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フェリクス ~この男、取り扱い注意にて~  作者: 大野半兵衛


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第26話 光銀神龍

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 第26話 光銀神龍

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 ワイバーンだと思ったら、ドラゴンだった俺の従魔。

 そのドラゴンは銀色の綺麗な体色になったので、シロガネと名づけた。

 そのシロガネの種類を調べるために図書室に入って、色々な書物を漁った。

 丁寧に扱わないと、すぐに破れそうな古い書物の中にその記述はあった。

 シロガネの種族は光銀神龍(こうぎんしんりゅう)種らしい。

 なんか仰々しい。

 しかしそこに記載されている説明にその種族名も納得だ。

 地上に住まう竜種・龍種の中から選ばれた個体が神龍(しんりゅう)となって竜種・龍種を()べるとあった。


 竜も龍もドラゴンだが、竜が神格を持たないのに対し、龍は神格を持つ亜神である。

 そして光銀神龍のシロガネは生まれながらの神! 亜神ではなく、神!

 なんかヤバいものを見てしまった気がする。


「ちょっと待て。ワイバーンから神龍が選ばれたということか? 竜種でもない劣化種だと言われているワイバーンだぞ?」


 ワンランクどころかスリーランクかフォーランクくらい種族がアップしているんじゃないか。

 もしかしたらもっとか。


「お前はドラゴンの中のドラゴン。神様なんだな」


 思わず七つのボールを集めると出てくる龍を思い出してしまったが、体形がカイ●ューなんだよな。


「キュ?」


 いつも俺の指を甘噛みするシロガネは、たった三日で一メートルくらいになった。

 成長が早いのも、神龍の特徴らしい。

 もう抱っこができない。それなのに指を甘噛みするんだよ、可愛いな。

 ただ、甘噛みのおかげで指どころか手が涎でベトベトになるのがあれだけど。




 俺が文通している貴族令嬢の一人、リエネッタ嬢からパーティーのお誘いがあった。

 彼女の七歳の祝いのパーティーだ。


 実はクラリス嬢からも七歳の祝いのパーティーの誘いがあったが、その時はバニアスが出征中だったので、涙を呑んでお断りをした。

 父親が戦争にいっているのに、俺がパーティーに出るのはさすがに気が引けたのだ。

 だからお祝いの品を贈って、参加できないことを丁寧に謝る手紙を送っておいた。


 今回はそういうこともなく、俺はリエネッタ嬢のパーティーに参加することにした。

 リエネッタ嬢は帝都に住んでいるから、俺は初めて帝都へ赴くことになった。

 高位貴族家では、時空属性の才能レベルが高い家臣を抱えている。

 所謂、アッシー君だ。

 領都フランチェスコでも帝都でも、都市内での転移は禁止されている。

 だから、郊外にある指定された場所で転移の発動・受け入れする場所が確保されていいる。

 その転移指定場所以外で転移を行ったことが判明すると、結構重い罪になるらしい。




 今日はリエネッタ嬢へのお祝いの品を作ろうと思う。

 リエネッタ嬢の似顔絵が入ったソーサー型シャンパングラスを作ってみる。

 こういうのは型をつくらないといけないのだが、俺はそういう才能がない。

 だから家臣の中で絵が上手い人に似顔絵を描いてもらい、それを元に型を作った。


 ソーサー型シャンパングラスに型を当てて、細かい砂を吹きつける。

 これで似顔絵が完成。

 今回はうちの紋章はつけない。これは俺の個人的なプレゼントだし、世界で一〇個だけしかないのもので持ち主が分かっているからね。


「キュー」


 さらに大きくなったシロガネがじゃれついてくる。

 おいおい、せっかく作ったグラスが割れちゃうから止めろよ。

 なにせもう二メートルはあるから、屋敷の中では飼えなくなってきた。

 今はシロガネ用の獣舎を建てている。

 マイパパが気を利かせてくれて、専用の獣舎を用意してくれているんだ。


 体の大きさに比べ翼がかなり小さいのに、普通に飛べる。

 完全に物理法則を無視した特殊な力が働いているようだ。


 俺も飛べるので、時間があるとシロガネと共に空の旅を楽しんでいる。

 そのおかげで領都フランチェスコを俯瞰できて、地形の把握ができてしまった。


「フェリクス様!」


 シロガネと空の散歩をしようとしたら、護衛隊長のトットナムに肩を掴まれた。


「お一人で飛ぶのは止めて下さいと何度も申しあげていますよね」


 血走った目が必死さを表している。

 俺の護衛の中に飛べる従魔がいる騎士はいないから、俺が飛ぶと護衛ができないのだ。

 それは分かるが、その目は止めてくれ。こえーよ。


「すぐに空が飛べる従魔を持った騎士に護衛を依頼します。それまでお待ちください」

「わ、分かっているよ……」


 しばらくしてイケメン副団長が従魔のグリフォンを連れてやってきた。


「副団長直々の護衛か、悪いね」

「フェリクス様に何かありましたらいけませんので、某がお供つかまつります」


 イケメン副団長がさっそうとグリフォンに跨る。

 腹が立つくらい格好いいな、クソ。


 俺とシロガネの後ろをイケメン副団長がついてくる。

 町の上を飛び越し森の上を飛んでいると、空気が美味うまい。

 マイナスイオンは上空にも届くようだ。


「シロガネ。気持ちいいな」

「キュ~」


 森の中に湖が見えたので、降りていく。

 ここまできたのは初めてだ。

 俺たちに続いてイケメン副団長とグリフォンのイビネスも降りてくる。


「これはエルディア湖か?」

「左様にございます」


 エルディア湖はロッククラン伯爵領の水源の一つになる。

 綺麗な水を覗き込んでみると、小魚が泳いでいるのが見えた。

 ペチャペチャとシロガネとイビネスが並んで水を飲んでいる。

 俺も手で水を掬って飲んでみる。美味い水だ。


「っ!?」


 水を飲んで顔を上げたら、俺たちは光の粒子に囲まれていた。


「な、なんだ!?」

「どうかしましたか!?」

「副団長にはこれが見えないのか?」

「見えない? 何がでしょうか?」


 どうやらこの大量の光の粒子は、イケメン副団長には見えないようだ。

 では、なぜ俺に見える?



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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