第5話 交通保安局
カイはヒムラの運転を観察していた。ヒムラのバイクは赤く発行装飾がされていたのだ。
ひょっとするとコアの使い手かもしれないとカイは様子を見ていた。
前方には連続した急カーブがあった。普通なら速度を落とすがヒムラはアクセルを緩めるどころか、さらに開けた。バイクな車体を左右に振りながら、速度をほとんど落とすことなく駆け抜けていく。ヒムラの運転は天才的だなとカイは思った。しかしバイクの性能ではカイが勝っていた。「悪いな、コアを使わせてもらう。」
そう言うとカイのバイクはエンジンを中心としたエネルギーラインが白く光った。次の瞬間カイのバイクは光の矢のごとく突き進みヒムラのバイクを抜かした。
「な、なんだあれは。」
ヒムラはカイのバイクを凝視した。
そして何事もなくあっさりとヒムラを打ち倒した。
ヒムラは膝からガクッと落ちた。
「こ、こんなの素人がプロに喧嘩を売るようなもんだ。」
「約束は守るんだろうな。」
カイはヒムラに聞いた。
「こ、これは鉄の掟だ、お前が今日から総長だ。」
ヒムラは手をついて泣いた。
「よし、ではこれよりインフェルノは解散する。」
「は?」
ヒムラとインフェルノの組員は何が起きたか納得できなかった。
パチパチ。手で拍手しながらサヤ保安官は近づいてきた。
「見事なレースでしたよ、総長さん。」
「これで僕たちはお役御免なんだろうか?」
カイは眉に皺を寄せ聞いた。」
「そうですね、この暴走族が解散すればの話、ですが。」
「いや、まだ副総長がいる。」
「そ、そうだ。副総長は絶対解散させないはず。」
インフェルノの組員は解散させたくないと出任せに喋った。
「インフェルノの二輪駆動支部は解散だ、だが四輪駆動支部には解散してもらう権限はもってない。」
ヒムラはボソッと呟いた。
「そうですか、ならもっと働いて貰いましょう。」
サヤ保安官は冷徹に言った。
「だが、四輪駆動支部の副総長は俺より厄介かもしれん、なぜって地下レースを運営しているからな。」
そうヒムラは捨て台詞を吐くと去っていった。
「では私が地下レースの情報を集めておきますので、ごゆっくりお待ちを。」
サヤ保安官はカイに儀礼的に会釈し言った。
地下レース。カイはその言葉が頭の中から妙に離れなかった。
「なあ、お前が首都高の暴走族を何とかしたんだろ。」
ゴウは呆れ調子で言った。
「今日のニュースで首都高の暴走族解散って流れてたぜ。」
「えー、じゃあ頭が痛いって言ってたのは嘘なの?わ、わぁ!」
ノアは沢山積み上がったホコリの被ったサークルの車の本を大量に落とした。
「僕はこのサークルの誰にも危険に晒したくなかったんだ。」
ノアの落とした車の本を拾いながらカイは真剣に答えた。
「なぁ、その前にうちの祖父に会ったこと、秘密にしてただろ。」
「聞いたのか。」
「いや、行く部屋は祖父のいる場所だから分かってた。」
「そうか。」
「ああ焦れったい!」
ゴウは机を思いっきり叩いた。
「博物館での件だの、首都高の件だのなぜお前は何でもかんでも秘密にする!」
「俺たちを信用出来ないのか?」
タロウは腕を組んだ。
「何で言ってくれなかったの?寂しいよー。」
3人に詰められカイの思考はフリーズした。
カイの人生はずっと1人だった。両親を幼い頃になくし友達もつくることがなかった。だが今は1人ではない。
「ごめん、悪かった、今度きちんと話すよ。」
カイは不思議と気持ちが温かくなった気がした。
「ったく心配したんだぜ、今日大学に来るかどうか。」
3人は嬉しそうに笑った。
「よし、たまにはゲームでもして息抜きでもするか。」
ゴウは自慢げに言った。
「どういうことだ?」カイは周りを見回したがゲームは見当たらなかった。
「いや、うちの祖父が博物館に面白いものを仕入れてね。」
「ひょっとしてアーケードレーシングゲームかな?」
ノアは嬉しそうにタロウを見た。
「そうと決まれば早速行こう!」
ノアは博物館の方を指さした。




