第9話 小姓と護衛
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第9話 小姓と護衛
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七歳のお祝いパーティー、パートツーの翌日のことだ、俺は父バニアスに呼ばれて彼の執務室に入った。
昨日のパーティーで何かしただろうか?
やらかした自覚はないが、怒られるのではないかと戦々恐々としていると、意外な言葉を聞いた。
「今日からフェリクスに小姓をつける」
なんだ怒られるのではないのか。
よかった。ホッ。
どうしても、前世のやんちゃなガキだった時の経験が前に出るんだよね。
小姓というのは、貴族の嫡子につけられる子供のことだ。
基本的には勉強友達のようなものだが、将来は一番の側近になる人材だ。
「また、フェリクス専用の護衛もつける」
「それって……外に出てもいいということですか」
「その通りだ。ただし、決して一人で外出することは許さん。必ず護衛を連れていくのだ。馬車も専用のものを用意したから、それを使うのだ」
七歳になったら一気に自由度が増した。
やったね!
バニアスから革製の小袋を、小遣いとして受け取った。
どれほどの額が入っているのか分からないが、お小遣いの使い道を考えるのが楽しみだ。
フフフ。何を買おうかな~♪
「お小遣いはいくらでしょうか」
「毎月金貨五枚だ」
この国の貨幣は全部硬貨で、単位はB。
貨幣の種類は全部で六種類あり、一B銅貨、一〇B青銅貨、一〇〇B白銅貨、一〇〇〇B銀貨、一万B金貨、一〇万B白金貨がある。
つまり五万Bが俺のお小遣いになる。
五万Bがどれほどの価値かは、まだ分からない。
そういったことを含めて、社会を学べということなのだろう。
「入れ」
お小遣いのことを考えていると、バニアスの指示で部屋の中に三人の子供と、二人の大人が入ってきた。
子供は俺の小姓だと思う。
大人のほうは護衛だろう。
「某は騎士団所属のトットナム・サルバードであります。本日づけでフェリクス様の護衛任務を仰せつかりましてございます」
「サルバード隊長の補佐をします、ニージス・アガットといいます」
トットナムが三〇代後半の焦げ茶色の髭オジサンで、ニージスは二〇代後半の金髪の貴公子っぽいイケメンだ。
後から知ることになるが、トットナムは三三歳でニージスは三一歳だった。
人は見かけによらないね。
次は小姓の自己紹介だ。
三人とも昨日のパーティーに顔を出していたから、顔は覚えている。
「ルーディアック准男爵家三男のアルベルトといいます。アルとお呼びください」
「ルーディアック准男爵家四男のエドベルトといいます。エドとお呼びください」
同じ顔、同じ声。
金髪朱眼も同じ。
この二人は間違いなく双子だろう。
兄がアルで弟がエドか。どこかの錬金術師の兄弟の反対だな。
あの兄弟は双子じゃないはずだけどさ。
「チャンドラー騎士爵家五男のヴァストです。昨日は楽しかったです。フェリクス様」
糸目のヴァストも俺の小姓か。
女の子を紹介してくれたことには感謝しているぞ。
護衛と小姓を連れて自分の部屋に向かっていると、廊下でアイリッシュに会った。
「あら、フェリクスの小姓と護衛ね。この子を頼みますよ」
アイリッシュに頼まれた五人は緊張の面持ちで返事をしていた。
糸目のヴァストの顔も緊張が見えた。
こいつ、年上好みか?
まあ、アイリッシュはとても美しいし、胸も大きい。
スタイル抜群だから、その気持ちは分かるぞ。
その日から俺は小姓の三人と共に勉強をすることになった。
護衛はトットナムとニージス以外に七人いて、交代で最低三人が俺のそばにつく。
護衛用の部屋も俺の部屋に設けられた。
元々そういったことを想定した配置になっているようだ。
それから専属メイドがシャイン以外にもう一人つけられた。
「め、メインといいます。よろしくお願いいたしましゅ」
うむ。メインは上がり症のようだ。
噛んでも怒らないから大丈夫だよ。
メインは一三歳で、立場的にはメイド見習いといったところかな。
垂れ目のオレンジ色の目と、茶髪をサイドでお団子にした、なかなか愛らしい容姿だ。
メインはシャインから薬草茶の淹れ方を最初に学んでいた。
メインの淹れたお茶は、なぜかシャインのとは違う。
これから精進し、シャインのお茶に近づけてくれ。
「それは坊ちゃまへの愛情の差です。私は坊ちゃまが生まれた時からお側におりますので。フフフ」
シャインはすごく自慢気に胸を張った。
ほんのわずかな温度の差や蒸らしの差で味が違ってくるかもしれないけど、愛情ときたか。
俺もシャインは大好きだぞ!
なにせ零れ落ちるかと思うほどの巨乳だからな!
剣の稽古ではまだ身体強化ができない。
ヴァストは最近できるようになったらしく、かなり動きが鋭い。
アルとエド兄弟はまだ身体強化できないらしいが、そもそもまだ誕生日がきてないから魔法は使えない。
「ヴァスト。どうやったら身体強化できるんだ?」
「なんとなくできましたけど?」
この野郎、まだできないのですかと言っているような目がムカつく。
糸目で見えないけど。
「いいからコツを教えろよ」
「そんなものはないですよ。本当になんとなくできてしまったのですから」
「ちっ。使えないな」
「そう言われましても……」
いいよ、いいよ。
俺は努力の人なんだ。
自分でなんとかするさ!
フンニーッ! シーンーターイーキョーウーカーァァァァァァッ!
ボンッ。
え?
「………」
なんかできた気がする。
走ってみると、明らかに速い。
ジャンプも高い。
剣の振りも鋭い。
「ヴァスト。相手をしてくれ」
「はい」
ヴァストと向かい合い、剣を構える。
先が触れた瞬間、俺とヴァストは動いた。
カンッカンッ、ガンッ。
三合打ち合った。
これはいい。
身体強化したヴァストにも打ち負けてないぞ!
「ふんっ!」
「はっ!」
今までよりも体が軽い!
ただ、何かが少しずつ体の中から抜けていくような感覚がする。
おそらくこれは魔力が減っていく感覚なのだろう。
ただ、魔力を消費する速度はかなりゆっくりで、まだまだ身体強化を続けられそうだ。
カーンッ。
「参りました」
俺がヴァストの剣を弾き飛ばしたところで、彼が降参した。
剣の訓練を終えると、メインがタオルを持ってくる。
あ、こけた。
スカートがめくれて白色のパンツが見えた。
あわあわしてスカートを元に戻す。
小動物のようで可愛いな。
とりま、武士の情けだ、見てないことにしてやろう。
ご愛読ありがとうございます。
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