第3話 レッドくんの居場所と、ブローチのささやき
別室で、2人の実験経過をモニタリングしていた、コードネーム【セーラーレッド】は、セーラの指示に従い予備の通信ラインの確保を終えて次のタスクに着手しました。
「レッド様…うまくいったのですね」
「うん…ノンノちゃんが手伝ってくれたお陰ですよ」
「良かった…また、ノンノにできることがあれば何でも言ってくださいね」
「ちょっと喉が渇いたかも…」
「はい…すぐにお持ちします」
アンの住む農場の住人の一人…11歳のノンノは、住人の中でも才女として誰からも認められる存在です。
そして、その抜群の頭脳を生かせるということで、今は、レッドのアシスタントポジションを手にしています。
「はい…いつものロイヤルミルクティーです」
ノンノが淹れた紅茶をレッドが受け取り、にっこりと笑いかけます。
レッドは、デジタルデバイスなので、本来はエネルギーを吸収するだけで人工知能チップを含めた全ての機能の維持はできるのですが、実は、普通に飲食をして味覚を確認する機能も備わっているのです。
セーラのアシスタントチームの中ではホワイトがシェフとして料理を担当するのですが、そのホワイトが作った試作料理の味見をするのがレッドの役割でもあって、口に含んだ飲料や食料をデジタル的に解析して旨味成分や塩分濃度など味覚に関するデータのチェックをすることができるのです。
水瓶座星の宝瓶駅から魚座星の双魚駅までは、レッド以下、4人のアシスタントAIは実体化したままセーラとマルコの旅に同行していました。
しかし、彼らの本来の居場所は、水瓶座星のメインサーバー内のセーラが所有するメモリーエリアなのです。
実体化する必要がある時は、各地に置かれたターミナルコンピュータや、スマホなどのデバイスから専用のコマンド制御によって実体化できます。
どんな場所でも、そして実は、どんな形状にでも実体化することができる仕様なのです。
12星座銀河内の各地に分散され設定されているバックアップサーバー内には、
セーラーレッド本体のバックアップデータや今まで積み重ねてきた開発履歴やアーカイブデータ、さらに各作業処理の結果の記録、
そして、それらの行動記録や実行実績、アプリケーションを元にして自動演算処理され次々に生み出されていく新規開発アプリケーションの数々…
それら膨大なデジタルデータと、レッドは常に繋がっているのです。
レッドが実体化した時のデジタルデバイス…セーラは勝手に『レッド・バタフライ・コマンダー』と名付けているその姿は、
逆立った赤い髪…拡大鏡にも顕微鏡にもなる赤い色のゴーグルを頭に載せていて、行動し易いプラグスーツを身に着けています。
セーラとアンの二人が研究室を出たことをモニター越しに見届けた後、レッドは即座に研究室ドアをロックし、そして、他の3人のAIアシスタントの現在のタスク状況の確認作業を開始しました。
「こちらレッド…牡羊座でのファーストミッションは無事に完遂できた、これから計画通りにセカンドミッションフェーズに移行する。
アシスタントチーム全員の結集のため、各自の現在進行形タスクが完了し次第、それぞれのデジタルデバイスをここ、牡羊座のアンに転送してほしい」
(こちら、イエロー。了解!あと30分で現タスクが全て完了する予定、30分後にイエローデバイスを転送する。転送後は、いつでも、セーラ様のスマホからイエローデバイスを実体化させることが可能。以上)
(こちら、ブルー。タスクは既に全て完了できている。即ブルーデバイスを転送できる…今、転送完了…セーラ様への転送完了通知もたった今完了。以上)
(こちら、ホワイト。ごめん、1時間半時間をください…)
「なにか不測の事態でも?」
ホワイトのタスク報告を受け取ったレッドは、すかさず確認します。
(ついさっき、水瓶座遺跡エリア88にて、エネルギー反応を検知しました。
