第7話 地下レース
地下へと続く長いスロープを降りると、エンジン音が鳴り響いてきた。
そこには巨大な地下レース場が広がっていた。
コンクリートの壁には色鮮やかなネオンが反射していた。コースの周りには観客が集まり、これから始まるレースを待ちわびていた。
その中央には1台の車が止まっていた。レンの乗る車だ。車の前部分にはコーカサスオオカブトみたいにみっつの刃が付いていた。
「お、ちゃんと来たじゃねえか!」
カイの姿を見つけると嬉しそうに手を振った。
「待ちくたびれたー、来ないかと心配になったんだよー。」
「無駄口を叩いている暇があったらさっさとレースを始めよう。」
「なぁ1つだけ聞いていいか?もし俺が勝ったらどうする?」
「お前が勝つ確率はない。」
「最高だねー、お前。そういう自信たっぷりの人を負かすのが大好きでねー。」
地下施設の奥にはスタート地点へ続くコースが伸びていた。
僕は黙ってバイクに乗った。
「それともう1つ。」
レンはレースの脇を指さした。そこには大型モニターに2人のロストマシンの名前が移し出されていた。その下には勝敗のオッズが並んでいる。
コーカサス--1.5倍
アルテミス--10倍
観客の大半は、副総長の勝利を確信していた。
「おいおい、10倍だってよ。」
「副総長に叶うはずないだろう!なんせ無敗だもんな。」
周囲から笑い声が出た。
カイは「アルテミスって何だ?」
自分のバイクに名前を勝手につけられたのがカイは不満だった。
「いい名前だとおもったんだけどなー。ちなみに俺のはコーカサスって言うんだぜー。」
レンはモニターを鋭い目で見つめ「にしても人気ねーなーお前。」
「勝負の後に分かる、あと減らず口を叩くな。」
スタートまで、あと1分。
VIP席に金髪の男が足を組み座っていた。「もし私の予想が当たっているならば、首都高の件を片付けたのはあいつか。」そう思うと左片方の口角を上げた。「面白い、アルテミスに賭けさせて貰う。」
スタートラインにアルテミスとコーカサスは並んだ。
観客席から歓声が上がる。
「まもなく、レースが始まります。」
場内アナウンスが鳴った。
5、4、3、2、1、その瞬間スタートランプが赤から青に変わった。2台のロストマシンが轟音と共に走り出した。観客席から大きな歓声が沸き起こる。先行したのはカイだった。しかし、次の瞬間コーカサスは白く光った。
「やはり副総長はコアの使い手か。」カイは理解していた。前方部分の刃を保つには通常の車のエンジンを外さなければ成り立たない。エンジンがなければコアを使う手段以外ありえない。
コーカサスは前方部分の刃でアルテミスを貫こうとした。
「コアを使わせて貰う。」
カイはハンドル部分の起動スイッチを押すとアルテミスはエンジンを中心としたエナジーラインが白く光った。
「お前もコア使いか!」
レンは面白そうに話した。
アルテミスは寸でのところで刃を回避した。
「なら出力全開にするまでよ!」
レンはコーカサスのコアの出力を最大にした。
コーカサスの刃がカイに迫る。するとカイは「この機能を使うか。」
アルテミスはコアのエネルギーを薄い防御フィールドに変換し、衝撃を分散した、両者は弾かれた。
アルテミスはコーカサスを大きく突き放した。レースは進み勝負はアルテミス優位になっていった。
レンは焦っていた、このままでは副総長の地位が危ない。レンには対応策があった。2個目のコアを刃に使うのだ。
レンはハンドルの横の操作パネルの保護カバーを外すとボタンを押した。
するとコーカサスの刃が白く光出した。そして再びアルテミスの後ろに迫った。カイは2度目の防御フィールドを張った。
しかしカイのバイクのコアは速度と保護壁でエネルギーが分散している。
カイは仕方なしに速度を落とし保護壁にエネルギーの比率を増やした。
次の瞬間コーカサスの機体が爆発した。




