出した。
「もう一度訊くわよ。これが最後」
と赤毛の顎に扇子を当てながら続いて言う。
「貴女の、お名前は?」
「ごめん、ごめんなさい」
赤毛は泣いて詫びることしかせず名前は言わない。
もう良いわとラヴは言いながら肩に氷のオウムを出現させた。
つまり水星だ。
『どうしました?我ら星人夜』
「今は主人よ。そんなことより彼女の名前を教えて」
オウムは首を傾げ片目を少女に近付け更に凝視する。
ナタールはその奇怪な動きに少し背筋を凍らせた。
すると水星は首の位置を戻し、くちばしを開くと機械的な動きをしながら言った。
『解析完了。彼女はノエル・ソルセ・デ・メーナという名です。メーナは代々洋服などを軸にして商売や製造などをしている家門です。爵位は男爵、凡そ七十年前に爵位を金で買いました。父が一人、母が一人、娘であるノエルが一人の三人家族です。他にご質問はありますか?我が主人』
「結構よ、どうも詳しいとこまでありがとう」
氷のオウムの上嘴を優しく撫で褒める。
水星は非常に嬉しそうな仕草をしてから姿を消した。
「話しを戻そうかしら?ノエル男爵令嬢」
赤毛改めノエルは思わず涙目になりながらラヴの顔を見上げた。
下から見ると余計にラヴの顔の形が妬ましいを通り越して己が惨めになるほど整っていることが分かり、更にノエルは顔を歪ませる。
そのラヴの影に潜むイルカの目は恍惚と輝き、星人夜の利益に傷をつけたノエルの脳に刺激を与え続けた。
「どうして……」
「なに?」
ナタールがラヴを庇うように少し前に乗り出し警戒する。
ノエルは顔を勢い良く上げラヴを指さしながら続いて言う。
「貴女……貴女はずるいわ!公爵令嬢という社交界で花形の立場を持っていながらその容姿に、ナタール様の双子の妹というポジションに何もしていないのにいられて!ずるいわ!」
傍観していた生徒たちのざわめきが一層大きくなった。
そんなことを皇族に次ぐ権力者に言ってしまえば、自分だけじゃなく家系存続の危機に繋がると理解しているからだろう。
「何の努力も苦労もしていないくせに!たかが母親が死んだだけで皆に、みんなに心配されて!不公平――」
ノエルがそこまで怒鳴るとハッと話しを止めた。
横にいたナタールや教室の外にいる生徒、その騒ぎにやっと気が付き中を覗いた教師でさえ足が竦み動けないほどの圧がラヴから感じ取れたのだ。
そして金髪を靡かせるラヴの背後に太陽系の惑星全員が控え、更にその傍らには真っ赤に燃える光と銀色に輝く光が絶対的オーラを醸し出しながら現れた。
長年多くの人間が見ていなかった星空の王に皆は直視出来ない。
「私はそこまで貴女に発言を許可した覚えはなくてよ?ノエル嬢」
星を従えているラヴはノエルが言ったように余りにも不公平に美しく、高潔で高貴で恐ろしいほど燦爛としている。
その明々としている完璧な容姿には誰も嫉妬の念すら抱けなかった。
「そもそもあの映像、母上に対して悲しんでいたときのはずなのよ。なのに勝手に捏造されて、とても癪に障ったのよね」
水晶はみるみるヒビが入りパリン!と破裂した。
ラヴが魔力を使った痕跡もない。
何もしていないのに割れた。
本当はそんのことはないはずなのに魔力が痕跡を残す間もなく、星か、それともラヴか……水晶を割ったのに生徒たちは怯えた。
「誰?」
「えっ?」
ノエルは震えていた。
「男爵令嬢如きが考えて実行出来ることじゃないわ。裏に誰かが居るんでしょ?馬鹿に思わないで。言いなさい、誰がこんな――」
星たちはラヴの怒りの言葉に反映して輝きを増す。
だが、その輝きは美しくはなく、恐ろしい光だと魔力の根源から身に沁みて分かる。
「阿呆らしくて馬鹿らしくてしょうもない。時間の無駄なことをしろって言ったのよ。どうせあの時貴女は単独で何も考えずに私達に乗り出して来たんでしょ?分かってんのよ」
ノエルの胸ぐらを掴むとラヴは怒鳴って言う。
そして星も更に光る。
「あとね、貴方如きが私たちの母上のことを口に出すなんて――」
息が詰まるほどラヴの気迫が増す。
「烏滸がましいにも程があるのよ!」
その時、ラヴの影から無数の光る目がノエルを刺すように睨んでいるのを彼女は見た。
「母上は立派な人なのよ!貴女には手も出ない場所に居た方なの!なのに如きですって⁈寝言は寝て言いなさい!」
胸ぐらを放すと傍観していた生徒たちに向かってラヴは続いて言う。
「良く聞きなさいよ傍観しか出来ない弱虫たち。次、私達のことを侮辱したら」
ラヴの声が何故か重複して聞こえる。
『我ら、『星人夜会』が黙ってないからな。アゼリアが死した今でも彼女は我らの家族だ。そのことをしかとお忘れなきよう人間よ』
その重複している声が太陽と月ということはラヴ以外誰も知らない。
太陽と月たちが突如姿を消すと、張り詰めていた空気が一気に和んだ。
「ノエル様」
ラヴは未だに立てないノエルに手を差し伸べ続いて言う。
「頬を叩いてごめんなさいね。跡が付いたらちゃんとお詫びするから」
ノエルは震える手でその手を取り立ち上がる。
「いっいえ……こちらこそ申し訳ありませんでした」
フフッと、嫣然とした笑みをラヴは浮かべるとノエルに耳打ちした。
「許したとは言ってないから」
その氷のように冷たい声色に、ノエルは思わず手を震わせたまま耳打ちした耳を触る。
だが、ラヴは何の動揺もせず、ただただ昏い笑みを浮かべているだけだった。
読んでいただきありがとうございます♪!




