2話 Core
ゴウの車は黄色いオフロードカーであった。明らかに荒れた旧道でも走れるような車だった。
「お前が走ったらこっちも走るぜ。」
「随分と舐められたものだ。だが遠慮なく行かせてもらう。」
カイはクラッチつなぎギアを一速にした。
キュルル.......ドルン!!!
バイクが荒れた旧道を蹴り走り始めた。それとほぼ同時にゴウのオフロードカーも走り始めた。ゴウは走り続けるにつれ焦りを感じていた。「俺は代々車の家系で車に関しては知り尽くしている。だがバイクはどうだ?バイクの方が軽いから速いというのか。距離がどんどん離されていく。だがこの車はオフロードカーだ。カーブさえあれば追いつくこともできるかもしれん。」
しかし次の瞬間バイクは大きく跳ねた。 旧道であるためバイクが荒れた道の砂利を弾いたのである。
カイは精一杯の力を出し車体を抑えつけた。
「あばよ、バイク野郎。」
オフロードカーは荒れた砂利道をものともせず走っていった。
「やはりあれを使うか、コアを。」
ゴウはサイドミラーが光っているのを確認した。それと同時にものすごい速さでバイクが接近してきた。
ありえない速さだ、400km出てるぞ。そんな車は過去に存在しないはず。
カイのバイクはエンジンを中心としたエナジーラインが白く光っていた。
「初めて使うが、まさかここまで速さが出るとはな。」
カイのバイクがゴウのオフロードカーを抜き去ろうとする時、2人はガードレールが途切れていることに気づいた。
次の瞬間バイクとオフロードカーは停止していた。前方に崖があったのだ。オフロードカーは落ちる寸前で停止していた。
一方その頃、ノアはノアの家で緑色の髪の男と熱弁を振るっていた。
「200年前の機関車の魅力?やっぱりあの洗練されていない見た目だよ!でも、それがいい!巨大な動輪を見た瞬間、もうこれこそロストマシンの良さなんだって!」
「分かります!巨大な車体が煙を吐きながら走る姿はロマンがありますよねー!!!」
「ん?」その瞬間ノアの頭に疑問が1つ湧いた。
「さっき巨大な動輪を見た瞬間って言いましたよね、実際に見たことあるんですか?」
「これは失礼、申し遅れたね。僕の名前は緑山タロウ、これだけで分かるかな?」
「もしかして緑山というと緑山博物館に関わる人?」
「そう、そこの館長の孫さ。」
「えー、じゃあ毎日館内を見放題ってことですか?」
「まあそうなるかな。」
「私金欠で行けてなかったんですよ。今度紹介してくれたりとか、お願いできませんか?」
「もちろんいいよ。」
ノアは喜びのあまり飛び跳ねた。
「あ、もうレースは終わったみたいだね。」
バイクとオフロードカーはタロウの家の前で止まった。
ノアは窓から身を出し聞いた。
「レースはどっちが勝ったの?」
「どっちも勝っていないし負けてもいない、しかしノアの入部は認めよう。」
時は少し遡る。
ゴウはくしゃくしゃと頭をかいてぶっきらぼうに、「こんな所に崖があるだと。レースの続きができねぇじゃないか。」
「もう1回違う場所でレースをするか?」
「いや、もう一度しても結果はバイク野郎の勝ちになるだろう。」
「そうか。」
ゴウは考えていた。あのバイク野郎のバイクが光った途端に400kmも出ていた。昔の車で1番速いものでも360kmあたりが限度のはず。崖がなければ軽々と抜かされていた。
「チッ!」
ゴウは面倒くさそうに舌打ちした。
「ノアの入部の件だがお前も入るなら今のレースだけで手を打ってやる。」
「いいのか?」
「いつか一騎打ちでそのバイクを手に入れてやる。」
「その願いは敵わない、だが今回のレースは面白かった。」
「なんだと、このバイク野郎!!!」




