第45話 『世界プロジェクト始動』
WORLD FASHION COLLECTION終了翌日。
パリ。
M&M COMPANYが宿泊しているホテル。
朝から大騒ぎだった。
真優がスマートフォンを見ながら叫ぶ。
「またトレンド入りしてる!」
麗華がコーヒーを飲みながら答える。
「昨日から何回目?」
「分からない!」
美優も画面を見る。
SNS。
ニュースサイト。
海外メディア。
どこを見てもM&M COMPANYの話題だった。
『日本の新世代企業』
『モデルが率いる世界的プロジェクト』
『美優と神崎麗華が世界へ』
世界中の記事が並んでいる。
真優はまだ信じられなかった。
「昨日まで日本にいた気分なのに」
「もう戻れないかもね」
麗華が笑う。
午前十時。
世界合同プロジェクト会議。
パリ中心部。
巨大ビル。
最上階。
ガラス張りの会議室。
世界各国から集まった企業代表が座っていた。
美優たちが入る。
全員の視線が集まる。
少し前なら緊張していたかもしれない。
しかし今は違う。
堂々としていた。
CEOが立ち上がる。
「皆さん」
会議室が静まる。
「本日から世界合同プロジェクトを始動します」
巨大スクリーンが点灯した。
映し出されたタイトル。
GLOBAL DREAM PROJECT
真優が小声で呟く。
「名前すごい」
麗華も頷く。
「大きく出たね」
美優だけは真剣に資料を見ていた。
説明が始まる。
世界各国のブランド。
モデル事務所。
芸能会社。
教育機関。
様々な企業が協力する大型計画。
その目的は――
若い才能を世界へ送り出すこと。
会議室が静まる。
美優はその言葉に目を留めた。
若い才能。
夢。
挑戦。
それは。
M&M COMPANYが掲げている理念と同じだった。
CEOが言う。
「そして」
画面が切り替わる。
そこに映し出されたのは――
美優の写真だった。
真優が吹き出しそうになる。
「本人いるのに」
麗華も笑いを堪えている。
CEOは続ける。
「このプロジェクトのグローバルアンバサダーに」
「美優さんを任命します」
会議室が拍手に包まれた。
美優が固まる。
数秒。
完全に固まる。
真優が小声で言う。
「固まってる」
「固まってるね」
麗華も同意した。
ようやく美優が口を開く。
「私ですか?」
「はい」
CEOは笑顔だった。
「満場一致です」
その瞬間。
会議室に再び拍手が響く。
世界各国の代表者たちが頷いていた。
会議終了後。
廊下。
真優が肩を叩く。
「アンバサダーおめでとう」
「実感ない」
「いつものことだね」
麗華が笑う。
その時。
後ろから声が聞こえた。
「美優さん」
振り返る。
そこには世界中で人気を誇る若手俳優。
そしてモデルでもある青年が立っていた。
整った顔立ち。
落ち着いた雰囲気。
年齢は二十二歳ほど。
「初めまして」
彼は微笑む。
「僕はアレックス」
アレックス・グレイ
世界的人気スターだった。
真優が固まる。
麗華も驚く。
「え?」
「本物?」
小声で話している。
アレックスは気にせず続けた。
「あなたのショーを見ました」
「ありがとうございます」
「素晴らしかった」
美優は頭を下げる。
そして。
アレックスは一枚の企画書を差し出した。
そこには大きく書かれていた。
GLOBAL MOVIE PROJECT
真優が目を丸くする。
麗華も資料を見る。
アレックスが言った。
「興味ありませんか?」
「世界映画への出演に」
空気が止まる。
映画。
しかも世界規模。
モデルだけではない。
俳優部門にも関わる話だった。
その日の夜。
ホテルの部屋。
真優。
麗華。
美優。
三人で企画書を見ていた。
真優が言う。
「スケールおかしくない?」
「少し」
麗華も苦笑する。
美優は資料を閉じた。
窓の外にはパリの夜景。
世界は広い。
想像以上に広い。
そして。
次々に新しい道が現れる。
モデル。
社長。
世界アンバサダー。
そして――
映画。
美優の挑戦は。
まだまだ終わりそうになかった。
第46話へ続く。




