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この恋を叶えるために  作者: つよちー
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第十一話「努力」

【前回のあらすじ】

悲しむ響子を慰めるために蓮は彼女の家へ行く。

本音を打ち明け涙を流す彼女を慰めた。

春香の高校でもうすぐ文化祭が始まる事と彼女が演劇部に入部する事を知った。

放課後に演劇部に入部届を出すために部室に向かう。部室に近付くにつれて、演技の練習の声が聞こえてくる。一生懸命に練習しているところに邪魔を入れるようで少し躊躇ったけど、勇気を振り絞って部室の扉を開けた。先輩達は演技の練習を止め、私の方を見る。私に視線が集まる。

「あ、あの....入部届を出しに来ました....」

声が少し震えて恥ずかしかったけど先輩達は笑顔で私に近付いて

「この時期に入部するなんて珍しいね。でも入部届は顧問の先生に渡さないと」

と言った。

「あ、そうですか....ならその先生に出して来ます」

「いや大丈夫だよ。その内来るから、ここで待っといて」

「は、はい....」

心臓がバクバク鳴ってる。こんなに緊張したのは久しぶり。緊張する必要なんか無いのにどうしてなんだろう。近くにあった椅子に座ると、先輩達は練習を再開した。気合が入っていて、その演技は心に響くような迫力があった。私もこんな風になりたい。皆をこんな気持ちにさせてみたい。その演技を興味津々で見ていると、顧問の先生と思わしき人が入ってきた。入部届を手に取って先生に近付く。

「お、入部か?」

「はいっ....入部させてください」

「大歓迎だよ。ようこそ、演劇部へ」

優しく受け入れてくれて嬉しかった。先輩達も、入部届を渡すと歓迎してくれた。

「じゃあ、前に出て自己紹介して」

突然すぎてびっくりした。

「は、はいっ」

お兄ちゃんの前ではあんなに強気だったのに、なんだか情けないな。先輩達の前に立って自己紹介を始める。

「琴原春香です。えっと....好きな物はりんごです。それと....」

他に何を言えばいいかわからないでいると先輩達から質問をしてくれた。そこで私は緊張が解けたのか、自分のことをすらすらと話せるようになった。先輩達も私に自己紹介してくれてすごく嬉しかった。楽しい部活動になりそう。先輩達のような立派な演技をしてみせるんだ。


家に帰って、お兄ちゃんが来るのを待った。演劇部のことについて話したいことがたくさんある。はやくお兄ちゃんにそれを話したくて待っている時間がもどかしかった。玄関の扉は開く音が聞こえると、私はすぐに玄関に向かって走った。

「お兄ちゃん!」

お兄ちゃんは突然走ってきた私に驚いた。

「うおっ、びっくりするだろ」

「聞いてほしいことがあるの!」

そう言ってお兄ちゃんの腕を引っ張って私の部屋に入る。

「演劇部に入部したよ!」

「そ、そうか....どうだった?」

「先輩が優しくて、楽しくなりそうだよ」

そう言うとお兄ちゃんは優しく笑った。

「本当か?そうだったら安心だよ」

私の頭をそっと撫でてきた。こうされると、心が落ち着く。なんでなんだろう。まるで蓮くんに撫でられてるような気がする。

「それで、さっそく練習したのか?」

「ううん。自己紹介と先輩達の練習を見ただけだよ」

「そうか。これから頑張れよ」

私は大きく頷いて笑って見せた。お兄ちゃんと一緒にお喋りするのはとても楽しい。眠るまでずっとお兄ちゃんと一緒にお喋りしていたい。

「じゃあ今日はもう帰るよ」

そう言ってお兄ちゃんは立ち上がった。

「えっ、どうして?」

何故か焦ってしまってお兄ちゃんの腕を掴む。お兄ちゃんはその行動に驚いたけど、そっとその手を握って

「そんなに焦るな。お前から離れたりしない」

と言った。

「それにお世話になりっぱなしだからさ。母さんも、最近俺が居なくて寂しいと思うし」

「そっか....そうだよね」

お兄ちゃんの手を離す。最後にまた私の頭を撫でて家を出た。お兄ちゃんがいないと、すごく寂しい。


まだまだ緊張でうまく演技が出来なかったけど、日が経つごとにそれもなくなり、先輩達と仲良くなれた。毎日誰よりも一生懸命に練習をした。

「また上手になったんじゃない?」

練習が終わると、先輩が私にそう言った。

「そうですか?」

「うんうん。当時の私はまだまだ緊張が残ってたせいでそんなに上手じゃなかったよ」

「そうだったんですか。でも、今は先輩の方が上手ですよ」

「そう?春香ちゃんなら私より上手になると思うよ」

そう言って私に頑張れと言った。その言葉が素直に嬉しくて、もっと練習しようと思った。お兄ちゃんに、立派に演技をする姿を見せたい。

「今日はここまでだね。みんなお疲れ様」

そう言うと先輩達は片付けを始めた。

この時間が楽しい。大事に胸に閉まっておこう。忘れないように。

「は、春香さん」

「はい?」

名前を呼ばれ、振り向くと同級生の小鳥遊美優さんがいた。

「その....春香さん演技が上手だから、教えてもらいたいなーって思って....」

「私より先輩のほうがいいと思うけど」

「そうだけど....」

そう言うと口籠った。人見知りな感じだから、先輩に聞くのは少し抵抗があるのかな。

「いいよ。一緒に上手になろ!」

そう言って手を差し伸べた。

「う、うん....!」

彼女は少し嬉しそうな表情をした。そっと彼女と握手をした。頼られるってなんかいい感じだな。期待に応えられるように頑張らなきゃ。


美優ちゃんと一緒に練習していく内に私も彼女も上達していった。何よりも、彼女と仲良く練習するのが楽しくて嬉しくて仕方がなかった。お互いにダメな部分を言い合い、それを直して互いに成長する。お兄ちゃんと一緒にしたいな。それで成長する度に頭を優しく撫でて欲しい。文化祭まであと一日。準備が終わった後、演劇部で劇のリハーサルを始めた。本番のつもりで頑張って演技をした。美優ちゃんも一生懸命リハーサルをした。リハーサルを終えると、先輩達は私と美優ちゃんを褒めてくれた。

「これで大丈夫だね!」

美優ちゃんが私の手を取って喜ぶ。

「うん!明日は頑張ろうね!」

そう言って、私は美優ちゃんとハイタッチをした。


家に帰ると、お兄ちゃんが先に来ていた。リビングのソファで読書をしていた。私が帰ってきたことに気付くと、私の傍に来てくれた。

「おかえり、春香」

「ただいま」

「明日は文化祭だな。楽しみにしてるぞ」

「ありがと。私、一生懸命頑張るよ」

「おう、頑張れ」

そう言って私の頭を撫でた。ほんの少しだけど、不安が消えた。明日はお兄ちゃんと一緒に学校を廻って、演劇まで楽しみたいな。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

今回は春香視点でした。

僕は主観的に文章を書くので女の子視点で書くのは大変です。

僕の高校でももうすぐ文化祭があるのですが、彼女がいない身なので楽しみなど一切ございません(笑)

理想は『CLANNAD』の渚さんなのですが

もうこの世にはそんな女性は存在しないので辛いです(笑)

感想や指摘など頂くと嬉しいです。

続きを楽しみにしてくれると更に嬉しいです。


これらに登場する人物、地域、団体は全てフィクションです。

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