第27話 精霊の贈り物
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第27話 精霊の贈り物
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エルディア湖で光の粒子に囲まれた俺だが、シロガネとイビネスは光の粒子に気づいているようなそぶりだ。
見えないのはイケメン副団長だけか。
とりあえず、俺の頭がおかしくなったのではなく、よかった。
光たちはしばらく周囲を漂ったが、湖の上で一つの塊になっていく。
俺はその幻想的な光景に見取れてしまった。
光の塊が何かを模っていく……どうやら人型のようだ。
そして現れたのは、水の精霊だった。
水精霊は右手をサーッと振った。
何かが起きた気がしたのだが、何も変わりは……あった。
イケメン副団長とイビネスがまるで石化したように動かないのだ。
「周囲の時間を少し止めたわ」
「おー、ファンタスティック」
まさか水の精霊が時間を止めるなんて。
本当は時空の精霊なのか?
「しかし面白い気配を感じてきてみたら、あなたなのね」
「面白い? 俺の気配がか?」
神龍であるシロガネのことじゃないよな?
「異世界から渡ってきた魂に出会ったのは、どれだけぶりかしら」
「っ!?」
俺が異世界転生者だと、この精霊は知っているのか。
「なぜそれを……?」
「神の匂いがついているもの、分かるわよ」
そんな匂いがついているのか。
臭い、わけじゃないよな? 思わず腋の臭いを嗅いでしまったよ。
「何をしているの?」
「いや、匂いがあるみたいだから?」
「魂の匂いだから、そんなことで分からないわよ。変な子ね。ウフフフ」
変な子言うな。真っ裸の痴女精霊のくせに。
「なんか失礼なこと考えてない?」
「ソンナコトナイデス」
「まあいいわ」
いいんかい!
水精霊は俺に近づき、その透明な腕を伸ばして俺の左頬を触った。
「なあ、神の匂いって何? 俺とどういった関係なの?」
「神は私たちを創った存在よ」
「天地創造の神ということかな?」
「そうね。そういう表現もできるわね」
「その存在が俺をこの世界に転生させたのか? フェリクスの体を乗っ取るように転生させた存在か?」
「体を乗っ取る? ウフフフ。そんなことしないわよ。魂は生まれる直前に定着するのよ。生まれてから別の魂を入れることもできないわけじゃないけど、神はそんなことしないわ」
「じゃあ、俺は生まれる前にこの体に……」
では、なぜ俺の記憶が……そうか、落馬した時にそのショックで前世の記憶を思い出したのか。
少し気が楽になった。
俺のせいでフェリクスの魂が死んだかと思っていたから、気まずかったんだ。
「それじゃあそろそろ、あなたに力を与えるわ」
「いきなりだな」
「だって、そういうイベントなんだもん」
「イベントって……」
あんたは本当に精霊か?
いや、精霊と名乗っていないから、俺の勝手な思い込みかもしれない。
それにしたって、前世の知識に毒された人っぽい。
「神の匂いをつけた人が現れたら、力を与えるのは神との契約なの。前回は近くの町がまだ村だった頃に一人現れたきりなのよ。もうね、待ちくたびれたわ。これしか出番がないのにね、私」
「ぶっちゃけるな、おい」
「そうね、あなたには何を与えようかしら」
スルーですか。いいよ、いいよ、いいですよーだ。
「そうだわ。この目に相応しい力を与えてあげる。返品は不可よ、受け取りなさい」
返品不可ってヤバいものじゃないだろうな?
精霊の指が俺の左目に入ってくる。眼帯をしているのに、俺の中に入ってくる気持ち悪い感触がある。
ウガガガガガガガガガッ!? 痛い! いてーって!
あまりの痛みに、地面を転がってもだえ苦しんだ。
「な、何をしたんだよ!?」
「魔……与え……の左……機能し……、魔……力で……見……よう……なっ……」
「うぅぅぅ」
痛みで精霊の言葉が耳に入ってこない。なんて言ったんだ?
「あら、聞こえてなかった? 魔眼を与えたと言ったのよ。その左目は機能しなくても、魔眼の能力で色々と見えるようになったはずよ。私の仕事はこれで終わりよ。私のような精霊を捜してみるといいわ。きっといいことがあるから」
そう言うと精霊はバシャンッと水になって湖に堕ちた。同時に時間が流れ出した。
不思議な体験だった。それにしても、まさか精霊が俺に力を与えてくれるイベントが用意されていたとはな。
屋敷に帰って自室に入る。
ギリギリ部屋に入れる大きさのシロガネがベッドを占拠してしまったので、俺はジクジクと痛む左目の眼帯を取って姿見鏡を見る。
この世界には鏡と言えば銅鏡なんだよ。
だからガラスを使って作ってみたら、アイリッシュたちバニアスの妻たちがうるさかったのを覚えている。
傷痕は以前と変わっていない。だけど明らかに今までと違うことがある。
俺の左目に視野があるのだ。
右目を閉じても、視界が広がっている。
視野といっても右目とは違うもので、モノクロで見えるのだ。
これ、どうやったらオフできるのかな?
まさかずっとこのままというわけじゃないよな?
「このままでは、シャレにならん」
「坊ちゃま、何か仰いましたか?」
シャインが近づいてくる。
「左目が痛むのですか?」
「少し痛むだけだ。大したことはないよ」
「まあ、大変! 見せてください!」
ムニッと頬を両手で挟まれて、否応なくシャインの綺麗な顔が近づく。
このままちゅっといきたいところだが、モノクロの世界(左)とカラフルな世界(右)のおかげで凄く気持ち悪い。
「ダイヒョウビュダ」
「化膿はしていないようですね。一応、お医者様に見てもらいましょう」
シャインの両手から逃れて、大丈夫だともう一度言う。
大げさにされても原因が原因なだけに、下手に口に出せない。
あの精霊は俺が転生者だから、姿を現したと言っていた。
正確には神の匂いがするという話だが、同じようなことだろう。
他の精霊を捜せと言っていたが、他の精霊に会ったらまた何かをもらうのだろうか。
この魔眼、非常に面倒なものなんですけど?
カラフルとモノクロのおかげで、映像の処理が追いつきませんよ。気持ち悪い。
ご愛読ありがとうございます。
これからも本作品をよろしくお願いします。
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