第11話 気合いだ!
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第11話 気合いだ!
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詠唱をして神に言魂が届いたら、魔法が発動する。
それは祈りのようなものである。
少し前に俺は、魔法に必要なのは言魂でも祈りでもなく、気合いだ。そう語った。それを実践してみよう。
―――ヒィィィィィィルゥゥゥゥゥゥッ!
ホワンッ。
「うし、発動したぜ」
自分にヒールをかけ、筋肉痛を癒した。
一切詠唱してないし、言魂とか祈りの類はしていない。
気合いだ、気合い。
次は火属性の魔法。
―――もぉぉぉぉぉぉえぇぇぇぇぇぇろぉぉぉぉぉぉっ!
ボワッ。
「うし、発動だ」
俺の仮説が正しいと立証できたぜ。
あとはもっと早く発動できるように、気合いを入れる時間を短縮しないといけないな。
―――もぉぉぉぉぉえぇぇぇぇぇろぉぉぉぉぉっ!
ボワッ。
少しなら問題なく短縮できた。
―――もぉぉぉえぇぇぇろぉぉぉっ!
ボワッ。
これもいけた!
―――もぉぉえぇぇろぉぉっ!
「………」
むぅ、ここからハードルが高くなるか。
―――もおぉええぇろおぉっ!
ぼわっ。
よしよし。
―――もおええろおっ!
まだまだ!
―――もおええろおっ!
ボワッ。
次で最後だ!
―――もえろっ!
もっとーっ!
―――もえろっ!
まだまだーっ!
―――もえろっ!
ボワッ。
「っしゃーっ!」
気合い論、最強!
体育会系の俺にはこっちのほうが性に合っている。
次は風属性だ。
まずはこれくらいから……。
―――ふぅぅぅけぇぇぇっ!
ヒューッ。
「「キャッ」」
おおお! シャインとメインのスカートがめくれ上がった!
今日のシャインは青の色っぽい下着か。大人の女性の色気のあるものだ。
メインはまだおこちゃまの白だった。
「坊ちゃま!」
「魔法の訓練だよ、魔法の」
「訓練と言えば許されると思っておいでですか?」
「うん!」
俺は力強く頷いた。
そしたらシャインは諦めて、メインを連れて俺から距離を取った。ちっ。
さて、訓練だ、訓練。
―――ふぅぅけぇぇっ!
ヒューッ。
―――ふうけえっ!
ヒューッ。
よし、次で。
―――ふけっ!
ヒューッ。
「気合最強!」
その後も気合で魔法を発動させていき、特殊以外の全属性の発動を確認した。
「特殊属性はどうすれば分かるのだろうか?」
こればかりは試行錯誤して、さらに運次第という超博打的なものだ。
「うん。後回しだな」
まずは他の属性を使い熟すのが優先だ。
もっと練度を上げて、威力や範囲の調整ができるようにしないと使い勝手が悪い。
気合いで魔法を発動していたが、さすがに疲れた。
休憩だ。
「メイン。タオルをくれ」
「はい!」
メインがタオルを持って走ってくる。
あ、こけた。
その白色はさっきも見たけど、何度見てもいいものだ。
涙目になって起き上がり、スカートを戻すメイン。
俺は見てないフリをする。
汗を拭き、シャインの淹れてくれた薬草茶を飲んで疲れを癒していると、ヴァストが俺を見つめている。
糸目で分からんけど、それは見つめているんだよな?
「どうした?」
「質問をいいでしょうか」
「構わんぞ」
「フェリクス様が魔法を発動させた際に、詠唱をしているようには見えませんでした。どういうことでしょうか?」
「お、気づいた? 詠唱はしてないぞ」
「「「っ!?」」」
ヴァスト、シャイン、メインが驚きの表情に変わった。
アル・エド兄弟はまだ七歳になってないから、今は剣術の訓練で別行動をしている。
「詠唱しても魔法は発動しなかったから、それなら詠唱なんてしなければいいと思ったわけ」
「そ、それでどうやって魔法を発動させているのですか?」
「気合」
「は?」
ヴァスト君や、その目は何かな?
俺は真面目に答えているんだぞ。
「マジで気合いだ」
「マジ? マジというのはよくわかりませんが……」
「本気という意味だ」
「そうなのですか。しかし気合いで魔法が発動するのでしょうか?」
「これがするんだな。ッハッハッハッハー!」
俺の笑いは虚空の彼方に消えていった。なんちゃって。
「僕も気合で魔法を発動できますか?」
「さあな。俺には分からんから、やってみたらどうだ」
「そうですね……」
ヴァストが持っている属性は三つで、その才能レベルはかなり高い。
火属性がレベル五、風属性がレベル六、重力がレベル六。
所持属性の数を聞かれたら、無属性以外の数を言うのが一般的だ。
無属性は誰でも持っているので、数に含めないらしい。ちなみにヴァストの無属性の才能レベルは五である。
いい感じにまとまっていて、俺よりよっぽど強力な魔法を使えることだろう。
「僕には無理なようです」
顔を真っ赤にして気合いで魔法を発動させようとしていたヴァストだったが、早々に諦めたようだ。
「まあ、人には得手不得手があるだろうから、自分に合ったやりかたでいいんじゃないか」
「そうですね」
休憩を終え、再び魔法の訓練だ。
火属性魔法で火を点ける。
直系一〇センチメートルの火だが、これを蝋燭の火くらい小さいものにしたい。
大きさの調整はなかなか難しい。
それでも一時間くらい続けたらなんとか蝋燭の火くらいの大きさにできた。
今度はバランスボールくらいの大きさだ。これもなかなか難しい。
サッカーボールくらいまではすぐにできたが、それ以上は時間がかかりそうだ。
今日の訓練はサッカーボールサイズで終わった。
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