セーラ様とアン様がアン様のキーアイテムとキーワードを入手した時刻と完全一致していることから、何らかの関連性があると判断しました。
調査分析のために、1時間半の時間が必要です…現状の分析結果では3つ目の鍵…金剛石を発見できる可能性が50%です…ホワイトデバイスは、ここを離れて遺跡エリア88に移動します)
「確かに遺跡エリア88は遠いな。デジタルデバイスを実体化させるためのターミナルサーバも88遺跡内にはまだ設置されていないのか…」
レッドは、水瓶座星のネットワーク通信網を検証し、現場である遺跡エリア88に最も近い位置にあるターミナルサーバを検索します。
「チッ…」
さらに、ホワイトが実体化可能なクライアントが接続されているかを確認し、ターミナルサーバ位置の検索結果を見て、軽く舌打ちをしました。
(私たちが利用できるターミナルサーバは、民間で設置するものを使うしかないからね…本当、この星の政府は無能が過ぎるから必要なものが全然足りてないわ…
とにかく、ステーション252のターミナルサーバのクライアントから実体化して、後は飛んでいくわ)
レッドの舌打ちを聞いたホワイトが諦めの言葉を言いつつも、強い意志を持って自身の任務の遂行のための行動を開始しました。
「わかった。そちらはホワイトに任せる…そちらのリアルタイム情報も、先ほど確保した予備の通信ラインで共有してくれ。遺跡エリア88…現着後は現地映像のリアルタイム配信も開始してほしい。よろしく頼む」
【1888 Memorial Cafe & Antique】へと向かう馬車の中で、スマホの着信通知に気づいたセーラが、その通知の内容を確認しました。
「ブルーとホワイトから通知が来たわ」
そして、セーラは一緒にいるアンにも通知の内容の共有操作を済ませました。
【ブルー:ブルーデバイス転送完了】
【ホワイト:水瓶座遺跡エリア88でエネルギー反応を確認したため、現地に向かいます】
「相変わらず、ブルーは仕事が早い…すぐ実体化させるね」
セーラは、通知文に添えられた【実体化】ボタンをすかさずクリックします。
セーラのスマホからビーム形状の青い光のラインが2条伸びてゆき、その2条の光線の間にさらに光の束がらせん状に絡み合うエフェクトの発現を視認した後、あっという間に、見慣れたセーラーブルーの姿が形作られたのです。
「久しぶり~」
一つの青い姿のデジタルAIデバイスとして実体化したセーラーブルーは、顔のほとんどを覆うマスク越しでもわかる満面笑顔の表情を作って、そう挨拶をしました。
「牡羊座へようこそ。こちらこそ、お久しぶりです」
「レッドは役にたってる?」
ブルーがアンに尋ねます。
「そりゃあもう…素晴らしい働きよ」
「レッドは単独行動に慣れてないから心配だったんだ」
「心配はご無用よ」
「でも、レッドは貸してるだけだからね。絶対にあげないわ」
「残念…それじゃ…ねぇ、セーラ…レッドくんのコピーデバイスとか、作ってくれない?」
「コピーデバイス?まぁ…作ってもいいけど…」
「けど…?お金の話?いくらくらい欲しいの?」
「お金はどっちもでもいいわ…ただ、コピーしただけの同じデバイスじゃつまらないでしょ?」
「セーラーレッド2号機じゃなくて、アンズレッド初号機を作ってくれるってことかな?」
「色はやっぱり赤がいいの?」
「そりゃもちろん!!そこは譲れないわ」
「はいはい…わかりました。考えておくわ。あ、そうだマルちゃんにも連絡しなくちゃ…アン、あとどれくらいで着く?」
「10分…くらいかな?」
「わかった。ありがとう」
【過去の瑠璃、現在の紅瑪瑙に続く、未来を照らす**「透明なダイヤモンド」**の輝き…次は未来だよ】
馬車に乗った3人は、この時、紅瑪瑙のブローチが、そうささやく声を聞いたのです。
「え?あなたは?」
セーラが、手にしていたブローチに語り掛ける。
「ようやく声を手に入れたようだな…カーネル…」
「ラピス…君は話せるのにずっと黙っていたのかな?」
