第8話 Codename49
カイは爆発を受けて反射的にハンドルを切った。
爆発音が鳴り場内の観客から悲鳴が起こった。
「緊急事態発生!コーカサスの機体が爆発しました。」
実況アナウンサーの声が会場に響いた。
「すぐに担架で運べ。」
地下レースの医療スタッフがレンのもとへ駆けつけた。
観客達が騒然とする中アナウンサーは続けた。
「レンのコーカサスは走行不能、アルテミスが勝者となりました。」
しかしカイは勝利を喜ぶことなく煙の立ち込めるところを見つめていた。
「カイ様、主催者がお待ちです。」
スタッフに案内され、カイは会場の1番奥の個室に入っていった。
その部屋にはモニターがたくさん並べてありさっきのアルテミスのレース映像が映されていた。
机の向こうには七三分けをしている主催者が座っておりその隣に金髪の男が立っていた。
「レンから話は聞いている、もしもお前が勝ったら副総長の座を譲るとね。」
主催者は片頬だけにんまりと上げた。
「しかし、君も分かっていると思うがこの組織は四輪駆動支部のように単純ではない、スポンサーがあるからね。」
金髪の男は腕を組んだ。
「それは次世代エネルギーのコア開発企業か?」
そうカイが言うと主催者は面白そうな顔をして「なぜそう思う?」と優しく言った。
「コーカサスは機体と刃に1つずつコアを使っていた。だがコアは1つまでが限度のはずだ、だから爆破した。コアを提供したのは巨大組織以外にありえない。」
カイは言った。
「ふうん。」
金髪の男はカイの推理力に感心した。
「どうだ、副総長としてここで地下レースをして稼ぐ気にはならないか?これはその前の祝い金だ、受け取ってくれ。」
主催者はモニターに金額を表示させた。その金額は普通に働いている人が生涯稼ぐ金額の2倍はあった。
「汚れたお金はいらない。」
カイは断固拒否した。
「用事がそれだけなら帰るが。」
「もし断るならサークルの仲間にも危害が及ぶかもしれないよ。」
金髪の男はニヤニヤしながら足を組んだ。
「なら、地下レースで使用したコアは渡す。お金は受け取らない。それでどうだ。」
カイは条件を提示した。
「さすが話が分かるね、1度契約した仲だ、名前を教えよう。主催者である私の名前はCodename49だ。」
「ふざけているのか?」
カイは奇妙な名前に疑問を呈した。
「いや、名前は最初からなくてね、仕事で呼ばれる名前さ。」
主催者はそう言うとモニターに目線を移した。
「君のアルテミスのコアは実に興味深い、どこで手に入れた?」
「お前たちに言う道理はない。」
カイは思い出していた、親に連れられコアの研究所を見学させてもらったこと。将来はコアの研究をすると約束したことを。
カイは唇を噛んだ。




