5話 初めての敗北
剣と刀が激しくぶつかり合う。
その度に、森中に甲高い金属音が響き渡る。二人とも
対等に戦える相手には久しく会っていなかった。
だからこそ、お互い自然と笑みが溢れる。
「素晴らしい」
アンゴルキアは感嘆の声を漏らした。
「貴様のような男とは何十年、何百年と会っていない。
どうだ、私に仕える気はないか?」
「俺は縛られんのが大嫌いでなァ。それに、お前とは対等な
立場で戦いてぇのさ」
再び刃がぶつかり合う。
「アンゴルキアとしてではなく、私として戦える……
これほど嬉しいことはない」
「はっ、そいつァ何よりだぜ」
今、二人は全く同じことを考えていた。
この戦いを終わらせたくないと、もっと強さを見たいと。
「それじゃァ、お前の力ってのを見せて
もらおうじゃねぇの」
ニートは飛び上がると、持っていた刀をアンゴルキアへ
投げつけた。
「落ちろ、龍星群!」
その時、一本だったはずの刀が空中で無数に増殖した。
炎を纏い、眩い光を放ちながら流星群のように降り注ぐ。
「……ふむ。これは避けようがないな」
直後、凄まじい轟音と共に爆炎が森を飲み込んだ。
木々が吹き飛び、土煙が舞い上がる。あっという間に森は更地になってしまった。
「いや〜、威力は抑えたつもりだったんだがなァ」
ニートは目を細めた。
「さすがに死んじまったかァ?」
「ーーああ」
土煙の中から人影が現れる。アンゴルキアだった。
「私でなければ、死んでいたかもしれんな」
無傷。それどころか、土埃の一つすらついていない。
「へえ、やるじゃねぇかァ。無傷とは驚いたぜ」
「……ククッ、貴様が本気だったら軽く上半身は失くなっていただろうがな」
アンゴルキアは一歩、ニートに近づいた。
「さて、次は私の番だな」
彼はゆっくりと手を前に突き出す。
「死ぬなよ?」
「……っと、なんかヤバそうだ」
ニートが守りの体勢を取るより速く、アンゴルキアの
手から見えない衝撃波が放たれた。
「ふはっ、ははは!」
受け止めきれない。
「最高だぜ、王サマもどき!」
彼は木々と共に、遥か彼方へ吹き飛んでいった。
「ククッ、今度会う時は全力で戦ってみたいものだ」
アンゴルキアは懐かしむように空を見上げる。
「あぁ、実に楽しかった。そろそろ私も……」
突然、ぐらりと視界が歪む。続けて激しい頭痛と全身の痛みが襲った。
「……っ、何だ……?」
思わず片膝をつき、胸を押さえる。
「一体、何が起こっている………」
意識が薄れていく。
そして、彼はそのまま地面へ倒れ込んだ。




