第3話 緑山博物館
ロストマシンサークルの4人は神妙な顔でいた。
「山に住んでいる人が夜中にエンジンの音がうるさいと通報を受けています。あなたがたではありませんよね?」
「うーん、いや山の中を走ったのは認めるが山っていっても場所が色々あるからなぁ。」
「ゴウは行動の先を読まなすぎる、それに黙っていれば良かったものを。」
「なんだと、このバイク野郎!!!今度はぶつかり合いのレースをするか?俺のオフロードカーならお前のバイクを壊すことも簡単なんだぜ。」
「僕のバイク、欲しかったんじゃなかったのか?」
「チッ。」
ゴウは毎度の如く舌打ちした。
「あなたたちには交通保安局まで来てもらうかもしれません、いくら大学生活が楽しいからといっても羽目を外しすぎてはいけませんよ。交通局保安課の榊原サヤからは以上です。」
「ちょっと待って。」
カイは手で遮るようにし、「まだ僕たちだと決まった訳ではない。」
「そうですね。」
「それに、交通安全法はロストマシンの規制が曖昧でよく分からないところがある。」
「それは認めますけど、もしあなたたちが原因ならそれ相応の措置を取らせていただきます。」
そう言うとサヤ保安官はすたこらとと去っていった。
「だから女と関わると良くないことが起きるんだよ。」
眉間に皺を寄せ睨みつけるカイをなだめるようにタロウが「そういえばノアと博物館行く予定なんだよね、良ければみんなどう?」
「賛成、せっかくロストマシンサークルという名前を背負ってるんだから行こー!!!」
ノアは嬉しそうに叫んだ。
「グオン!!!」
「ブロロロ」
1台のバイクと1台の車が道路の真ん中を走っていた。
バイクには天城カイ、車には残りの3人が乗っていた。」
「オフロードカーに乗れるなんて、ノア、感激です!」
「なあ、タロウ。こいつ博物館に行ったら気絶するんじゃないか?」
「さ、さあね。」
「ねぇねぇみんな博物館に着いたら何見るの?」
「知るか、お前が行きたいんだろ。」
「だってロストマシンが沢山展示されてるんだよ。」
「機関車とか、昔の車とか。」
「ゴウ、車が展示されてるよ。興味あるでしょ。」
タロウはゴウにニヤつきながら言った。
「ま、まぁうちの家系は代々車だからな。知っておく必要もある。」
やがて3人は博物館へと着いた。建物は巨大なガラス張りで円形の構造物だった。正面のエントランスからは展示内容が見えていた。
ノアは目を輝かせて「早く行こう!」
そして走り出した。
「待って、僕のパスポートがないと入れないよ。」
タロウも慌てて走り出した。
「見て、機関車だよ。」
「この大きさ!この車輪!すごいかっこいい!」
カイは機関車を見つめ、しばらく黙っていた。
「悪くない。」短くそう呟くと、車輪と動力機構に目を向けた。」
「あら、こんな所にいたんですか。」
サヤはそう呟くとカイをじっと見つめた。
「僕たちを捕まえに来たのか?」
「いいえ、今日は仕事ではないので」
「じゃあ何だ?」
「あなたと2人で話がしたい。」
そういうとサヤはカイを連れて博物館の奥へと行った。
「連れてきました。こちらが天城カイです。」
「うちのタロウにはお世話になっとるな、わしは緑山総一郎だ。」
大型の英国アンティーク・ヴィンテージデスクの上にサヤは紅茶を置いた。
しかしカイは聞きたいことがあり紅茶に手をつけず口を開けたが、その前にサヤが「山でのエンジン音は別の人だと判明しましたがこの区域の監視カメラを調べたところ、白色に発光し現代の技術でもありえないほどの速度でバイクが走っておりました。そのバイクの所有者がこの天城カイという人です。」
カイはバツが悪そうに上を見ていた。」
「ところで聞きたいのだが、カイと言ったか?」
「はい、そうですけれども。」
「お前のバイクはエンジンに何かテクノロジーを施しているな。」
カイは何も言いたくないのか黙っている。
館長はカイを見つめ「君はあの2人の息子か、道理で2人の顔に面影がある。」
カイは眉をひそめた。
「僕の父と母を知っているんですか?」
「わしは昔は機械工学の分野で働いておってな、両親はわしと面識がある。」総一郎は虚空を見つめて話を続けた。
「両親は新しいエンジンを発明した。しかしそれを危険視する人々によってカイの両親ともども闇へと葬られた。」
「僕がもっているコアは渡しませんよ。」
カイは驚きもせず言い放った。
「何、安心せい。わしは何もせん、そのおかげで館長にもなれたしの。」
「館長、少しいいですか?」
サヤはカイに視線を向けた。




