第6話 獣猟競技大会の訓練
北海道犬の犬舎さんたちは、大会出場に命をかけている。(ように見える)
Kの大会初参加を伝えると、○犬舎さんが遠くからわざわざ特訓にきてくれた。
自宅前でお出迎えした私とKは、その登場に衝撃を受けた。
Kの犬小屋のある道路沿いの斜面から、無言のまま四つん這いで駆け上がってきたのだ。
驚いて吠え出すK。
失禁しそうになった飼い主。
大会優勝犬のいる犬舎の飼い主は、こんな人が多いような気がする。
某スマホ会社の看板犬の血族がいる、近所の大会連覇犬舎も、節分の鬼のお面をして飛び出しぶちギレた飼い犬に吠えられていた。
皆さん、大会のために普段から大声で吠える訓練をしているようだ。
○犬舎とKは、お迎えの日に自宅前で別れて以来の再会だった。
あの日、子犬のK愛おしそうにを見つめて、
「別れたら、俺のこと忘れちゃうんだろうな」
と寂しそうに呟いた○犬舎さん。
犬舎さんが去って悲しげに、
「尿ぉぉおおおう!!」
と泣き叫んでいたK。
Kは残念ながら犬舎さんを全く覚えていないどころか、出会い頭に驚かされてブチギレた。
天才犬をダメ犬に育ててしまいすみません。
だがKは、犬舎の奥さんには興味津々。
いそいそと近づき、腰に抱きついて股間に顔を突き刺し、死ぬほど嗅ぐ。
彼は、初対面の人をエイリアンの幼体方式で死ぬほど嗅いだあげく、噎せて吐く犬だ。
リードを引っ張っても剥がれない。
(Kやめてぇぇぇえ! 吐かないでぇぇえ!!)
一方、奥さんも動じる様子は全くない。
奥さんも幼少期のKと共に過ごしたのだから、慣れたものだ。この犬舎の北海道犬はこれがデフォルトなのかもしれない。
展覧会では、犬と飼い主がグラウンドを何周かして審査員が体型や歩き方を見る。
飼い主と歩調を合わせて歩く訓練が主体だ。
獣猟競技大会はクマと対決する競技だから、練習のしようがない。運任せである。
とにかく短期集中型の大会訓練が終わった。
あとは大会を待つばかりだった。
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