3.閑話 卒業式だ~!!!
主人公の日常を書いてみました!
-卒業式当日
――やばい。
目が覚めた瞬間、脳裏に浮かんだのはその一言だった。
嫌な予感に突き動かされるように、枕元のスマホへ手を伸ばす。
画面に表示された時刻を見た瞬間――全身から血の気が引いた。
「……は?」
完全に寝坊していた。
昨日の疲れが抜けきらず、そのままベッドに倒れ込んだのが原因だろう。
ダンジョンでの戦闘、覚醒者との戦い――あれだけのことがあったのだ、無理もない。
だが、そんな言い訳が通用する日ではない。
「詰んだ……いや、まだだ!」
反射的に飛び起き、半ば無理やり体を動かす。
重い体を引きずるようにして制服に袖を通し、ネクタイを結ぶ――が、指先がうまく動かない。
焦りで手元が狂い、ボタンを一つ掛け違える。
「……くそっ」
だが直している時間はない。
最低限の身支度だけ整え、玄関を蹴るように飛び出した。
冷たい朝の空気が肺に刺さる。
それでも構わず、全力で走り出した。
今日は――
青葉学院高等部の卒業式。
そして俺、源藤仁は――
成績良好、態度良好。
その結果として任された役目。
「……卒業生総代なんだよなぁ!!」
思わず叫びながら坂道を駆け上がる。
遅刻など許される立場ではない。
最悪、式そのものを止めることになりかねない。
息が上がる。視界が揺れる。
だが足は止めない。
そのとき、前方に見覚えのある姿が映った。
風を切るように自転車を走らせる少女。
幼なじみの――西恵。
「おい!西!!」
声を張り上げる。
彼女は一瞬だけ振り向いた。
目が合う。
その瞬間、わずかな期待が生まれる。
「乗せてくれ――!」
そう言いかけた瞬間。
西は、にやっと笑った。
そして――そのままスピードを上げ、迷いなく走り去っていった。
「……は?」
一瞬、思考が止まる。
「いやいやいや!ちょっと待て!?」
取り残される俺。
遠ざかっていく背中。
「薄情すぎるだろ!!」
叫びながらも、結局自分の足で走るしかない。
肺が焼けるように痛む。足が鉛のように重い。
それでも――止まれなかった。
なんとか、ギリギリで学校に到着する。
校門をくぐった瞬間、全身の力が抜け、膝が笑った。
「はぁ……はぁ……間に、合った……」
レベルが上がったおかげだろうか?ギリギリ間に合った。
呼吸が整わない。
視界の端で先生がこちらを見ているのが分かる。
だが、怒られる余裕すらなかった。
そのまま流れるように式は進行し――
気づけば、壇上に立っていた。
「……あー」
頭が回らない。
さっきまで全力疾走していたせいで、心臓の鼓動がやけにうるさい。
用意していたはずの原稿は、ほとんど頭から抜け落ちていた。
だが――
逃げるわけにはいかない。
深く息を吸い、言葉を紡ぐ。
----------------------------------------------------------------
「春の光がやわらかく差し込むこの良き日に、私たちは卒業の時を迎えました。
在校生の皆さん、先生方、保護者の皆さま、今日まで支えてくださり本当にありがとうございました。
振り返れば、笑いあり、涙ありの日々でした。友達と語り合った時間、先生に励まされた瞬間、一つひとつが私たちの大切な宝物です。
私たちは今日、この学校を巣立ちます。これから先、様々な困難にぶつかることもあるでしょう。しかし、ここで学んだこと、共に過ごした仲間との思い出は、必ず私たちの支えとなります。
私たちはここに、未来に向かって努力し続けることを誓います。
そして、それぞれの道で輝き、多くの笑顔を生み出せる人間になることを心に誓い、この場を卒業いたします。」
----------------------------------------------------------------
気づけば、言葉は最後まで紡がれていた。
拍手が響く。
歓声が上がる。
現実感がないまま、役目だけが終わっていた。
壇上から降りた瞬間、全身の力が抜ける。
張り詰めていたものが、一気にほどけたようだった。
式が終わる頃には、完全に燃え尽きていた。
体は重く、意識もぼんやりしている。
友人たちの声が聞こえる。
だが、それすらどこか遠くに感じた。
――ダンジョン。
――モンスター。
――試練。
あの現実離れした出来事は、この瞬間だけは嘘のように遠ざかっていた。
「……疲れた」
小さく呟く。
ただ、それだけだった。
ふと、空を見上げる。
青く澄んだ、どこまでも変わらない空。
何も知らないかのように、ただそこに広がっている。
(……本当に、夢だったのかもな)
一瞬だけ、そんな考えがよぎる。
だが――
胸の奥に残る違和感が、それを否定した。
確実に、世界は変わっている。
そして、自分もまた――
その変化の中にいる。
----------------------------------------------------------------
ステータス
名前_源藤仁
レベル_16
称号_次代の挑戦者、才覚を秘めし者
魔力_
体力_
スキル_念動力、魔力操作
次回予告
遂に仲間が???
小説家になろうの読者ほど信頼できる評価は無いと思っています!評価とコメント、お願いします!




