第12話 手なんか出しません
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第12話 手なんか出しません
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バランスボールサイズの火にするのに、二日をかけた。
小さくするのは、そこまで難しくないが、大きくするのは難しいということだ。
まあ、それだけ威力が上がるわけだからね。
次は蝋燭の火の大きさで、熱量を上げる訓練だ。
黄色や赤色の火ではなく、青色の火にしてみる。
これもなかなか難しいな。
ふんにーーーっ。
大きさを変える時には、明確なイメージと気合が必要だった。
火の温度を変えるのも、同じはずだ。
俺には現代の科学知識がある!
科学知識というほど大げさなことではないが、火の温度は赤色、黄色、白色、青色の順に高くなっていく。
赤色は不完全燃焼の部分が大きく、青色になると完全燃焼というわけだ。
蝋燭の火の大きさで青色の火にしたいのだが、これが一向に上手くいかない。
三日、五日、八日と経過したが、まったく青色の火にならないのだ。
もしかしたら才能レベル三では、黄色の火が限度なのか?
そうだよなー。なんでもできたら、才能レベルなんて関係なくなるもんなー。
バランスボール大の火の球を作れただけでも儲けものと思うべきなのかもしれない。
だが、こんなところで諦めてたまるか。継続は力なりだ。
火の球の温度上昇の試行錯誤をしているある日、俺はアイリッシュに呼ばれた。
マイママの部屋に入ると、いい匂いがする。
彼女の香水はキツくなく優しい香りのものだけど、部屋で焚いているお香もセンスのいいものだ。
さすがはモデル系美人のマイママだよ。
「フェリクスはカーフェとチーのどっちがいいかしら?」
「カーフェでお願いします」
カーフェはやや酸味があり、苦味と香ばしさのある黒い飲み物だ。
前世の記憶だと、カーフェはコーヒー、チーは紅茶に近い飲み物かな。
多少味は違うけど、概ねそう思ってくれればいい。
「まあ、大人ね。ウフフフ」
アイリッシュつきのメイドがカーフェとお茶菓子を出してくれる。
この世界では希少な砂糖を小匙二杯入れて飲む。
カーフェとしては最高級なものだけど、コーヒーと比べてしまうとやや物足りない味だ。
それでも俺のような質より量の味莫迦には十分に美味しいものである。
お菓子を頬ばる。
こっちはいただけない。味莫迦の俺でもアウトだ。
砂糖が希少だからと、とにかくたくさん使えばいいと思っているような感じだ。
甘ったるいだけで、美味しくない。
胸焼けしそうだ。
でも結構お金がかかっているんだよ、これ。
「二〇日後に、お茶会をしなさい」
「お茶会……私がですか?」
「ええ、フェリクスがお茶会をするのです」
「それは構いませんが、どなたを誘えばいいのでしょう」
俺は首を傾げる。
アイリッシュは月に二、三度しているけど、俺はお茶会なんてしたことがない。
お茶に誘う人に心当たりもないんだよね。
「何を言っているのですか。ランドン公爵家のリエネッタ嬢、ベルテス子爵家のクラリス嬢、あとはベルザード准男爵家のリリス嬢とイシュラン騎士爵家のパメラ嬢を誘うのです」
見事に女の子ばかりだ。俺としては可愛い女の子に囲まれて嬉しい限りだが、なんでその四人なのだろうか。
「あの、どういった意図でその四人を……?」
「フェリクスのお嫁さん候補よ」
ブフッ。
「ゲホッゴホッ」
「あらあら、落ちついて飲みなさい」
アイリッシュが口を拭いてくれた。
てか、俺七歳なんですが?
「リエネッタ嬢は正妻候補ですが、他の三人は側室候補ね」
おおう……ここでも格差が。
「あの、そのメンバーは確定なのですか?」
「別に増やしてもいいわよ。それに一〇歳になったら帝都の学園に通うから、そこで見つけてもいいわ。でも、ちゃんと婚姻の約束をするまで手を出したらダメよ」
一〇歳のおこちゃまに手など出さんわ!
まったくこの美人ママは七歳の子供に何を言うのか。
「分かりました。とりあえず、リエネッタ嬢、クラリス嬢、リリス嬢、パメラ嬢にお茶会の招待状を出します。でも、クラリス嬢、リリス嬢、パメラ嬢の三人はともかく、リエネッタ嬢は帝都に住まわれているのですよね。きてくださるでしょうか」
「向こうにその気があればくるわ。公爵家なら時空属性持ちの家臣の一人や二人くらいいるでしょうから」
その気ですか。
七歳の子供よりは、その親の威光という感じかな。
時空属性ということは、転移でやってくるのだろう。
うちにも時空属性持ちの家臣がいるため、帝都へ向かう際は転移を使うんだ。
すぐに招待状を作って、四人に使者を送った。
さて、四人中何人きてくれるだろうか。
アル・エド兄弟が神殿で属性を確認する日がやってきた。
そう、彼らも七歳になったのだ。
俺から遅れること一カ月ほどだ。
「アルベルト君の属性は無の他に、雷と金の二つです。無属性の才能レベルが七、雷属性の才能レベルが六、金属性の才能レベルが五になります」
アレッサンドロ大司教ではなく、なんとかという司祭が確認を行った。
こういうところでも身分の差が出てくるのは、仕方がないことだ。
それが貴族社会というものだからね。
「エドベルト君の属性は無の他に、生と時空の二つです。無属性の才能レベルが七、生属性の才能レベルが六、時空属性の才能レベルが五になります」
さすがは双子だ。加護の合計レベルを一八で揃えてるよ。
しかし、無属性が七か。身体強化が凄いことになりそうだ。
属性の才能レベルというのは、一から三はあまり評価されない反面、七以上は天才と言われるくらい希少になってくる。
普段はほとんど無視される無属性でも、さすがに才能が七もあるとかなり評価される。
貴族だと才能レベル四以上を持っていて当たり前と言われているが、才能レベル七以上の人はほとんどいないのだ。
もし無属性でなく、それ以外の属性で才能レベル七だったら、俺の小姓だったとしても帝国騎士団に引き抜かれることになるだろう。
「二人とも、おめでとう」
「「ありがとうございます。フェリクス様」
これで俺と小姓三人の属性とその才能レベルが出揃った。
俺以外、三人とも才能レベル六があり、かなり優秀なのが分かる。
これでは俺のほうが三人の引き立て役になってしまうな。
まあ、ないものねだりをしても仕方がない。俺は俺のできることをしよう。
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