セーラの問いには答えずに、2つの石が勝手に会話を始めたのです。
「意思は蘇っていたが、言葉を紡ぐことができることには今気づいた…そして、なぜか…我が主が私の中に侵入してきている」
「なんとラスカル様が?」
「セーラとアン…そこにいるのね」
明らかに先ほどの武士っぽい声とは異なる声が、瑠璃の石から聞こえました。
「え?ラスカル?」
「そうそう…なんか、急にそっちの声が、この前拾った、こっちにある古代の楽譜から聞こえてきたんだよ…会話するだけなら、もちろんいつものスマホでできるんだけど、これはこれで楽しそうだから、ちょっと使ってみたよ」
「ラスカルったら、暇ならちゃんとスマホで話しなさいよ…」
「暇じゃないのよ…今だって明日のバースデーパーティ…ASPSで繋がるように調整してあげてたんだから…アンもアストロシンガー審査を受けてライセンス取ればいいのに…せっかく声はいいんだから…」
「私が歌がダメなの知ってるでしょ…詩の暗誦だけじゃアストロシンガーの審査は通らないの…歌特化型なんだし」
アンが今にもお得意の詩の暗誦をし始めそうな笑顔になって言いました。
「つまり…この石は通信デバイスだったということ?」
セーラが、そのラスカルとアンの会話に加わります。
「そうらしいね…そして、3つめの透明のダイヤモンドは…ジョオではなくセーラ…あなたの傍にあるはずよ」
「え?」
「今、ホワイトが探しに行ってるのが、きっと、その透明のダイヤモンドだと思います…セーラ様…」
それまで、口を噤んでいたブルーが、状況を説明し始めました。
「例の金のりんごがホログラムとして現れた瞬間に…ホワイトが水瓶座の遺跡エリア88でエネルギー反応を感知して…今、現地に向かっています。
考えてみれば、ダイヤモンドと言えば、ダイヤモンドプリンセスでもあるセーラ様の代名詞ですからね…ジョオ様ではなく、セーラ様が所有されてしかるべき石です」
「え?それってほんとうにほんとうなの?」
セーラがキラキラと目を輝かせてブルーを問い詰めるようにまっすぐ見つめました。
「確率は50%とホワイトは言っていますが…水瓶座でエネルギー反応があったということ…
ホワイトの報告後に私も即確認しましたから…エネルギー反応があったことは確認済の事実です。
もしも、これでホワイトが見つけて持ち帰ることができれば、ジョオ様のもとに行く必要はなくなるかもしれません」
「う~ん…でもね、『石の持ち主がジョオなんだよ』って言ったほうが、ジョオは協力してくれると思うから、もし私のダイヤモンドだったとしても、それは秘密にしたほうがいいのよ。
だって、ジョオの探偵能力はすごいんだから…何人もの凶悪な犯罪者を無実にしてきてるくらい法律にも詳しいし…きっと、双子座の封印のこととかも実務レベルで詳しく知ってるはず…
ここまで練り上げてきた【ダイヤモンドを餌にジョオに協力を頼むシナリオ】に変わりはないわ…ブルー…いいわね、絶対にジョオにホントのことを言ってはダメよ」
「承知いたしました。セーラ様のシナリオ通りに計画をお進めいたします」
「それと…ええと…ラスカル…ちょっとごめん…さっきのラピス…さんと代われる?」
「代わるもなにも、同時に会話できるみたいよ」
「うむ…我に質問でございますかな?」
「さっき、あなた、現在の紅瑪瑙…って言ったように聞こえたけど…このブローチから現れたのは【1888】という数字で、現在はG.E.(Galactic era)3026年でしょ…どう考えても1888年は現在じゃないと思うんだけど」
「あ…ごめん、それ言ったの私…」
カーネルが即座に訂正しました。
「うむ、我ではないな」
「それは、きっと【ギャラクティック・イラが現在】という意味なんだと思います。魚座の海底に沈んでいた楽譜は、それよりもずっと古い時代のものだからです」
「3026年前を含めて現在と言ってしまうのね…」
