表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/23

11話 ふたり


歩いて十五分。

他愛もない話をしながら歩いているうちに、二人は駅へ

辿り着いた。ホームには、既に汽車が停まっている。


「うわっ、もう来てる!」


「急ぎましょう!」


二人は慌てて切符を買うと、そのまま全速力で汽車に

乗り込んだ。その瞬間、汽車は汽笛を鳴らしてゆっくりと

動き始めた。


「はぁ……はぁ……二十四歳に全力疾走はキツイです……」


リアンはぜいぜいしながら苦笑いした。


「席は……あ、あそこ空いてる!あそこに座りましょう

 リアンさん!」


「あぁ………分かりました」


二人は向かい合わせになっている木製の座席に腰を

下ろし、一息ついた。


「ふ〜」


ノヴァは大きく息を吐いて背もたれにもたれかかった。

一方、リアンは首から下げたカメラを手に取って、外の

景色にレンズを向けている。


「リアンさんって、写真撮るの好きなんですか?」

 

「あぁ、えっと……恋人が色んな景色の写真が見たいって

 言ってまして」


「こ、恋人が居るんですか!?」


ノヴァは身を乗り出した。


「えぇまぁ……」


リアンは照れくさそうに頬を掻く。


「友人の紹介で付き合ったんですけど、別にあの人のこと

 好きじゃないんです」


「好きじゃないのに付き合ったんですか?」


「断るのも可哀想かなって……」


彼女はそう言って窓に頬杖をつくと、ちらっとノヴァの

方を見た。


「ノヴァさんは居ないんですか、好きな人」


「い、い……居ません!」


顔を真っ赤にして、ブンブンと勢いよく首を振る。


「ぜーったい居ませんもん!ソフィア女王なんて絶対に

 好きじゃないもん!……あっ」


「へえ、ソフィア女王が好きなんですね?」


リアンは揶揄うように笑っている。


「どんな所が好きなんですか?」


「や、優しいし、綺麗だし……一緒に居て楽しいんです。

 なんか、お母さんみたいで」


セトもノヴァも、物心ついた頃に母親は亡くなっていた。

だからこそ、自然とソフィア女王のような母性のある

優しい女性を求めてしまう。


「デートとかしたいけど……女王様だから、どうすれば

 いいのかなって悩んでました」


「それは難しい悩みですね………ですが」


リアンは声を潜める。


「女王という立場上、既に恋人が居るかもしれませんよ」


「そ、そんなことって……!」


みるみるうちにノヴァの顔から血の気が引いていく。


「可能性はゼロじゃない。でも、早めにアプローチを

 かけておいた方がいいと思います」


「アプローチかぁ……」


「何気ない気遣いや相手を優先するような言動。

 そういう小さな積み重ねが大切だと思いますよ」


ノヴァはアンゴルキアの姿を思い浮かべた。

彼はいついかなる時も相手を優先し、思いやっていた。


「なるほど……そうだ、プレゼントって喜んでくれ

 ますか?」


「んー……その人の好みによると思います。ボクは

 貰えたら何でも嬉しいですけど」


花束、パン、折り紙……思えば、自分が贈った物はどれも

自分が好きな物ばかりだった。


「ソフィア女王の好きそうな物………何だろう」


「直接聞いてみるのもアリですし、彼女をよく知る人から

 聞くのも良いと思いますよ」


ソフィア女王はあまり私生活のことを話さない。

聞かれたことだけを淡々と答える人だった。


「……うん。ちょっと頑張ってみます」


「うんうん。恋愛はチャレンジしてなんぼですから」


リアンは軽く頷くと、バッグから弁当箱を二つ取り

出した。ポテトサラダやウインナー、エビフライ、さらに

ハンバーグが詰め込まれており、どれも輝いて見える。


「わあっ……!それ、手作りですか!?」


「はい、いつも二つ作っているんです。一つどうぞ」


「ありがとうございます!」


蓋を開けた途端、香ばしい匂いが広がる。


「いただきます!」


「はい、どうぞ」


ノヴァは嬉しそうに箸を取り、一口ずつ味わいながら食べ

始めた。


「じゃあ、ボクも食べようかな。いただきます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