第24話 被爆
■■■■■■■■■■
第24話 被爆
■■■■■■■■■■
X線を浴び過ぎたせいか、左手が焼け爛れてきた。さすがに痛い。
気合のヒーリングで、破壊された細胞を再生する。
たかが才能レベル三、されど三だ。
一回では回復しないが、何度も繰り返す。おかげで痛みは感じなくなった。
完全に被爆だ。
まあ、結果よければ全てよしってね。
手が爛れるほどの被爆だから、一応、もっとヒーリングしておくか。
こういう時に細胞が破壊されているか見えないのは不便だな。
細胞を見るためには、レンズが必要か。
そんなもので見えるのだろうか?
まあ、ガラスでレンズを作るのは可能だと思うが、いざと言う時に使うためにはやっぱり魔法で代替をするのがいいだろう。
そうすると水属性か。
水でレンズを作って拡大できないか確認だな。
俺は自分の左手の細胞が見えるように、先ほどのレントゲンにプラスし水でレンズを作ってみた。
さすがにレントゲンよりも難しい。
夜中にそんなことをやっていたから、警護の騎士たちに変な目で見られていたようだ。
翌朝、俺が変なことをしていたと、バニアスに報告があって、そこからアイリッシュへと伝わった。
「フェリクス。夜中に何をしていたの?」
「はい?」
「ベランダで何か光らせていたと聞くぞ」
食事時にアイリッシュとバニュウサスにそう聞かれて、俺はどう返事しようかと考えた。
まさかX線を使って被爆してましたとは言えない。
まあ、嘘は言わずに与える情報を制限して、正直に伝えるのだけど。
「眠れなかったので、光と闇魔法の練習をしてました」
光は夜の闇を照らす。
一般的にはそういう魔法が光魔法だ。
闇魔法はその逆で、目くらましなどに使われたりもする。
「魔法の訓練もいいが、あまり無理をするな。睡眠はちゃんととれ」
「そうよ、フェリクス。ちゃんと寝ないといけないわ」
「はい。そうします」
その日も細胞を見るための拡大レントゲンの訓練をする予定だ。
マイパパが帰ってきてくれたおかげで、当主代理の仕事はしなくていい。
そのはずなのに、おかしいな。
なんで俺は書類仕事をしているのだろうか?
「フェリクスはすでにリッテン男爵夫人の指導を受けずともよいから、少しは家の仕事を任せることにする」
そんなことをいい笑顔でバニアスが言ったのが、つい五分ほど前のことだ。
七歳の子供なんだから、一生懸命遊びなさいと言ってほしいものだ。
どう考えても、バニアスが楽をしようとしているようにしか思えない。
それでいいのか、領主様!
「お茶にしましょう。フェリクスはカーフェーだったわね」
大体一〇時の頃、アイリッシュと二人の側室が執務室に入ってきた。
ホットケーキのアイスクリーム添えがお茶菓子として出てきた。
「ほう、フェリクスはカーフェーが好きなのか。大人であるな」
中身はアラフォーリーマンですから。
それは置いておいて、そろそろホットケーキとプリン以外のレパートリーを増やすか。
クッキーとかショーケーキとか。
甘いものを腹に入れ、カーフェーの苦みで口の中の甘味を飲み込む。
やっと書類仕事から解放された。
そしたら、小姓たちと共に訓練場でイケメン副団長にボコられた。
この世界は子供に甘くない。
「いつつ……」
相変わらず骨が折れない絶妙な力加減だ。いつかイケメン副団長に一本入れてやる。
そのために今は我慢だ。
この我慢ができない人は成長などできない。そう思って、歯を食いしばって試行錯誤する。
青痣や赤く腫れあがっているところをヒーリングで治す。
この治癒行為は魔法訓練の一環だ。
俺は俺自身の怪我を治すが、エドは小姓三人の怪我を治す。
ヒーリングの効果が少ないと痛みや腫れがとれない。
俺はいつも気合いで治せと言うが、それでは今時の若者は理解できないようだ。
ジェネレーションギャップを感じるぜ。
今日はジョルジュが素振りから卒業した。教官の騎士の剣に打ち込みが始まったのだ。
訓練に楽なものはないから、この調子で腐らず地道な努力を続けて育ってほしい。
魔法使いは遺伝する。
世の中ではそう言われている。
属性は遺伝しないらしいが、高い才能レベルを持っている両親から生まれた子供は高い才能レベルを得やすい傾向があるようだ。
バニアスとアイリッシュは、国内でも有数の魔法使いだ。
その二人から生まれたジョルジュなら、皆の期待に応えられる魔法使いになれるはずだ。
俺が期待外れだったから、ジョルジュにはその分も期待してしまう。
俺のせいで過度な期待をされているかもしれない。
そこは正直に申しわけないと思う。
訓練の後はガラスでレンズを作る。
望遠鏡があると便利だし、顕微鏡も欲しい。
望遠鏡は戦争時に役に立つだろう。
戦争なんてしないに越したことはないが、うちは防衛戦が基本だから向こうからやってくるんだよな。
そして顕微鏡だ。
顕微鏡は細菌などの病気の元を発見するのに必要だ。
といっても俺に病気や細菌の知識などない。あれば便利程度の考えになる。
望遠鏡はガラスのレンズを作る。
大小二つを作って金属性で作った鉄の筒に嵌め込めばいいか。
最低でも一〇倍は欲しい。それ以上あればなおよし。
でも、一〇倍とか二〇倍とか、どうやって判断するんだ?
まいっか。デカく見えればいいんだ、そういうことだよな。
ガラスレンズをこれでもかと磨きあげる。
うりゃうりゃーっ!
気合でガラスレンズを磨き上げた俺は、鉄の筒にそのレンズを嵌めて覗き込んだ。
おお、よく見える!
何これ、初めて作ったのにばっちしじゃん。俺、天才? ウハハハ。
天才はこれで満足しない! レンズの直径、厚み、大小のレンズの距離を色々変更し、できるだけ大きく見え、それでいて携帯が可能な大きさを模索した。
厚みも最小と最大値を色々模索した。これが一番大変だった。
顕微鏡はあまり上手くいかなかった。こっちは要改良だな。
仕組みを知らないから、上手くいかないこともある。
ご愛読ありがとうございます。
これからも本作品をよろしくお願いします。
気に入った! もっと読みたい! と思いましたら評価してください。
『ブックマーク』『いいね』『評価』『レビュー』をよろしくです。
【告知1】
『魔法が使いたくて肉が食いたくて努力してみたら最強になっていた』1巻
発売中
【告知2】
『不運な転生者は、溺愛してくれる家族への恩返しをやりすぎる!?』2巻
7月発売予定!
【告知3】
『魔法が使いたくて肉が食いたくて努力してみたら最強になっていた』
6月コミカライズ開始
【告知4】
『ガベージブレイブ【異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語】』コミカライズ8巻
7月発売