「うむ…我には3万年の記憶が残っているからな…3026年前はつい昨日のことのように記憶している…もっとも、記憶は残ってるがまだその記憶を引き出すことができていないのだ…非常にもどかしい」
「現在って…ほんとうにそういう意味なのかなぁ…」
「そうですね…セーラ様…それも含めて、やはりジョオ様には聞いたほうが良さそうですね」
エリスさんと僕が【1888 Memorial Cafe & Antique】で試着を楽しんでいると、セーラさんから「あと10分で到着します」とメッセージが届きました。
「アンも一緒に来るの?」
ちょっと困り顔をしたエリスさんが聴きました。
「一緒みたいよ」
「そっかぁ、明日はアンの誕生日なのよね…できれば、バースデープレゼントも一緒に買って帰りたかったんだけど…本人がいる前では選べないわね」
アンさんの誕生日がアン・シャーリーと同じ3月5日というのはさすがにできすぎな気がしていたけど、アンさんは両親不在で出自が不明ということをセーラさんから聞いていたので、もしかしたら、誕生日を合わせた可能性もあるなぁと…僕は納得しちゃいました。
「明日のバースデーパーティは、かなり賑やかになるわ…ASPSで他の星のお友達もオンライン参加してくれるらしいの」
「セーラはASPSの開発者だからね」
「え?そうなの?」
「あ…そうか…開発者の名前は公表されてないんだった。ごめん…今のは忘れて…」
「はいはい、そういうことなら聞かなかったことにするね。すごいなぁ、セーラさん…いろんなことができちゃうのね」
「少しだけだけど、僕はセーラさんと一緒に旅をして…ほんとに凄い人だって良く分かったよ」
「そういえば、ここでの謎解きが終わったら、マルちゃんはすぐに次の星…牡牛座星へ行ってしまうの?」
「どうかなぁ…今は、セーラさんがこの旅の行き先を決めているから、ちょっと僕にはわからない」
「私は、16歳だから今月で卒業するんだ…」
「え?エリスさんって16歳なの?大人っぽいから…16歳には全然見えない」
「やっぱり老けて見えるよね…それでね…私の卒業式まで、マルちゃんには、ここに残って欲しいの」
「卒業?ダンサーのユニットを卒業する…ということ?」
「違うよ…ダンサーの仕事はフリーだからユニットは組んでないの。あの農場は学校にもなってて、16歳までしかいられないのよ」
「アンさんは、明日で18歳なんですよね」
「アンは、先生だから…もう3年も前に卒業して、あの農場の子供たちの先生をしてるのよ…私は先生としては残ることができないから卒業したら、あそこにはいられない」
「でも、ケンタロウさんとシンタロウさんはお客さまとして滞在してるって聞いたけど…エリスさんもそういう形で残ることはできないの?」
「ケンちゃんとシンちゃんは、馬車を引くという仕事があるから…お客様というより農場の経営側のスタッフとして農場にいるのよ」
「そうなんだ…」
「だから、マルちゃんは、卒業式までここにいて…私をこの星から連れ出してほしいの…できれば、一人でこの星から出たいんだけど…アンが許してくれないのよ…
でも、マルちゃんとセーラさんという保護者がいれば、ワンチャン許してくれる可能性があるの…
お願い、しがないダンサーを助けると思って…私を銀河鉄道で、どこか遠い星に連れて行ってほしいの…エリスのお願いを聞いてもらえたら、お礼になんでもするわ」
「私を……ここから連れ出してほしいの」
エリスさんのその言葉と、僕の手をすがるようにギュッと握りしめる細い指の温度に、僕は息を飲んでフリーズしてしまいました。
16歳で農場を旅立たなければならないという現実。
『舞姫』の名を冠する彼女が抱える、どこか儚げで、けれど強い意思を秘めた瞳。
僕自身、セーラさんに会いたい一心で故郷を飛び出してきた身だからこそ、彼女の「ここから外の世界へ飛び出したい」という切実な願いが、痛いほど心に響いてきます。
「エリスさん……」
