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フェリクス ~この男、取り扱い注意にて~  作者: 大野半兵衛


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第13話 ガラス作り

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 第13話 ガラス作り

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 火の球の温度を上げることに、行き詰っている。

 やっぱり才能レベル三では黄色の火が上限なのだろうか。

 ここで諦めるのは悔しいから、なんとかならないだろうかと足掻いている。


「まだ春になったばかりなのに、今日は暑いですね。風まで生温いです」


 身体強化を発動させようと、がんばっているアル・エド兄弟の横で風魔法の訓練をしているヴァストが、額の汗をタオルで拭きながら愚痴った。


「ああ、暑いな。こういう日がたまにある……ん、暑い……風……そうかっ!?」

「どうかしましたか?」


 ヴァストの質問に答えるよりも先に、俺は集中した。


 火の温度を上げるのだから、空気をもっと送り込んだらどうだろうか?


 ―――火よ!

 ―――風よ、この火をもっと燃え上がらせろ!

 ヒューンッ。


 きた! 白い火の球だ!


 だが、これじゃない。青い火にするには……そうだ、熱だ! 熱属性! 俺は熱属性も使えるんだから、火の球の温度を上げるように熱魔法を併用できないだろうか。


 熱属性、気合だ!

 この火の熱量をもっと上げろ!

 キュィィィィンッ。


 青い火キターーーッ!


 次はバーナーのように青く細い火だ。

 火と熱と風属性を使い……イメージはばっちり、さあこい!


 キュィィィィンッ。

 キターーーッ!


 面白い! 魔法は面白過ぎるだろ!

 この調子でレパートリーを増やしていこうか!


 俺はどの属性も才能レベルが低いため、あまり高度な魔法は発動できない。

 ただし全属性が使える強みがある。


 たとえば、火+風+熱で超高温の火を放てる。

 これは鉄の剣を簡単に融解させるほどの威力があった。

 もちろん、鉄の鎧でも耐えきれない温度だ。


 また、雷+金+重力で電磁加速砲(レールガン)を再現できた。

 金属の塊を超高速で射出できるし、射程距離もかなり長い。

 狙撃にうってつけの魔法だ。


 金属性の金は「かね」ではなく「きん」と読む。と言っても金銀銅の金ではなく、金属の金である。

 才能レベルさえ高ければ、それこそ(きん)でも創り出せるらしい。

 とはいえ、才能レベル三の俺では金や銀といった貴金属は創れない。


 む、待てよ。ニッケルやマンガンなどは創れるのだろうか?

 もし創り出せたら、電池とかできちゃうかも。

 それより先に硬い鉄を作りたい。炭素鋼とか鋼鉄と言われるものだ。


 鉄はそれだけでは脆い金属だ。鉄に炭素を加えることで硬さが出る。

 さらにクロムなどの素材を混ぜることでもっと硬くなるのだ。

 鉄はすでに創っているから、炭素、クロム、ニッケル、マンガン、リン、ケイ素などを創り出せるかだな。


 結果を言うと、クロム、ニッケル、マンガンはできた。

 俺がイメージして創り出せたのだからそうなのだろう。


 そして炭素、リン、ケイ素は無理だった。これらは非金属だと前世の記憶にあるから、それでだろう。

 だったら土属性で創れないだろうか。

 チャレンジしたら、炭素、リン、ケイ素は土属性のほうで創り出せた。


 ケイ素はガラスの素材だったよな?

 ガラスを作るのに必要な素材は……そうだ、炭酸ナトリウムと石灰だったはず!

 今思い出したが、炭酸ナトリウムはトロナという鉱石が原料になるはずだ。

 鉱石なら土属性か金属製で創れそうな気がする。


 おおお。俺って天才!

 土属性でできちゃったよ!

 なんでもやってみるものだな!


 これでガラスが作れると思ってケイ素、炭酸ナトリウム、石灰を高温で熱してみた。

 真っ赤なドロドロのゲル状になったそれを、無属性の離れた場所のものを動かせる力―――俺はそれを念力と呼んでいる―――を使って形を整えた。

 初めて使った念力の発動には苦労したが、そこは気合だ!


 板ガラスができ上った。

 気泡はないが、透明度が微妙なものだった。

 配合比が悪かったのか、他の添加物が必要か。

 とりあえず配合比を弄り倒してやろうと思う。


 それと板にしたつもりだが、結構な波打ち具合いである。

 ここら辺は改善が必要だな。


「それはガラスですか?」


 シャインたちが驚いている。

 我が屋敷ではガラスを使った窓が多くあるが、一般的にガラスは非常に高価なものになる。

 だから平民の家にガラス窓はない。

 豪商ならあるようだが、貴族でも裕福でない家ではないくらいだ。


「魔法でガラス作りを試してみたが、改善箇所が多いな」

「とんでもございません! 魔法でガラスが作れるなんて、すごく画期的な発明です!」


 ガラスは職人が苦労して作り上げている。

 多少は魔法を使うらしいが、魔法だけで作ることはない。

 だからシャインたちの驚き様は大変なものだった。


 その夜、夕食に珍しくバニアスが二日連続で姿を現した。


「魔法でガラスを作ったと聞いたぞ」

「まだ満足いくものではありませんが、一応はガラスと呼べるものができました」

「面白い。満足がいくものができたら、見せてくれ」

「はい」


 どうやら俺のガラスのことを聞きつけて食事の時間を無理に開けたようだ。

 ガラスの品質ハードルが上がったぞ、これ。

 下手なものを見せて落胆させたくないから、気合いを入れてガラスを作ろうと思う。

 しかし、鉄を硬くする話から大きく逸れてしまった。

 いつの間にかガラス作りになってしまったよ。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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