第4話 ネオ暴走族
「この問題を何とかすれば、不問、か。」
カイは大学の講義を受けている最中にふと思い出した。
「最近旧首都高を暴走族が占領しているといいます。あなたたちに何とかしてもらうようにと上層部の命令です。」
「ただの大学生がどう暴走族をなんとかしろと?」
「暴走族は速いものをリーダーにしているとの情報です、あなたのバイクなら可能です。」
「それで何とかしたら僕にメリットは?」
「本来なら許しませんが、特別にレースをしたこととバイクに乗ったことを不問にします。」
カイはこのことをロストマシンサークルに言うべきか悩んでいた。
暴走族を相手にすることは危険だ。ゴウはともかく関係のない人たちを危険にさらすことはできない。カイは1人で行くことに決めた。
「すまんな、ちょっと頭痛がして、今日のサークルの活動は休むわ。」
「えー、頭痛いの?大丈夫?」
ノアは心配そうに聞いた。
「ああ、大丈夫だ。」
カイが去ろうとした丁度その時、「ロストマシンサークルに伝えたいことがあります。」サヤ保安官がつかつかと歩いてきた。
「何で交通保安局の人が?」
カイは頭を抑えた。
サヤ保安官は、「深夜のレースで走ったのは天城カイだけではないはず。」
サヤはため息をついた。
「本来なら2人で責任を果たすのが筋でしょう。」
「逃げも隠れもしねぇ、レースを提案したのは俺だ。」
ゴウはどうだと言わんばかりに笑った。
「では2人には暴走族とレースをしてもらいます。そして暴走族のリーダーになってもらい解散命令を出してもらいます。」
「そうか、楽しみだ。」
「でもカイは頭が痛いって言ってたよ。」
「分かりました。では頭の痛みがおさまったら交通保安局に来てください、では。」
サヤ保安官は無表情でさっと歩いていった。
「なぁ、頭が痛いって嘘だろ。」
タロウは懐疑的な顔をした。
「このことの詳細は祖父から全部聞いてるんだよ。俺たちに危険が及ばないように1人で解決しようとしてたんじゃないか?」
「ああ、そうだ。」
「ったくノアはともかく俺を置いていくなんてな!」
ゴウは机をバンと叩いた。
「ゴウのオフロードカーではバイクに敵わない。」
「何だと!」
「それに、僕のバイクの性能は見ただろ。」
「チッ!なら早く行けよ。」
「ごめんね、私のせいでこんなことになって。」
ノアは目に涙を溜めて謝罪した。
「こんなことになることは誰も予想できなかったことだ。あまり自分を責めるなよ。」
そう言うとカイは踵を返した。
「ドルン!!!」
旧首都高速道路にカイは着いた。
暴走族がバイクから降りてたむろしているのが見えた。
「ここのリーダーと話があって来た。」
「その前に、誰だ?うちの仲間になりたいやつか?」
「もしそうでなければ、お前をタダで返す訳には行かねえな。」
「黙れ。」
「ヒムラ総長!」
「誰であろうとこのフェンリルの名前を汚す者は許さない!」
数秒の沈黙の後ヒムラは口を開いた。
「そのバイク、只者ではないな。」
「どこからそう思ったんだ。」
「そのエネルギーラインだよ。明らかに他のバイクと違う。」
カイはバイクの情報を知られまいと沈黙を貫いた。
「さっきから黙っているな。何のことを考えている?」
「僕とレースをしろ、勝ったら僕が総長になる。」
「ハハハハハ。」暴走族の隊員たちはどっと笑いだした。」
「ヒムラ総長に勝ったら?ありえねぇな。」
「いいだろう、勝負に乗った。だが負けたら、そのバイクはもらい、お前の命をいただくとしよう。」
「分かった、早くレースを始めよう。」
ヒムラ総長のバイクのサイドカウルにはInfernoとレタリングされていた。
おそらくこの暴走族の組織の名前はインフェルノだとカイは推測した。
「ドルン!!!」
「ブルン!!!」
カイとヒムラは合図を出されると同時に走り出した。