「ごめんね、困らせちゃうよね。でも、マルコ様とセーラさんのあの自由で温かい雰囲気を見ていたら……つい、甘えたくなっちゃって」
エリスさんは困ったように可愛らしく眉を下げて笑うと、そっと僕の手を放しました。
「忘れてください。こんなお願い、旅の途中のお客さまにするものじゃないですよね」
「……ううん、忘れません」
僕はまっすぐにエリスさんを見つめ返しました。
「僕に何ができるか分からないけど……セーラさんにも、ちゃんと相談してみます。エリスさんのダンス、すごく素敵だってアンさんも言ってたし……外の世界でエリスさんが踊る姿、僕も見てみたいです」
「……マルコ様……!」
エリスさんの瞳に、じんわりと光るものが浮かび上がった——まさにその時でした。
カランコロン、と【1888 Memorial Cafe & Antique】のドアベルが賑やかに鳴り響き、大迫力の声が店内に突風のように吹き込んできたのです。
「エリスー! マルちゃんー! お待たせ! 最高のニュースを持って駆けつけたわよー!」
「アン……声が大きいわ。カフェなんだから少し落ち着きなさい」
続いて入ってきたセーラさんが苦笑しながら手で耳を塞いでいます。その肩口には、いつの間にか実体化したセーラーブルーがちょこんと腰掛けていて、僕とエリスさんに「やあ」と可愛らしく手を振っていました。
「セーラさん! アンさん! それに……青いアシスタントさんまで!」
「初めまして、マルコ様。セーラーブルーです。以後お見知りおきを」
瞬時に雰囲気が察知したエリスさんは、パッといつもの明るい笑顔に戻ると、アンの元へ駆け寄りました。
「アン、いらっしゃい! ちょうどマルコ様と、明日の『主役』に内緒で何をプレゼントしようか相談していたところなのよ」
「えっ、私のプレゼント!? やだ、目の前でそんなこと言われたら、気になって夜も眠れなくなっちゃうじゃない! ちなみに私は昔ながらの古典小説の初版本か、美味しそうなイチゴのタルトなら何時間でも語り合えるくらい大歓迎よ!」
「ふふ、自分でリクエスト言っちゃってるじゃない」
セーラさんが呆れつつも楽しそうにアンの肩を叩きます。
でも、セーラさんはそっと僕の隣に歩み寄ると、僕の表情のわずかな変化を見逃さず、耳元で小さく囁いてくれました。
「(マルちゃん、何かあった? エリスちゃんと、何か秘密のお話でもしていたかしら?)」
「(あ……えっと……後で、二人きりになった時に話します。セーラさんに、どうしても聞いてほしいことがあって……)」
「(……ふふ、分かったわ。頼りにされてるみたいで嬉しいな)」
セーラさんは優しく僕の頭を撫でてくれると、そのままテーブルの中央へと歩み出ました。
「さて……アン。この『1888』のお店で、私たちが探すべきものは決まっているわね?」
「ええ!【1888】の刻印が示す、紅瑪瑙の真の鍵……黄金のリンゴ! レットくんの解析によれば、この店の地下金庫に保管されているはずよ!」
アンが目を輝かせて言うと、実体化したセーラーブルーが冷静に補足します。
「水瓶座の遺跡エリア88で調査中のホワイトからの連絡によれば、3つ目の『透明なダイヤモンド』の波動も捉えつつあります。この牡羊座で黄金のリンゴを手に入れられれば、一気に謎の核心へ近づきますよ」
(……透明なダイヤモンド……ジョオさんの……ううん、セーラさんの……?)
瑠璃と紅瑪瑙のブローチが車内で放った「ささやき」と、古代の記憶。
そして、目の前で目を輝かせる仲間たちと、新しい未来へ踏み出そうとしているエリスさん。
「よし……! それじゃあまずは、店主さんに事情を話して地下金庫を見せてもらいましょう! それから……明日のアンの誕生日に向けて、盛大なサプライズパーティーの準備よ!」
セーラさんの号令とともに、白羊の街での僕たちの「真の冒険」と「温かい休日」が、いよいよ本格的に動き出そうとしていました。




